SPECIAL OTHERSがアコースティック編成のSPECIAL OTHERS ACOUSTIC名義による2ndアルバム「Telepathy」をリリースした。
前作「LIGHT」から約3年半ぶりとなるSOAのアルバムには、新曲やアコースティックアレンジを施した「IDOL」「CP」など全10曲を収録。メンバーのアレンジャーとしての成長や、プレイヤーとしての成熟ぶりを感じさせる内容となっている。
収録曲の1つである「STEADY」では、デビュー当時からの夢であった海外でのミュージックビデオ撮影も実現させ、新たなチャレンジも見せている彼ら。今回の特集では、チェコ・プラハでのMV撮影の舞台裏やアルバムのレコーディングについて語ってもらった。
取材・文 / 大谷隆之 撮影 / 佐藤早苗(ライトサム)
海外ロケで発見した「絵にならないスペアザの4人」
──プラハで撮影されたSPECIAL OTHERS ACOUSTICの新曲「STEADY」のミュージックビデオ、拝見しました。石畳の落ち着いた街と楽曲の雰囲気がしっくりマッチしていますね。なぜわざわざ東欧まで出かけることになったんですか?
柳下“DAYO”武史(G) それが僕らもわかんないんです。スタッフから話を聞かされたとき、メンバー全員がまず「チェコってどんな国だったっけ?」と検索したくらいで。
宮原“TOYIN”良太(Dr) 確か、監督の清水(康彦)くんが突然言い出したんだよね。僕らは当初、「なんでそんな寒い国に」ってブーブー言ってたんですけど。行ったらめっちゃ楽しかった(笑)。
又吉“SEGUN”優也(B) どこを切り取っても絵になる街ですしね。しかもチェコって、ビールがすごくおいしい。
柳下 何でも国民1人あたりのビール消費量は世界一らしいです。
──へえ、そうなんだ。冒頭で4人がそれぞれ金髪の女性と街を歩いているじゃないですか。意味深なシーンですが、どういう設定なんですか?
柳下 あれも清水くんのアイデア(笑)。4人とも監督に言われるがままやってました。僕の場合は「女性の横で石になって」という注文だったので、とにかく無表情で遠くを眺めて。
芹澤“REMI”優真(Key) 僕は女の子と手をつないだり、膝枕してもらったり。たぶんあの描き方って、監督がイメージするメンバーそれぞれのキャラなんじゃないかなあ。俺、いかにもチャラい感じだし(笑)。
宮原 あと俺たち、それぞれ精一杯カッコつけてるけど、あの金髪美女に四股かけられてる感がハンパないよね。
芹澤 それも監督の狙いなんじゃない? メジャーデビューから10年経って海外ロケに出かけていっても、結局は絵にならないスペアザの4人(笑)。
──清水監督は皆さんとほぼ同年齢。多くのアーティストのMVを手がける業界屈指のディレクターです。デビュー直後から一貫して、スペアザの曲にも映像を付けてこられました。やっぱり信頼感が強いのでは?
芹澤 それはもちろんありますね。清水くんは文字通り盟友みたいな存在で。言葉で詳しく説明しなくても、僕らのセンスをわかってくれる。今回のプラハ撮影にしても、きっと彼の中では、どこか新作とつながってると思うんですよ。編成はアコースティックだけど、僕らが届けたいのはやっぱり、どこか都会の匂いのする音楽だったりするので。
宮原 実際、プラハのストリートでも演奏風景を撮影したしね。
柳下 撮影中、立ち止まって僕らを観てくれる人もいたりして。そこは素直にうれしかったです。普段の編成と違って、アコースティック楽器なら持ち運びも楽ですしね。飛行機にも手荷物扱いで乗れちゃうし。
又吉 だからきっと、海外ロケとうまくハマッたんだよね。
芹澤 清水くんの場合、ユーモアとスタイリッシュさのバランスが絶妙と言うか。僕らがどんなにとぼけたことをやってても、仕上がった作品はちゃんとカッコいい。そこが信頼できる。
そもそも原点から動いてない
──スペアザにとって昨年は、“メジャーデビュー10周年イヤー”という重要な節目でした。3月にはさまざまなアーティストとのコラボ作品集の第2弾となる「SPECIAL OTHERS II」をリリースし、大規模なツアーも実施しています。
柳下 はい。
──そして2018年に入って発表される本作「Telepathy」は、SOA名義では2枚目となるアルバムです。新たなディケイドの第一歩をなぜアコースティックプロジェクトで始めることに?
柳下 特にこれという理由はなかったんですよ。
宮原 まあ普通ならSPECIAL OTHERS名義で新作を出して、前回のコラボアルバムで僕らを知ってくれたリスナーを刈り取ろうとすると思うんですけど。そこまで戦略的にならなくてもいいや、という気持ちもあって。
──なるほど。
宮原 あと、2014年にSOAの1stアルバム「LIGHT」を出してから3年半くらい経って。気が付くとアコースティック用の曲のストックが増えていたのも大きかった。アルバムが2枚になると、例えばツアーに出たときでもセットリストの自由度がぐんと上がるじゃないですか。
芹澤 うん、確かにね。
宮原 そう考えると、自分らの中で「アコースティックを出したいモード」がどんどん高まっていった。それでレコード会社に提案した感じです。
柳下 そもそもSOAの活動自体、何か自分たちで一念発起してスタートさせたわけではなく、わりと自然発生的に生まれたものだったんです。例えばライブで全国を回っていると、音響の問題で「今回はアコースティック編成でお願いできませんか?」というオファーがあったりするんですよね。それに対応して、自分たちで生楽器のアンサンブルを研究するうちに、だんだんライブが面白くなってきて。前作の「LIGHT」も、その流れの中で作ったアルバムでした。
──そう言えば、YouTubeに上がってる動画の中では、撮影行程表が公開されてましたよね。あそこに「原点回帰」の文字が何度も出てきてましたが……。
宮原 あれはもう、ほとんどネタですね。アルバムを出すたびに、毎回言ってますから(笑)。自分たちでもだんだん面白くなってきた。
柳下 「自由時間&原点回帰」とか、「撮影時以外、原点回帰」とか(笑)。
又吉 回帰も何も、そもそも原点から動いてないですし。
芹澤 原点の周りをぐるぐるマラソンしてるんですよ、俺ら(笑)。言うならば、アコースティック編成になって演奏する楽器は変わっても、音楽の作り方そのものは変わっていない。
又吉 うん。みんなでアイデアを持ち寄って、スタジオでワーッと合わせて。「そのフレーズいいね!」「じゃあ、そこから広げていこうよ」と、お互いの反応を見ながらジャムっぽい感じでサウンドを作っていく。
柳下 そういうやり方を原点とするならば、今回の「Telepathy」もまったく変わってないですね。ただ、エレクトリックとアコースティックを比べると、実際のアレンジ面では気を使うポイントがわりと違ったりはします。
──どういう部分でしょう?
柳下 エレクトリックの場合、やっぱり音圧があるから。例えばソロパートにしても、ある程度は勢いで押し切れちゃったりする。でも生楽器は、それではうまくいかないんですよね。むしろ緻密さが要求されると言うか……。
宮原 音圧が弱いというのは、言い換えると、すごく小さい音まで表現できるダイナミクスがあるということなんですよ。エレキの楽器だと、極端な話、ボリュームのつまみをひねれば音がデカくなったり小さくなったりするでしょう。アコースティックはそうはいかないので。弱音は弱音として、繊細に奏でなきゃいけない。その意味で、演奏スキルは鍛えられますね。
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適材適所の楽器配置を練る
- SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
「Telepathy」 - 2018年5月16日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
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初回限定盤 [CD+DVD]
3780円 / VIZL-1367 -
通常盤 [CD]
3024円 / VICL-64989
- CD収録曲
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- WOLF
- Wayfarer
- STEADY
- IDOL
- My Home Town
- Birdie
- ローゼン
- CP
- Mirage
- Telepathy
- 初回限定盤DVD「ズッコケ4人組のプラハ珍道中」収録内容
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- 「STEADY」ミュージックビデオ
- 「WOLF」ミュージックビデオ
- 密着ドキュメント
- SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
2nd ALBUM「Telepathy」Release Tour 2018 -
- 2018年5月26日(土)
- 新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・能楽堂
- 2018年5月27日(日)
- 長野県 北野文芸座
- 2018年6月1日(金)
- 長崎県 長崎県美術館 エントランスロビー
- 2018年6月2日(土)
- 福岡県 電気ビルみらいホール
- 2018年6月7日(木)
- 宮城県 darwin
- 2018年6月9日(土)
- 山形県 山形県郷土館「文翔館」
- 2018年6月10日(日)
- 群馬県 ながめ余興場
- 2018年6月16日(土)
- 山口県 周南RISING HALL
- 2018年6月17日(日)
- 岡山県 YEBISU YA PRO
- 2018年6月22日(金)
- 北海道 cube garden
- 2018年6月23日(土)
- 北海道 CASINO DRIVE
- 2018年6月30日(土)
- 沖縄県 ガンガラーの谷 ケイブカフェ
- 2018年7月7日(土)
- 愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2018年7月8日(日)
- 静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 2018年7月11日(水)
- 東京都 LIQUIDROOM
- 2018年7月15日(日)
- 大阪府 服部緑地野外音楽堂(※追加公演)
- 2018年7月16日(月・祝)
- 滋賀県 サケデリック・スペース酒游舘
- 2018年8月25日(土)
- 東京都 上野恩賜公園野外ステージ(※追加公演)
- SPECIAL OTHERS(スペシャルアザース)
- 1995年、高校の同級生だった宮原“TOYIN”良太(Dr)、又吉“SEGUN”優也(B)、柳下“DAYO”武史(G)、芹澤“REMI”優真(Key)の4人で結成。2000年から本格的に活動を始め、2004年8月に1stミニアルバム「BEN」をリリース。2005年6月の2ndミニアルバム「UNCLE JOHN」発表後には「FUJI ROCK FESTIVAL '05」に出演し、大きな注目を集める。2006年6月にミニアルバム「IDOL」でメジャーデビューを果たす。2011年11月にさまざまなアーティストと共演したコラボ作品集「SPECIAL OTHERS」を発表し、2013年6月には初の東京・日本武道館公演を成功させた。2014年10月に、メンバー4人がアコースティック楽器で演奏する新プロジェクト「SPECIAL OTHERS ACOUSTIC」名義での“デビュー”アルバム「LIGHT」をリリース。2017年3月にデビュー10周年を飾るコラボアルバム第2弾「SPECIAL OTHERS II」を発表した。2018年5月にSPECIAL OTHERS ACOUSTIC名義でのニューアルバム「Telepathy」をリリース。