本物の暴走族と一緒に
──「NU BLACK」の収録曲もすでにライブでやっているそうですね。
チヨ ほぼ全曲やってますね。
ユーキ リリースまで待っていると、スパンが長すぎるんですよ。録ったのは2月か3月でリリースが9月だから、半年以上ある。好きなジャンル感もどんどん変わるし、曲ができたら、フレッシュなうちにライブでやったほうがいいなと。そういう話を今年の初めくらいにしたんですよね。
──なるほど。イチローさんはどうですか? 「NU BLACK」の手応えについて。
イチロー そうですね……。
ユーキ ないなら“ない”でええよ(笑)。
イチロー ……特にないです。
ユーキ・チヨ・タクマ ハハハハハ(笑)。
チヨ こういうキャラなんですよ、イチローは。バンドのムードメイカーなんで。
ユーキ めっちゃよく言うとな。平たく言うとポンコツです(笑)。
──(笑)。アルバムの新曲の中で、ライブで反応がある曲というと?
チヨ どれもいい感じですけど、6曲目の「†黒天使†」(ブラックエンジェル)はキャッチーだし、お客さんもすぐ盛り上がるようになりましたね。暴走族の歌なんですよ。ユーキが「“黒天使”と書いて“ブラックエンジェル”って、ダサくて最高」って言い出して。
ユーキ 「暴走族の名前にありそう」って(笑)。
チヨ 音源にはタクマがサンプリングしてくれたバイクの吹かしの音も入ってるんですよ。ミュージックビデオも面白くて。ディレクターには「ネタになりすぎない程度にしてほしい」って言ってたんだけど、本物の暴走族を連れてきて。ビビりました(笑)。
──(笑)。ちなみにメンバーの皆さんは、暴走族とかヤンキーとか、そういう時期はあったんですか?
チヨ ないです(笑)。
ユーキ タクマはちょっとそんな感じやったけどな。
タクマ いやいや(笑)。そういう友達はいたけど。
チヨ けっこうマジメなんですよ、みんな。ヤンキーみたいな感じはなくて。
タクマ バイクとか乗らなくても、面白いことはいっぱいあるんで。
ユーキ なんやったら、ライブハウスで騒いでるだけで「ちょっと悪いことしてる」って感じになるんで(笑)。
──曲名でいえば、「GODSPEED」もめちゃくちゃキャッチーですね。
ユーキ これも意味的なものはなくて、字面のカッコよさと語感、耳触りのよさで付けました。
イチロー ……これ、岡山で出てきた曲名?
ユーキ (笑)。ツアーで岡山に行ったときに、イチローをガソリンスタンドに置き去りにしたんですよ。
チヨ 「待ってー!」って感じで本気で走ってる姿がめっちゃ面白くて。
ユーキ そのムービーを「#GODSPEED」ってハッシュタグ付けてSNSにアップしたんですよ。
チヨ それが「GODSPEED」のもとになってるんじゃないかと、彼は言っていて。
ユーキ でも「GODSPEED」という曲名はそれとは関係なく、前から使おうと思ってたワードなんですけどね(笑)。
今が一番調子いい
──先ほど話に出ていた「スサシのマーチ」もアルバムのキモだと思います。曲を作ったのは10年くらい前ですか?
ユーキ そうですね。最初に作った曲なんで。以前もレコーディングしたことがあるんですけど、このメンバーでアップデートさせたくて。
チヨ ライブでも4人で歌ってるから、“4人版”で録り直したかったんですよ。「え、そんな盛り上がる?」っていうくらい盛り上がるんです、この曲。テンポがめちゃくちゃ速いし、全員歌ってるから煽るようなアクションはできないんですけど、お客さんが勝手に盛り上がってくれて。
ユーキ 最初から「スサシのマーチ」を入れようと思っていたわけではなくて、「どの曲を入れる?」って話しているときに、「これも入れよう」ということになったんです。バンドをはじめて10年目になりますけど、今が一番調子いいし、このタイミングで収録できたのはよかったかなと。
──バンドの原点とも言える曲ですからね。「密」はR&B、ダンスミュージックのテイストを取り入れたナンバーです。こういう曲があるのも、スサシの魅力ですね。
ユーキ クラブで鳴ってるような感じですよね。打ち込みと生演奏が混ざっていて、いい感じでまとまったかなと。
チヨ この曲、ユーキとタクマの間でだいぶやり取りしてたんですよ。
タクマ 自分としてはバラードというか、メロウに聴かせたいと思ってたんですよ。そしたらユーキが「そっちじゃない」って。
ユーキ こういう話になると「そういうこともあったな」とか思わないんですよね。「曲ができた」という満足感のほうが大きいので。どういう感じでまとまったかも、あんまり覚えてなくて。
タクマ そうやな。制作してた時期に戻ってやり直したら、また別の曲になりそうやし。
ユーキ そのときの感覚とか気分でやってますからね。最新の感じが出てると思います。
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R-指定との交流から生まれた曲