立ち止まる気持ちが一切ない
──9月24日に開催される東京キネマ倶楽部公演も楽しみですね。
睦月 昨日ちょうど話していたよね。ユニバースの余韻に浸りながら、帰りの車内で「次はどうしよう?」って。
祐 ユニバースで自分たちが思っていた以上に手応えがあった分、次のキネマ倶楽部も最高のステージにしたいです。それに、ユニバースとはちょっと違う感じにしたい。
──次もバンドセットですか?
祐 それも含めて、次はどうしようかと考えているところですね。
睦月 せっかくユニバースで楽しいライブを作れたので、それを昇華したステージにしたいですね。
祐 ユニバースと同じ感じでやって、お客さんにこすってると思われるのは嫌だよね。
藤 そうなんですよ。お客さんは「次は何をしてくれるんだろう?」と期待しているだろうから。
天野 ライブが終わったあと、「ユニバースを超えられる?」ってファンの方にすごい言われた。
祐 僕に話しかけてくれたお客さんの中には、「次のキネマ倶楽部は行く予定じゃなかったけど、今日のワンマンがあまりによすぎたのでチケットを買いました」と言ってくれた人も数人いました。
藤 うれしいね!
睦月 それだけ期待もされているからこそ、超えていかないとね。
天野 びっくりさせたい!
──ちなみに去年12月にインタビューをしたとき、「キネマ倶楽部でライブをやりたい」という話は出ていたんですよね。
メンバー一同 あー! 言ってた!
祐 ユニバースがもともとグランドキャバレーだったことを踏まえ、東京でもそういうコンセプト縛りでワンマンをやったら面白いよね、という話になって。どこがあるかなと考えたら「俺たちがずっとやりたかったキネマ倶楽部があるじゃん!」って。
──きれいな流れですね。
祐 まるで導かれたようでした。大阪と東京でのワンマンが決まり、「そう言えば、新しいアルバムを出したいって言ってたじゃん! じゃあ今回はリリースワンマンツアーにしようぜ!」という話になって。「スパンコール&チップス ~愛のユニバース味~」と「スパンコール&チップス ~愛のキネマ味~」という2枚のミニアルバムを作るという、お客さんによりライブを楽しんでもらえる仕掛けを思いつきました。振り返ると、ユニバースがきっかけで決まったことが多いよね。
睦月 どんどん話が膨らんでいった。
祐 ユニバースの話に戻りますけど、ファンの人たちも「いつかユニバースでライブをやってくれ」とずっと言ってくれていたんですよ。僕もメンバーもユニバースのファンなので、ユニバースのTシャツを買おうとしたんですけど、「もう売り切れてる」と言われて、「じゃあ、自分たちで作ったらいいじゃん」と。調べたらメジャーのアーティストは、ユニバースとのコラボグッズを出しているんですよ。「俺らは無理だろうな」と思いつつ「提案するのはタダだし、相談してみようよ」と、思いの丈をオーナーさんに伝えたら「ダサかったら断るよ」と言われて。それでデザインを作って提案したら、ロゴの使用許可が下りたんです。結果、スパンコールグッドタイムズとユニバースのコラボグッズを作ることができました。
深田 いっぱい作りましたね。
天野 いろんな種類をありったけ。
藤 初めてTシャツが売り切れました。
睦月 今、大事なことに気が付いた! 私とりこさん、そのTシャツを持っていない。
祐 ……あ! じゃあ追加生産しよう。
天野 ヤバ! 今決まっちゃった。うれしい。
祐 今回は映像も残しているから、それも発売しよう。ちなみに映像を録ろうと決めたのがライブの3日前なんですよ。何か忘れているなと思ったら、映像班を入れてなくて。
──いろいろと急に決めすぎですよ!
祐 ははは。会場のキャパだけじゃなく、ライブの演出に関しても本来の規模を飛び越えていたので。皮肉にも質より量をとっているのは僕かもしれない(笑)。
藤 みんな寝てないですよね。
祐 楽しいというモチベーションだけで、突っ走ってます。
深田 今、本当に楽しい。昨日のライブは途中で感極まっちゃったもん。
睦月 ファンの方だけじゃなく、いつも見守ってくれているスタッフさんも、袖ですごく楽しそうな顔をしていて、うれしかったです。
藤 ユニバースはみんなの顔がよく見えたよね。これだけの人が私たちの音楽を聴きに来てくれて、本当に楽しんでくれているんだと思ったら、うれしくて泣いちゃった。
祐 今回は楽しむためにやったワンマンだからね。「ユニバースでワンマンをやりたい」「自分やみんなの夢を叶えたい」という気持ちで走れたことは大きいよ。なんかさ、こういうのでいいじゃん!って思ったね。
睦月 その気持ちがステージにもすごく出てた。
祐 しかも、僕らもお客さんも、過去最大キャパのワンマンだという気負いみたいなものがなかった。
藤 本当にそう! みんなキラキラしていました。
祐 もちろん課題もいっぱいあって、映像を見返して「ここは甘いな」と感じる点もたくさんあったんですけど、すごくいいライブだったし、空気感もよかった。いつもは「今回のワンマンで完全燃焼しないようにしなきゃ」と考えていて。「楽しかったね、ありがとう」で終わっちゃうと、それで満足しちゃうんじゃないかなという怖さもあったんです。でも今回はその怖さがなくなった。「これで次のライブにお客さんが来ないなら、もう仕方ないな」と思うくらいの手応えがあったからこそ、素直にワンマンの余韻に浸れます。
睦月 この余韻って、私は初めての感覚なんです。次またこれができたらヤバいんじゃない!?と前向きな気持ちでライブを振り返れるようになりました。課題は見えたけど、その課題をクリアしたらもっとすごいことになるかも!というワクワク感があるんです。立ち止まる気持ちが一切ないというか、全然燃焼しきってないですね。
天野 アレもコレもやりたい、という気持ちしか出てこない。みんなスパンコールのライブに来たほうがいいよね、本当に。
深田 ファンのみんなも言ってた。「ライブに来ていない人は、申し訳ないけど損してる」って。
天野 「スパンコールを知らないなんてもったいないよ」ってね。
本人が楽しければ、勝手にうまくなっていく
──ユニバースの話で大いに盛り上がりましたが、ミニアルバムの話も聞かせてください。8月20日リリースの「スパンコール&チップス ~愛のユニバース味~」と9月17日リリースの「スパンコール&チップス ~愛のキネマ味~」はどんな思いで作られたんでしょうか?
祐 このミニアルバム2枚については気楽に遊びながら作れた感覚があります。1stアルバムは「スパンコールグッドタイムズとは何か?」ということを伝えるために、彼女たちの名刺となる1枚を作ろうとしたんです。今回はそれよりもさらに掘り下げたというか、あまり外への見せ方を気にせずに作りました。ライブをするメンバーを見て「こういう曲があったらいいな」と素直に思ったことを曲にしました。
藤 レコーディングも前作とは全然違くて、歌うのがすごく楽しかったです。祐さんも「いいね! すごくいいよ!」と言ってくれて、今までのレコーディングで一番楽しかった。
天野 ね!
深田 うん!
睦月 今回の曲は、想像以上にスッと心に入ってきました。
祐 いい曲っていっぱいあるけど、背伸びをしすぎてメンバーと釣り合っていない曲よりも、メンバーが歌うからこそ説得力を持つ曲であってほしくて。そのことは大事にしてるので、スッと入ってきたならよかった。
──曲自体もそうですけど、歌声の表情が豊かな作品になっていますね。
メンバー一同 イエーイ!
祐 実際、4人の実力はすごく上がっていると思うし、本当に楽しんでやれているんだと思います。昔は「とにかく努力!」という姿勢でがんばっていた印象ですけど、実は今のほうが成長の速度も速くて、それ以上に4人の歌声には活動できる喜びがあふれている。アイドルをプロデュースし始めて4年目ですけど、やっぱりどんなに試行錯誤しても、歌っている本人が楽しくないと聴く人を惹きつけるのは無理なんですよね。逆に、本人が楽しく取り組んでいたら、勝手にどんどんうまくなっていく。自ら「ボイトレやりたいです!」と言ってくれたときも「ええ! 今までのそんなこと言わなかったじゃん」って。楽しむのが一番ですよ。
天野 うれしいね。
こんなに楽しいことが仕事でできるなんて
祐 「スパンコール&チップス ~愛のユニバース味~」のリード曲「UNIVERSE」をはじめ、ミニアルバム2枚には多彩な曲が入っていて。
天野 「UNIVERSE」はミュージックビデオを撮ったんですけど、それも本当に楽しかった。
祐 急遽ミニアルバムをリリースすることを決めたから、スケジュールが本当にギリギリで。急いでMVの準備をすることになり、撮影チームと「時間がないけど、どうしよう」と話していたら、ふとトランポリンで飛びたいなと思ったんです。楽曲が宇宙をテーマにした「UNIVERSE」だし、背景を宇宙にして……という流れで決まったよね。
睦月 祐さんも飛んでましたね。
深田 アフロを被って全力で飛んでた。
天野 なんなら祐さんが一番楽しそうだった。
祐 Earth, Wind & Fireやディスコ系のアーティストのMVとか、80年代の映像って今観ると合成っぽい感じが絶妙にダサいんですよね。でも、あのダサさがクセになっちゃう。「このグループでああいう感じのMVを作れたら面白いんじゃない?」という話になり、アフロのカツラやハート型のサングラスをみんなで買いに行きました。
睦月 撮影前日の夜中にみんなで買いに行った。
深田 お店を何軒も回って。
祐 一瞬しか映らないシーンなのに「宇宙服を着たいよね」と言って、どうせならとNASAと同じ宇宙服をレンタルしたんだよね。
藤 こんなに楽しいことが仕事でできるなんて、と思った。
天野 それがいいよね。みんながキャッキャ言いながら楽しんでいた。
祐 トランポリンが本格的なやつで、想像以上に金額が高かったんですよ。普通だったら「……え?」ってためらうだろうけど、「トランポリンたっけー!」ってみんなでゲラゲラ笑って。
藤 どうかしてますよね。
祐 あとは、ミュージカル的な要素が入った「喜劇」とか、ファンの方から音源化を望まれていた「雨のYellow」とか、ユニバースワンマンの最後に披露した「スパンコール&チップス ~愛のキネマ味~」のリード曲「雨のキネマとアンブレラ」とか……これを今回のミニアルバムに入れたら面白いかもな、と考えながら自由に曲を詰め込んでいきました。今のスパンコールグッドタイムズは本当に楽しくて、それがミニアルバムにも表れていますね。
公演情報
スパンコールグッドタイムズ ONEMAN TOUR SHOW「キネマとユニバース」
2024年9月24日(火)東京都 東京キネマ倶楽部
プロフィール
スパンコールグッドタイムズ
I LOVE YOU ENTERTAINMENT MUSICに所属するアイドルグループ。メンバーは藤ナオ、天野りこ、深田百香、睦月真尋の4人。前身グループでの活動を経て、2022年5月に現在のグループ名でステージデビューし、翌6月に東京・下北沢SHELTERで1stワンマンライブを行った。AORやファンクの要素を取り入れたアーバンなサウンドの楽曲が特徴で、2023年12月に1stアルバム「SPANCALL NUMBER ~今夜のヒッツ!~」を発表した。2024年8月にミニアルバム「スパンコール&チップス ~愛のユニバース味~」をリリースし、大阪・ユニバースでワンマンライブを開催。翌9月には東京・東京キネマ倶楽部でワンマンライブを開催するのに合わせ、ミニアルバム「スパンコール&チップス ~愛のキネマ味~」をリリースする。
スパンコールグッドタイムズ | I LOVE YOU ENTERTAINMENT MUSIC