ナタリー PowerPush - Sound Schedule
デビュー10周年を機に再結成 独占取材ですべてを語る
6年ぶりの音合わせ
──スタジオでのエピソードが少し出たので、レコーディングについて聞かせてください。最後の音源制作から約6年ぶりに3人で音を合わせた感触はいかがでしたか?
大石 最初はなんかこそばゆい感じがしましたけど、すぐに「ああこれこれ!」って当時の調子を思い出しましたね。
──お互いに成長点などは感じました?
大石 みんな物腰が柔らかくなったかな。今は川原くんも沖くんもミュージシャンじゃない視点があるじゃないですか。僕もバンドではない視点が身に付きましたし、フレージング1つ、アレンジ1つにしても良い意味で深く追求できるようになったと思います。
川原 そうだね。昔はこういうふうに演奏しなきゃっていう決め込みがものすごくあったけど、今は3人の中で最低限の気持ちが共通していれば、それはOKだろうと認めるようになった。そういう意味では力を抜くことも覚えたのかな。
大石 それから、アレンジしてて「昔の僕らならこうやってたよね」なんてフレーズがよく出るんですよ。きっと、一歩引いたところから“サウスケらしさ”を客観的に見れるようになったんだと思います。だから昔とはひと味違う新しい音楽の作り方を各々が楽しんでるんちゃうかな。
──離れていた期間があったからこそ、自分たちのバンドの輪郭が見えるようになったということ?
沖 そうだと思います。無意識に「昔の楽曲ってこんな感じじゃなかったっけ?」なんて会話してましたけど、5年の歳月があって客観視できるようになったから自然と出てくる言葉なのかな。今の大石の発言を聞いて気が付きましたね。
──それからアルバムに収録される新曲も、ただ昔をなぞるのではなく今の皆さんだから出てくるサウンド、歌詞、歌声だと感じました。
沖 はい、それが技術的にどうかは別として間違いなくそうですね。仮に今までずっと続けてたとして、そこでできる音楽とはまったく違うものでしょうから。
──あの、沖さんの発言からたびたび出る技術的な自信のなさが気になるんですが(笑)、そんなことはないですよね……? ほかのメンバーから見ていかがですか?
川原 ははは(笑)。僕も実際ドラムを叩く機会は多くなかったので人のこと言えないんですけど、これからライブをするにあたってみんな練習は必要ですね。ただ、Sound Scheduleにとって沖裕志のベースっていうのはすごく特徴的で、1つの個性なんですね。だから、もちろんうまく弾いてほしいし満足いくプレイをしてほしいと思うけれども、沖の“らしさ”がなくなるまで技術のほうに寄る必要はないだろうと。僕らしか出せへん“らしさ”を大切にしつつ、今回はそこからもう一段上がれるような音作りができたらなと思ってるんです。
再始動に臨む姿勢
──先程、再結成の目的として「バンドで知り合った人たちに何かを返したい」とおっしゃっていましたが、この活動を通して皆さん自身が成長できる部分も大きいと思うんです。それぞれ、どんな気持ちでこの再結成プロジェクトに臨まれるんでしょう。
大石 僕はさっきのスポットライトの話で、僕がいて、バンドがあって、ソロがあって、といろんなシルエットになれることを表現者として楽しみたいなと。そして、それがより多くの人に届けば本望です。人生で歌える時間が限られているのであれば、密度は濃いほうが絶対良いですしね。だから今回勝ち得るものって相当大きいような気がするんです。なので、とてもがんばりたいです。
沖 僕はとにかく楽しめればいいんじゃないかなっていうラフな感じです。ただはしゃいで終わりではなく、5年を経て気付けた面白さを存分に味わいたいですね。あとライブは、おそらく過去のSound Scheduleを知ってる人が多く来てくれると思うので、その人たちに何か貢献できればいいし、僕自身の糧にもなると思います。
──ライブも楽しみですね。当日、3人のステージでどんな言葉を叫びたいですか? やっぱり「ただいま」?
大石 たぶん「ありがとう」って言うと思います。会場には、サウスケにいろんな思いを抱えた人が来ると思うんですよ。その中で、僕たちがまたステージに立ってみんなとその空間を作ることができるっていうのは感謝以外の何物でもないと思う。本当にありがとうって気持ちしか湧いてけえへんのちゃうかなって。
──なるほど。ところで今回の再結成は「期間限定」と銘打たれていますが、具体的にはいつまで?
川原 9月の中旬から後半にかけて全国5カ所でライブをして、現時点の予定ではそれが最後です。でもどんな反応があるのか、やってみないとわからないのでその都度考えていきたいですね。どんな形にせよ、3人が良い距離感でいられるんだったら僕はそれがいいと思います。
大石、沖、川原にとってSound Scheduleとは
──それでは最後の質問です。3人それぞれ、自分にとってSound Scheduleとは何ですか?
大石 やっぱり「母体」ですね、自分の音楽の。今だから言えるんですけど、僕にとってSound Scheduleってバンドは、絶対に投げ出したり捨てたりしたらあかん歴史やと思います。で、その歴史がもう一度線と線でつながってまた進んでいこうとしてることに、ものすごく感謝しています。
沖 「気付けば血となり肉となってるもの」かなあ。育ててくれたものっていうほど大げさなものじゃないんですよ。でもSound Scheduleで得たものって大きくて、そのことに解散したあとでたくさん気付かされました。例えば普通の仕事していても、人前で緊張しないとか細かなこと1つひとつがSound Scheduleで培ったものだったり。アーティストをやっていれば人前に立つことは日常ですけど、それが日常じゃない場所に行って、過去の自分の経験が活きてるんだなってすごく実感しました。
川原 僕は昔から「自分と世の中をつなぐもの」だと思ってるんですよ。Sound Scheduleっていうバンドがあったから世の中の人に僕を知ってもらえたし、人と出会って喋って自分の幅を広げられたから。と同時に、照れなしに言うと本当に「青春」やったなと思うんです。今考えればもっとほかのことする時間もあったのに、バンドのことしか考えてなかった。でもそれがあるから今もあるわけで、今度はちょっと成熟した僕らが出せればいいなと思っています。
CD収録曲
- 新録曲
- ピーターパン・シンドローム(remix)
- 恋い焦がれ
- 君のためにできること
ほか全10曲収録予定
CD収録曲
- スパイス
- ゴールデン・ナイト
- HANABI
- きっととどかないだろう
- 竜巻
- 愛のかたち
- Out side way
- 太陽の国
- 傷だらけの少年
Sound Scheduleライブツアー「PLACE」
- 2011年9月17日(土)
東京都 WWW
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2011年9月19日(月・祝)
大阪府 心斎橋JANUS
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2011年9月23日(金・祝)
愛知県 名古屋ell.SIZE
OPEN 17:30 / START 18:00
Sound Schedule(さうんどすけじゅーる)
大石昌良(Vo, G)、沖裕志(B, Cho)、川原洋二(Dr, Key, Cho)による3ピースロックバンド。1999年、大学の軽音楽部で知り合い結成。アマチュア時代は神戸や大阪を中心に活動。2001年にシングル「吠える犬と君」でメジャーデビューを果たす。関西のラジオ番組で人気を獲得し、デビューイベントには1500人が集まり話題となる。以降シングル8枚、アルバム3枚をリリースし、2006年に惜しまれながら解散。その後大石はソロアーティストとして活動する。2011年、デビューから10年を機に期間限定で再結成。ニューアルバム「PLACE」リリースのほか全国ライブツアーを行う。