ナタリー PowerPush - Sound Schedule
デビュー10周年を機に再結成 独占取材ですべてを語る
2006年に解散したスリーピースロックバンド・Sound Schedule。「サウスケ」の通称で親しまれ、メジャーシーンで8枚のシングル、3枚のアルバムを発表した彼らは、解散後三者三様の人生を歩んでいた。しかしバンドのデビュー10周年にあたる今年、突如期間限定で再結成を発表! 9月に新曲を含むアルバム「PLACE」をリリースし、さらに全国ライブツアーを敢行する。
今回ナタリーでは、この再結成プロジェクトについて彼らが初めて語ったインタビューを掲載。久々に集まった大石昌良(Vo, G)、沖裕志(B, Cho)、川原洋二(Dr, Key, Cho)の3人は、各々の近況から解散当時の心境、再結成に至る経緯、ファンへの気持ち、そして自分にとってSound Scheduleとは何か、まで思いのすべてをさらけ出してくれた。
取材・文/鳴田麻未
3人の近況
──皆さんは解散後もたびたび会っていたんですか?
大石昌良(Vo, G) いえ、ほとんど会ってなかったです。2年に1回程度でしたね。
川原洋二(Dr, Key, Cho) 特に沖とはまったくといっていいほど顔を合わせる機会がなかったですね。仲が悪いわけじゃないですよ(笑)。僕と大石はこっち(音楽)の世界に残ってることもあってライブを観に行ったりしてましたけど、沖は普通の会社に勤めてるので。
──そうなんですか。では、お1人ずつ解散後の経歴と近況を簡単に教えてください。
大石 僕は1年ぐらいの制作期間を経て、Sound Scheduleとは別のレコード会社からソロデビューしてアルバムを2枚出しました。今もソロアーティストとして曲を作ったり、ライブをしたりと活動しています。
沖裕志(B, Cho) 僕は解散した後、友達と趣味程度のバンドをやって、そのバンドを抜け、何個か職を転々として、今は通信会社でWEBやモバイル関係の仕事をしてます。なのでここ2~3年は音楽から完全に離れていましたね。
──それは、音楽から離れたいと思って?
沖 というか、まったく別のことをやってみたいという気持ちがあったんです。大学時代からずっと音楽漬けだったので、違う世界で一からやってみるのも面白そうだなって。
川原 僕は最初の半年ほどアルバイトをしたりして、その後Sound Scheduleが所属していたヤマハミュージックコミュニケーションズにディレクターとして入社し、いろいろなアーティストと制作を行ってます。
──表舞台から裏方に回るというのは珍しいですね。
川原 よくそう言われます(笑)。なぜこうなったかというと、元から音楽好きっていうのはもちろんですが、バンドの頃から物の外側を見るのが好きなほうだったし、ずっとSound Scheduleとして突っ走ってきたのでメンバー以外の人と音楽を作った経験がほぼなかったんですよね。そこで、解散という1つの区切りもできたことだし、ほかのアーティストの方と一緒に仕事して自分の幅を広げるのも面白いだろうと、この世界に飛び込んだんです。
解散期間に感じたバンドの存在
──そんな、3人バラバラの日々の中でSound Scheduleのことを思い出す瞬間はありました?
大石 めちゃくちゃありましたよ。なんのてらいもなく話すと、僕はバンドをコンプレックスと感じてたんです。例えば僕のソロ活動で、バンド時代からのファンの方と気持ちのズレが生じてしまったり、ライブでSound Scheduleの曲を演奏したとき、僕はしっかり前を向いてるつもりでやっていても、その意味合いがうまく伝わらなかったり。そういう場面で歯がゆさを感じたこともありました。やっぱり未だに“Sound Scheduleの大石昌良”として見ている方は少なからずいるので、その中で今の自分をどう見せていくかはずっと考えて続けてます。
──じゃあソロ活動の中でもバンドのことはずっとついて回っていたんですね。
大石 そうですね。やっぱり僕の音楽の母体はこのバンドだし、もしバンドをやっていなかったら1人で歌うこともできなかったでしょうし、もちろん感謝はあるんですけど。実はね、解散を決めたときって僕が「バンドを辞めてソロ活動に専念したい」とみんなを説得したので、自ら家を飛び出したような形だったんですよ。だから後には引けない気持ちでがむしゃらにソロ活動をやってきましたけど、ふと家が恋しくなったりすることはありましたね。
──なるほど。沖さんはどうでしたか?
沖 僕も、解散後の新バンドのライブに以前ファンだった方が来てくれたりして、思い出すことは普通にありました。あと僕自身も、最近になって突然サウスケのCDを聴きたくなったりして。今まではこんなこと思わなかったのに、俺昔どんなことをやってたんだろう、聴き返してみようと。
──そう思うようになったのは、時間の経過によるもの? それとも気持ちの面で変わった部分があったんでしょうか。
沖 たぶん両方だと思うなあ。もう4年ぐらいはほかのことに精一杯で、そこに興味を引かれる時間がなかった。でも月日が経ったことと気持ちに余裕ができたことで、今までにない興味や関心が芽生えたんですよね。今は当時よりリスナー目線で聴けるので、単純に面白いですよ。
──川原さんは、ディレクターとしてバンドの経験を活かすことも頻繁にありそうですが。
川原 はい。むしろSound Scheduleのことを思い返すというより、何かに活かすことばかり考えてるかもしれないですね。でも仕事している最中に、昔お世話になった人が「元気にしてる?」なんて声をかけてくれたり、ラジオ局のオンエア表で僕らの曲名を見つけたりすると、そのたびにうれしくなります。まだどこかで誰かが覚えててくれて本当にありがたいなって。
──Sound Scheduleの音楽が今も残っていることをリアルに感じていたと。
川原 そうなんです。そういうことに背中を押されて、今回の再結成を決めた部分もありますね。
──というと?
川原 そうやって何年経っても忘れずにいてくれる人、3人の今の状況も見つつ理解した上で「またやったら?」と言ってくれる人、その人たちに対して何かできないかな、とはずっと思っていたんです。これは初めて話しますけど、解散するとき、彼(大石)がソロをやりたいというところから話が始まって、僕らもそれぞれに強情な部分があったので「メンバーチェンジもしてこなかったからこのタイミングで大石の代わりを入れるつもりもないし、それなら解散しよう」と決断したんですね。正直今思えば、周囲の意見をあまり聞いてなかったかもしれない(笑)。
大石 ふふふふ、みんな強情やったっていうのは確かに(笑)。言い出しっぺの僕も、離れてみて改めてバンドと人とのつながりを感じました。バンドでつながっていた人たちはものすごくプラスのエネルギーを僕らに流し込んでくれていたにもかかわらず、僕らがそれを想像できずに断ち切ってしまったのはあまり良くないことだったなと思いましたし、逆にもっと良いやり方があったんちゃうかなと。今となっては、ですけど。
CD収録曲
- 新録曲
- ピーターパン・シンドローム(remix)
- 恋い焦がれ
- 君のためにできること
ほか全10曲収録予定
CD収録曲
- スパイス
- ゴールデン・ナイト
- HANABI
- きっととどかないだろう
- 竜巻
- 愛のかたち
- Out side way
- 太陽の国
- 傷だらけの少年
Sound Scheduleライブツアー「PLACE」
- 2011年9月17日(土)
東京都 WWW
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2011年9月19日(月・祝)
大阪府 心斎橋JANUS
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2011年9月23日(金・祝)
愛知県 名古屋ell.SIZE
OPEN 17:30 / START 18:00
Sound Schedule(さうんどすけじゅーる)
大石昌良(Vo, G)、沖裕志(B, Cho)、川原洋二(Dr, Key, Cho)による3ピースロックバンド。1999年、大学の軽音楽部で知り合い結成。アマチュア時代は神戸や大阪を中心に活動。2001年にシングル「吠える犬と君」でメジャーデビューを果たす。関西のラジオ番組で人気を獲得し、デビューイベントには1500人が集まり話題となる。以降シングル8枚、アルバム3枚をリリースし、2006年に惜しまれながら解散。その後大石はソロアーティストとして活動する。2011年、デビューから10年を機に期間限定で再結成。ニューアルバム「PLACE」リリースのほか全国ライブツアーを行う。