ナタリー PowerPush - Soulcrap

耳で楽しむアメリカ大陸横断!コンセプト盤「'Too hot' road!」

スタジオを使わずに録音すると聴いたことがないような面白い音になる

──アルバムの中で各地を旅するように、楽曲ごとに音像も変化してるように感じたんですが、レコーディングにあたってこだわりはありましたか?

インタビュー写真

TAIKI.N 今回「TOKYO SOUND」っていう、自分らのサウンドシステムというか、録音機材を導入してレコーディングしたんだよね。場所はどこであれ自分たちで機材を持ち込んで、マイクもセッティングして、それで一発録音でレコーディングした。

Ippei 例えばアメリカなんかは、すごく土地が広いからガレージでもどこでも音が出せたりして、そういうのがアメリカっぽい音につながっていたりするでしょ? でも東京だと音が出せる空間っていうのが限られてる。だけど、その場所で演奏したら自然とそこでしか出せない音になるようなところで録音したくて。いろんなところをあたって、音が出せると聞けばそこまで駆けつけて。

TAIKI.N 今回はロケーションは4カ所だったかな。知り合いがやってる群馬のほうのジャズ喫茶とかね。でも、そこがお店だけかと思ったら2階が実家でね(笑)。

Ippei 途中でお母さんが覗きに来たり、お寿司が出てきたり(笑)。すごくアットホームな感じで。あと、大塚のDONFAN(ジャズバー)ではお店が狭いから、俺がギター弾いてたのキッチンの中でしたからね(笑)。そういう手作り感も面白かった。

──レコーディングスタジオで試行錯誤してマイクの立て方を工夫して、昔のスタジオの音に近づけるみたいなのも方法のひとつだけど、もっと自然にその場所が鳴っている音を録るっていう。

TAIKI.N 前回のアルバムは全部スタジオで録ったんだけど、マイクの本数たくさん立ててみたりしても、結局使うのって限られてて。だったらもっと効率良くいい音で録れるなって思ったんだよね。スタジオっぽくない、その場所ならではの空気が録れるんじゃないかと。

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Ippei いい鳴りのする場所に機材を持ち込んで録音すると、勝手にオリジナルな音になるっていうか。お金積んでスタジオ借りて、こういう機材使ってこういう音を出したいっていうんじゃなくて、できる限りの範囲でやったほうが、聴いたことないような面白い音ができるっていう実験をやったような感じだね。

TAIKI.N 「FOLLOW ME!」はマスタリング手前まで自分たちでやりましたね。前作がスタジオでセッションやるって決めてカッチリ決め込んで録音したから、その振り子の反動というか、今回は俺らが自分で録音したほうがいい曲と、スタジオで録ったほうがいい曲っていうのを必要に応じてわけてチョイスしてみたんです。LONちゃん(東京スカパラダイスオーケストラのメンバーだったクリーンヘッド・ギムラや杉村ルイの実兄)をゲストボーカルに招いた「Wonderful People」なんかは、スタジオを使って録音した曲だね。

信号がない道でデカイ音で聴いてほしいね

──ちなみにLONさんとの出会いは?

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TAIKI.N 1991年ぐらいだったかな、LONちゃんがブルー・マウンテンズのメンバーとして活動してた時期に、俺が19歳ぐらいで。モッズやパンクからR&Bにのめり込んで、そこからだんだんとレゲエやファンクの影響が入ってくるときに、ブルー・マウンテンズは既にそういった音楽をバンドとして体現してたんだよね。R&Bとジャマイカ音楽をつないでくれた、最初のきっかけかもしれない。俺にとっては、それぐらい影響受けたバンドだった。

Ippei 俺はその伝説だけを聞いてカッコよかったんだろうなって想像しつつ、ずっと音源だけ聴いてたんです。で、レコーディングにLONちゃんに来てもらって、「あの声だ!」って感激して。

TAIKI.N Soulcrapでも、ずっと前からカバーさせてもらってた曲だったから、やっと本人を迎えられるようになったかなって。満を持して録音してみた。テイク1でOKだったね。

──その他にも、トロンボーン&ボーカルとしてHiroshi Brown(Oi-SKALL MATES)、エレピにHIDE♪(DONFAN)、コンガに及川浩志(central)とゲストも参加していますが、ナッシュビルをテーマにした「Calling Around」で参加しているShintaro.Oさんはどういう方なんですか?

TAIKI.N 彼はホセ(現キノコアザヤカ)っていうバンドをやっていたんだけど、10年以上前に知り合って。秋葉原のクラブグッドマンあたりで一緒にライブやって、ものすごい才能だなって思ってて。彼がときどき曲を持ってきてくれるんだけど、その中で、コレいいんじゃないかなって思う曲があって。それを今回一緒にやってみたんだけど、あまりにも楽曲がいいからみんなファンになっちゃってね。やっぱり彼は天才だなって。

──アコースティックなフォーク調の楽曲で、今までとは違った印象を覚えました。

TAIKI.N だからナッシュビルに置いてみたんだけど、アトランタでもよかったかな(笑)。

──ナッシュヴィルだからといって、特にカントリーっぽいわけでもないですしね。フォーキーな楽曲にナイヤビンギが混ざって来るあたりもSoulcrapらしくて。これも「RIDDIM & BLUES」なんですよね。こうして旅する「ロードミュージック」と呼びたくなるようなアルバムが完成したわけですが。

Ippei 今回はゲストも何人も入ってて、旅をしながらいろんな人と出会って、一緒に音を鳴らして、また離れていくような。そういう部分も聴いてて楽しいね。

TAIKI.N とりあえず、信号がない道でデカイ音で聴いてほしいね。高速道路飛ばしながらだったら間違いないかな(笑)。

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Soulcrap / 'Too hot' road! 2012.7.18 on sale。

ニューアルバム「'Too hot' road!」/ 2012年7月18日発売 2012年7月18日発売 2415円 / SKA in the World / SIWI-190

収録曲
  1. ‘Too hot’ road!
  2. All of me
  3. God luck my dear
  4. Down in Mexico
  5. Got to get enough
  6. Follow me
  7. Calling around
  8. I'm the One
  9. Wonderful people
  10. Jamaica farewell
  11. Rambling man
ライブ情報
Soulcrap ‘Too hot’ road! Release Party

2012年9月9日(日) 東京都 新代田FEVER
OPEN 18:00 / START 18:30
前売2300円 / 当日2800円(ドリンク代別)

<出演者>
LIVE:Soulcrap / Oi-SKALL MATES / CENTRAL / Takero & The Cedrics(Jackie & The Cedrics)
Dee Jay:DR.IHARA(CLUB SKA) / DADDY-O-NOV(Radio Underground)

Soulcrap(そうるくらっぷ)

Soulcrap

BLUE BEAT PLAYERSのTAIKI.N(G, Vo)を中心に、前身バンドHigh Rhythmのメンバーにより1992年に結成。レゲエやスカ、R&Bなどを取り入れたロックサウンドとソウルフルな歌声でファンを増やす。1997年に活動停止するが、ロッキン・ジェリービーンの結婚パーティをきっかけに2002年に復活。2010年に1stアルバム「Riddim & Blues」を発表して以降は毎年連続で新たな作品を制作しており、2012年7月には初のコンセプトアルバム「'Too hot' road!」をリリースした。