ナタリー PowerPush - Soulcrap
耳で楽しむアメリカ大陸横断!コンセプト盤「'Too hot' road!」
アメリカに行ったときの実際のエピソードも入ってる
──今回のアルバムは、アメリカを旅するコンセプトアルバムということで制作されたそうですが。
Ippei たまたまスタジオでアメリカ旅行の話をしてて、そこから発展していった。
TAIKI.N 俺が、毎年のようにアメリカに行ってる時期があって。その年ごとに一緒に行くメンバーが変わってるから、バンド全員で旅したワケじゃないんだけど。それぞれと行った記憶が合わさって、今回のコンセプトになった感じかな。
──アメリカには毎年行ってたんですか?
TAIKI.N 1991年ぐらいから2000年ぐらいまでかな。例えばニューヨークとメンフィスにしても、街によってスピードが全然違うじゃない? 音楽が盛んな、黒人がたくさん住んでるようなところだと、何年前かに行ったときと同じTシャツ売ってるおじさん見かけたり、割れたガラス瓶が、去年あったところにそのままあったりさ。そういうのを、街それぞれの時間の流れ方を感じたりするのも面白かった。
──実際のエピソードが元になった部分も多いんですか?
TAIKI.N うん。ヨーロッパ側から来るヤツと、LAのほうから来るヤツとメンフィスで落ち合って。携帯電話なんかもない時代だから、「金曜の夜7時にB.B.キングの店の前ね!」って前もって約束して……みたいな感じでね。車でルート55をぶっ飛ばしてシカゴまで北上して。
Ippei そのままジャマイカでも行こうかって、ニューヨーク経由でジャマイカに飛んで……ジャマイカではひどい目にあったね(笑)。
TAIKI.N そういうエピソードも入ってる。
──架空のロードムービーみたいなものかと思ったら、エピソードは結構現実的なんですね(笑)。
Ippei 音楽的な部分でいえば、シカゴにはチェス・レコード(ブルース、R&B系のレコードレーベル)があるからブルースで、ニューヨークはワッキーズ(レゲエのレコードレーベル)みたいなレゲエ……みたいな感じで、街を移動するごとに、その土地土地の音楽を演奏していくようなね。
TAIKI.N そういうコンセプトを作っておくと、振り幅が出しやすいというか、普段できないような曲調も入れ込みやすかったりね。
パンク系の人からはパンク、ガレージ系の人からはガレージと思われる
──図らずも、Soulcrapの中にある音楽性の多様さをピックアップしたような仕上がりになってますよね。
Ippei そう。だから、ある意味では一番Soulcrapらしいものができたかもしれない。
TAIKI.N 例えばメンフィスをテーマにした「Got to get enough」は、リズムこそスカなんだけど、いわゆるソウルミュージックだよね。
──この曲は特に、Soulcrapが以前から自分たちの音楽を表すときに使う「RIDDIM & BLUES」っていうキーワードを、ダイレクトに反映してる曲ですよね。「RIDDIM」は、ジャマイカのスラングで「RHYTHM」を意味する言葉ですが、その「RIDDIM」という言葉自体が、スカやレゲエの裏打ちのビートや、ゆったりとしたグルーヴ感を表現していて。そこにジャズやブルースを元にしてアメリカで生まれた「RHYTHM & BLUES」が重なる。どちらも根っこは同じなんだけど、その両方を自由に横断しながら体現できるバンドっていうのは、意外と少ないなって思って。
TAIKI.N そうかもしれないね。俺たちはスカやレゲエも好きだし、R&Bやソウルも好きだし。そうしたルーツ音楽を、今の時代からアプローチして演奏するっていう意味では、「RIDDIM & BLUES」って言うほうがしっくりくるんだよね。
Ippei まあ、単純にどっちも好きで、どっちもやりたいだけなんですけどね。欲張りな感じで(笑)。でも意外と、俺らのことを、パンク系の人からはパンクっぽいイメージを持たれたり、ガレージ系の人からはガレージっぽい印象を持たれたりするよね。
──パンクやガレージの人たちにも好まれるのは、ロックンロールの根っこの部分ともつながってるっていうことが、Soulcrapの音楽から感じられるからなんでしょうね。
TAIKI.N やってることは、昔から同じことなんだけどね。そんな難しいことはできないし。
ニューアルバム「'Too hot' road!」/ 2012年7月18日発売 2012年7月18日発売 2415円 / SKA in the World / SIWI-190
収録曲
- ‘Too hot’ road!
- All of me
- God luck my dear
- Down in Mexico
- Got to get enough
- Follow me
- Calling around
- I'm the One
- Wonderful people
- Jamaica farewell
- Rambling man
ライブ情報
Soulcrap ‘Too hot’ road! Release Party
2012年9月9日(日) 東京都 新代田FEVER
OPEN 18:00 / START 18:30
前売2300円 / 当日2800円(ドリンク代別)
<出演者>
LIVE:Soulcrap / Oi-SKALL MATES / CENTRAL / Takero & The Cedrics(Jackie & The Cedrics)
Dee Jay:DR.IHARA(CLUB SKA) / DADDY-O-NOV(Radio Underground)
Soulcrap(そうるくらっぷ)
BLUE BEAT PLAYERSのTAIKI.N(G, Vo)を中心に、前身バンドHigh Rhythmのメンバーにより1992年に結成。レゲエやスカ、R&Bなどを取り入れたロックサウンドとソウルフルな歌声でファンを増やす。1997年に活動停止するが、ロッキン・ジェリービーンの結婚パーティをきっかけに2002年に復活。2010年に1stアルバム「Riddim & Blues」を発表して以降は毎年連続で新たな作品を制作しており、2012年7月には初のコンセプトアルバム「'Too hot' road!」をリリースした。