ナタリー PowerPush - ソノダバンド
ロックシーンを鮮やかに塗り替える“イケメン東大生バンド”の本気とは?
アメリカのライブを契機にどんどんロックバンドになっていった
──今度リリースされるライブDVDやYouTubeの映像を拝見したんですけど、バイオリンやチェロがいて、クラシックの素養もあるバンドにしては、なんかこう、演奏はけっこう粗いですよね。
園田 それ褒め言葉ですよね?(笑)
──もちろん(笑)。先入観を良い意味で裏切られた気がしました。
園田 それはよく言われるんですよね。やっぱりバイオリンとチェロがいるっていうと、どうしても硬かったり上品だったりっていうイメージがあるみたいで。
──お行儀良い感じはしますよね。
園田 ね。でも普段の曲の作り方はロック的というか、まあバイオリンとチェロはボーカリストみたいなもんなんで一応楽譜は書いて渡すんですけど、ほかはもうコードちょちょっと決めて、あとはスタジオでやってみようみたいな感じです。
──自分たちがロックバンドだっていう意識はありますか?
園田 この1年くらいでそういう意識が出てきた、かな。
──意外と最近ですね(笑)。ジャンルにとらわれない音楽をやりつつ、でもやっぱりソノダバンドはロックがベースにあるように感じるんですよね。
園田 確かに、みんな共通してロックは好きですから。
赤股 僕は自分たちがロックバンドだなって思い始めたのはホントこの半年とかですね。その意識的なきっかけになったのは、アメリカのSXSWでのライブで。それまではやっぱりミスが気になったりとか丁寧に弾こうとか、そういう意識がライブ中にも働いてたんですけど、SXSWでやったときはもうお客さんがものすごい良い反応してくれて手放しで喜んでくれてて、演奏もけっこう粗かったんですけど、もうそんなことどうでもよくなるくらい楽しくて。その経験があって以来、細かいことは気にしなくなって、どんどんロック寄りになってきたなって僕は感じてるんですけど。
──そのときの映像、YouTubeで観ました。お客さんの盛り上がりすごかったですね。
赤股 ふふふ(笑)。あれはやっぱりめちゃめちゃでかい経験になりましたね。
アメリカの音楽にどっぷり染まってこの20年ぐらい生きてきた
──言葉の壁を越えて、世界を相手にやっていけるっていうのはインストバンドの大きな利点ですよね。
園田 インストバンドをやる意味っていうのはやっぱり考えるんです。「インストなんて売れないよ」って言う人はこの業界にたくさんいて、こっちは「でも歌詞がないんだからいろんな国で演奏できるチャンスはありますよ」って反論するんですけど、でもやっぱりそれまでは実体験を伴ってなかったんで。
赤股 日本でやってるうちは証明できないからね。
園田 だから一旦海外に出て、ちゃんとそこを証明できたのはよかったなと思って。
──ソノダバンドは典型的なロックバンドではないかもしれないけど、ロックの雑食音楽的な側面を体現しているという印象があります。ある種なんでもありというか。
園田 SXSWの会場はジャズクラブだったんですよ。で、対バンも普通のジャズやラテンのバンドが多かったんですけど、僕らは1曲目から4つ打ちの曲をやって、2曲目も……。
赤股 ディストーションかましてパワーコードをバーン!みたいな(笑)。
園田 さすがのアメリカのお客さんも最初は戸惑ってましたけどね。でもそのあとすごいスピードで盛り上がってきて。
──彼らアメリカのお客さんにとって、ソノダバンドのどこが面白かったんでしょうね。
園田 わかんないですけど、曲を書いてる立場からすれば、僕はかなりアメリカの音楽にどっぷり染まってこの20年ぐらい生きてきたんでその影響はあるのかな、と思います。でも同時に、日本人である僕のフィルターを通してできてる曲なわけで、そこがウケたっていうのはあるんじゃないかな。ライブが終わったあと黒人のおじいちゃんが寄ってきてくれて「おまえの曲は俺たちが先祖代々受け継いできた音楽とすごくシンクロする部分があるよ」とか、そういうこと言ってくれたりして。もうそれからアメリカが大好きになりました(笑)。
CD収録曲
- Soul River_2010
- Reflections
- 悲しい太陽
- 旅立つものたち
- 上海午前零時
- Tango-Fragments
- C'est la vie [Re:]
- 生きる
<BONUS TRACK>
- Spanish Ecstasy [LIVE]
- もうすぐ [LIVE]
DVD収録曲
- Trust Your Groove
- Flying Express II
- Spanish Ecstasy
- Brazilian Sunset
- float
- 悲しい太陽
- 上海午前零時
- Soul River
- Black Day
- 霧時雨
- ぼくのスウィング
- Shattered Love
- Take Me To The Carnival
- もうすぐ
- Moonset
ソノダバンド
園田涼(Key)、熱田哲(Violin)、橋本怜(Cello)、赤股賢二郎(G)、牧瀬崇之(B)、小山田和正(Dr)からなる6人組インストゥルメンタルバンド。2006年に東京大学の音楽サークルで結成。都内ライブハウスを中心に活動を開始し、インディーズで2枚のミニアルバムを発表。2010年3月に米テキサス州オースティンで開催された「SXSW」に出演し、現地の音楽ファンの熱狂的な支持を集める。同年5月に初のフルアルバム「shiftrise」をリリースし、10月にはFlyingStar Recordsよりアルバム「ルネサンス」でメジャーデビュー。12月にはライブDVD「2010年5月15日のソノダバンド」もリリース。