ナタリー PowerPush - 曽根由希江
恋愛成就のセツナソング 3rdシングル「君のとなりに」
言いたくても言えない気持ちを音楽にぶつけている
──細かいところだと、歌詞の最初と最後に同じフレーズが来ているのが印象的でした。
その2カ所を同じにしたのは、同じだけど違って聞こえたらいいなっていうのがあって。歌声も似てるけど最後のだけは少し余韻を残したかったんですよ。でも、この言葉が希望に聞こえるか苦しさに聞こえるかは……多分リスナー次第だと思います。
──うん、そんな気がしますよね。では全体的に歌で気を配ったところは?
やっぱり共感していただきたいという気持ちが強かったです。さっきも言ったように、初めて曲を作ったときに自分の言い出せない気持ちを音楽にぶつけたんですが、それを学校の文化祭で発表したとき、友達が「すごい良かったよ」って言ってくれて。でも、私はそれをいったいどういう意味だろう?って考えたんです。自分がステージで歌ったことについてか、その曲の歌詞やメロディが伝わったということなのか……いろいろ思いを巡らせたんですが、そうしてるうちに「曲っていうのは伝わらなきゃ、届かなきゃ意味がないんだ」ってことに気付いたんですよ。だから自己満足じゃなく、何か伝えたいっていう部分は常に意識しながら曲を書いたり、歌ったりしていますね。
──今作は、どんなふうにリスナーに届いてほしい?
同じような経験をしてる方には「苦しいのは自分だけじゃないよ」って思っていただきたいし、逆にそれほど好きになれた人がいるっていうのはすごいことだって思ってほしい。苦しいかもしれないけど、それくらい大きな恋をしてるっていうのは素敵なことだよって。ちょっとした希望というか、そういうふうにも受け取ってもらえたらうれしいなって。
──確かに、ずっと恋をしていないとか、恋愛の始め方がわからないって人が最近は本当に多いらしいですからね。
ねえ! だからやっぱり、このくらい惚れこめる相手がいるっていうのは、すごいことだなって思います。
ビデオクリップでは、使えないくらいガチ泣き!
──曲だけでなく、今回はジャケット写真やビデオクリップにも新たな挑戦がありますよね。
そうなんです。メイクは今までと違うカッコいい系というか、クールな感じにしてもらって。自分で見るのはちょっと恥ずかしいんですが、本当にきれいに撮っていただいたので、「これ誰?」ってよく言われます(笑)。でも、こういうテイストにしたのは理由があって、今回の曲には強い芯の部分もあるっていうことを出したかったんです。「君のとなりに」は、ただか弱いだけの女の子を描いたわけじゃないんだぞって。
──なるほど。言われてみると、それは曽根さんの強い目線から感じるかも。
ああ、良かった! ジャケット写真に関しては、そこに結構こだわりたいって言ってたんです。
──ビデオクリップもなかなかの名演技でしたね。
あははは(笑)。今回は初めて本格的な演技に挑戦して、最初は戸惑いましたが、とにかく(歌詞の主人公に)なりきろう!って思って。そしたら、主人公の気持ちを考えてるうちに本当に悲しくなって、リアルに号泣。完成したPVにはちょこっとしか映ってないんですが、映像として使えないくらいガチ泣きしちゃったんです。
──いやあ、女優ですね(笑)。
普段は無理なんですけど、やっぱり音楽があると泣きやすいみたいで。PVの撮影中はずっと涙が流れてたし、時間もたっぷりあったから入り込めたのかなと。でも、ずっと泣いてると呼吸が苦しくなってきて本当に大変でした。ほかには、ピアノを弾いたり車を運転するシーンなどもあるんですが、それら全部含めて、今まで一番感情的なPVに仕上がってるかなと思います。
収録曲
- 君のとなりに
- New days
- あおげばとうとし -弾き語りバージョン‐
- 君のとなりに -Vocal-less Track-
- New days -Vocal-less Track-
DVD収録内容
- 君のとなりに(PV)
- 君のとなりに(PVメイキング映像)
曽根由希江(そねゆきえ)
1985年東京都生まれのシンガーソングライター。3歳からピアノを始め、2007年にラジオ番組の企画ユニット「音野菜」を結成しオリジナル曲を配信リリース。2010年10月に「ギンモクセイ」でCDソロデビューを果たす。2011年5月に発表した2ndシングル「HOME」がテレビ朝日系ドラマ「おみやさん」の主題歌に起用。同年11月リリースの3rdシングル「君のとなりに」はテレビ東京系ドラマ「ここが噂のエル・パラシオ」のエンディングテーマとしてオンエアされている。音楽活動以外にも、TBS系「王様のブランチ」のレポーターやラジオパーソナリティとしても活躍中。