SOMETIME'S|新作音源「Slow Dance EP」で鳴らす、2人だからこそ紡げる音楽

2人でやることに意味を持たせた「Horizon」

──「Horizon」では音数をぐっと減らして、SOTAさんのボーカルとTAKKIさんのギターだけで曲が進行しているのが印象的でした。

SOTA いろいろ人を増やす選択をしてきたからこそ、2人でやる曲も欲しくて制作を始めたのが「Horizon」なんです。この曲に関してはTAKKIが「2人でやる」というコンセプトでメロディを考えてくれて、長野のスタジオに入って完成させた曲ですね。

TAKKI 冒頭の歌詞が英語なんですけど、よさそうな英語のセンテンスが自分では思い浮かばなくて。長野のスタジオから英検1級を持っているマネージャーに電話して、いい感じの英文を即興で作ってもらったんです。そのときできた英文が言葉の響きを含めてけっこうよくて、そのまますんなり曲全体のイメージも固まっていきましたね

SOTA この曲もギターソロがカッコいいよね。

TAKKI 2人でやることにすごく意味を持たせたかったから、2Aは1Aと同じメロをギターでなぞるような構成にしているんです。テクニカルなことはしていないけど、突飛なことをせずに意味を詰め込むにはいい構成かなと思って。

──SOTAさんのソウルフルな歌声と相まって、英語の歌詞がものすごく合う印象がありますが、割合で言うと日本語詞のほうが多いですよね。日本語で歌詞をつづることにもこだわりがあるように感じました。

TAKKI 僕もSOTAのボーカルには英語が合うと思って、最初はけっこう英語詞を当てていたんですが、最近日本語詞の割合が増えてきました。SOMETIME'SのサウンドにSOTAの英語のボーカルを乗せるとすごく様になるのは承知しつつ、いろんな曲を歌ってもらったときにメッセージまでしっかり伝わったという手応えを感じるのは日本語詞のほうが多かったんですよね。メロディを最優先でボーカルを1つの楽器と捉えてるところもあるので、日本語だとうまく表現できない符割りとかが出てくると英語に任せることも多いんですが。

SOTA 「TOBARI」(2020年10月発売の音源)に比べると日本語詞の割合が増えてきたかもね。

TAKKI もしかしたらIRORI Recordsに所属することが決まったりして、多くの人に聴いてもらえる環境に身を置けるようになったのが大きいかもしれないです。所属を発表してからいろんな人に注目してもらって、いろんな人に聴いてもらえている実感がすごくあるんですよね。それならもっと自分たちの考えていること、感じていることを伝えたいという欲求が強くなってきて、最近は日本語詞のほうが多くなってきている気がします。

SOMETIME'Sだからできるアプローチの仕方

──SOMETIME'Sは「バンド」と言われることもありますが「Never let me」はリズムパターンを電子音に委ねたEDM調の曲で、バンドっぽくはないアプローチですよね。アレンジャーの藤田さんはこういうアプローチが得意なんですか?

TAKKI 藤田はもともとYMOとか1980年代系の音楽が好きでシンセマニアなんですよ。なので電子音的なサウンドにものすごく詳しい。デモの段階ではもっとEDM調だったんですよ。SOMETIME'Sでアヴィーチーっぽい曲をやる、みたいな。それはちょっと行きすぎてる感じがあったので、押さえました(笑)。

SOTA もうちょっと時代が進んだら1周回ってよかったかもしれないけど、今リリースすると単純に時代遅れになっちゃいそうなサウンドだったよね(笑)。

TAKKI うん。EDMっぽさを残しながらハウスの要素を入れてフランクに聴ける塩梅にサウンドを落ち着かせてみました。イントロの部分もシンセでなぞったり、ギターのアルペジオワークで演奏してみたり、けっこういろんな研究を重ねて仕上げた1曲ですね。結局SOMETIME'Sらしくなった1曲だと思います。

バンドという概念から離れた挑戦を

──6月にはSOMETIME’Sとして初めてのツアーが東阪の2都市で開催されます。どんなライブになりそうですか?(※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、10月への開催延期が決定)

TAKKI(G)

TAKKI このインタビューが載る頃には固まっているとは思うんですが、現時点ではまだ模索中なんです。SOMETIME'Sとしていろんな方向性の曲が作れた手応えはあるので、それらをうまくカテゴライズしてしっかり区切ってライブをするのか、それともいろんな曲を混ぜて先の読めないライブにするか。やりようがいくらでも出てきたからこそ迷っています。

SOTA これだけ管楽器の入った音源をリリースしたんだから、管楽器は入れたいよね。

TAKKI もちろん。ただ、音源とまったく同じ構成にはならないと思います。今までのライブでもそうなんですけど、レコーディングに参加しなかった楽器をライブで入れるのが好きなんですよ(笑)。バラードをやるときリハで突然「サックス入れてみない?」といった意見が出てきたりして。そういうセッション的な楽しさがSOMETIME'Sの強みだと思っているので、そういう面白味は今回のライブでも生かしたいですね。

──2月のライブを拝見させていただきましたが、メンバー全員がじっくりソロ回しをするようなライブは最近だとなかなかないなと思いました(参照:2人で始まったSOMETIME'S、仲間に囲まれ大編成で成し遂げた初ワンマン)。

TAKKI 確かに(笑)9人が8小節ずつ回すのなんてなかなかないですから。でも、それが楽しいんですよ。

──最後にSOMETIME'Sとして挑戦してみたいことを聞かせてください。

SOTA すごく大きな会場をイメージして作っている曲がたくさんあるんですよ。ライブのキャパをどんどん大きくしたいし、ライブの編成ももっと大所帯にしたいですね。

──9人でも多いと思いましたが、それ以上ですか!

SOTA 本音を言うとコーラスだけでも4人ぐらい入れたいです(笑)。そうなるとステージが狭くなっちゃうから、ホールやアリーナじゃないと……。

──そういうビジョンがすでに見えているんですね。

TAKKI 僕はSOTAと同じでホールやアリーナはもちろん、例えばオーケストラとSOMETIME'Sとか、吹奏楽とSOMETIME'Sとか、そういう編成も面白そうだなと思っています。せっかく2人なので、バンドという概念から離れたチャレンジをしてみたいですね。

ライブ情報

SOMETIME'S New EP Release Tour 2021
  • 2021年10月15日(金)大阪府 ROCKTOWN
  • 2021年10月30日(土)東京都 WWW
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