SOLEIL|半年間の“急成長”収めた2ndアルバム

SOLEILが2ndアルバム「SOLEIL is Alright」をリリースした。

真島昌利(ザ・クロマニヨンズ、ましまろ)やカジヒデキなど豪華作家陣の参加が話題を呼んだ1stアルバム「My Name is SOLEIL」に引き続き、今作にも横山剣(クレイジーケンバンド)、澤部渡(スカート)、森若香織(GO-BANG'S)、原田真二といった多彩なアーティストが楽曲を提供している。音楽ナタリーではそれいゆ(Vo)、サリー久保田(B)、中森泰弘(G)にインタビューを実施。前作から約半年という短いスパンで届けられたアルバムの制作背景を語ってもらった。またページの後半には、それいゆのフォトギャラリーを掲載している。

取材・文 / 南波一海 撮影 / 曽我美芽

学校に不要物を持ってきてるのはダメです

──前回のインタビューで、それいゆさんの学校ではSOLEILの活動は知られていないという話だったじゃないですか。アルバムを出したらさすがにバレるだろうみたいな話をしたと思うんですけど、実際どうだったんですか?

SOLEIL
それいゆ(Vo)

それいゆ(Vo) ふふ(首を縦に振る)。

中森泰弘(G) 知られたんだ!

サリー久保田(B) 知れ渡ったんですね。

それいゆ はい。でも、わりとみんなほっといてくれます。

──おお、東京っぽい。

久保田 お昼休みに並んだりしないんですか? サインしてくださいって。

それいゆ 1人来ました。

中森 おお!

それいゆ 「ヤダ」って言いました。

中森 しなかったんだ。ひどいなあ。

それいゆ 学校に不要物を持ってきてるのはダメです。

久保田 なるほど(笑)。

──男子ですか?

それいゆ 男子です。

中森 前の晩にドキドキしながら持っていっただろうに、あっさりと断られ。

それいゆ 絶対そんなことないですよ。ちょっとからかってやろうくらいの感じです。廊下ですれ違うと鼻歌で(SOLEILの曲を)歌ってくるんです。

──中学校っぽい! いい話ですね。この夏で吹奏楽部は引退したんですか?

それいゆ 引退しました。最後にコンクールがあって、次の日に軽く反省会兼お別れ会みたいなのがあって。

久保田 後輩とかはみんな泣くんですか?

それいゆ 泣かないです。

──1つの青春の終わりじゃないですか。

それいゆ はい。

中森 ヤバい。おれが寂しい気持ちになってきた(笑)。青春が1つ終わったって言葉にやられました。

──それこそ久保田さんがSOLEILの活動に関して、それいゆさんの年齢とかを意識されているのはそういうことなんですよね。

久保田 そうかもしれない。もう14歳じゃなくて15歳ですしね。半年ですけど、声も若干変わった感じがあったし。でも、いろんな同世代の子の歌を聴きますけど、意外とそれいゆちゃんみたいな声質の子っていないんだなと思ったんですよね。だからやっぱりいいなと思って。

──久保田さんから見て、声はどう変わっていったと思いますか?

久保田 すごく単純に言えば、子供っぽさが減ったっていう。当たり前ですけど。

中森 滑舌がよくなりましたよね。

久保田 舌っ足らずなところがあったんですよね。

──デビューシングルの「Pinky Fluffy」を聴くとそう思いますよね。それいゆさんは自分では変化を感じますか?

それいゆ この間、中森さんの車でひさびさに「Pinky Fluffy」を聴いて、「ああ……」ってなりました。

中森 「なんだこれ?」って言ってたよね(笑)。

久保田 まだ1年前くらいの話なんですけどね。僕も途中まで、それいゆちゃんの声の感じが変わっていることに気が付かなかったんですよ。1stアルバムを聴いてちょっと違うんだなと思いましたけど。さくら学院じゃないですけど、本当に日々成長中なんだなって。まさに同年代ですしね。

──3月に1stアルバムがリリースされたと思ったら、半年後にはもう2ndアルバムが完成して。それいゆさんの高校受験があるので秋以降の活動が一旦お休みになるというのが大きいのでしょうか。

久保田 前作が14歳で、今作は15歳、来年は16歳で、というふうに作っていきたくて。なので、そうですね……高校受験っていうのがデカいんですね。今回、けっこう急ぎました(笑)。半年しかなかったので。迷ったんですけどね。来年に作ろうかなとか。

──それいゆさんの受験が終わってから16歳の誕生日を迎えるまでの期間に出すっていう手もありますもんね。

久保田 そうそう。

中森 でも、1枚目のリリース直後に「作りましょう」っていう話になって。

久保田 だから、やろうと決めたのは3月くらい? 1月には1stアルバムを作り終わっていて、3月くらいまではやるかどうか迷ってた感じもあったんだけど、もう流れでやっちゃえって。

中森 海外の著名なアーティストと比べるのもなんですけど、昔はものすごいスピードだったじゃないですか。そういうのもやってみたかったんですよね。勢いを止めないでやりたいっていうのはありました。

久保田 受験が終わってからだと、ちょっと間が空きすぎるかなと思ったので。

中森 9月のツアーのあと、お休みになるんですけど、本当に何もできなくなるので。ライブもできないしプロモーションもできないので、だったらアルバムをドンと置いてお休みしようかなという。

1、2分くらいで曲が替わっていくほうが楽しい

サリー久保田(B)
中森泰弘(G)

──そうして2枚目を作ることになり。今回はこういう作品にしようというのはあったんですか?

久保田 基本的には同じものをまた作ろうかなと思っていたんですよ。ゲストの方々が自由に曲を作られてきたので前作とは少し違うんですけど、60'sテイストを押し通そうというところは変わらないです。ただ、1枚目のときはサウンドのイメージを「1962年」って言っていたんですけど、そこからはだいぶ遠のいてしまいましたけどね(笑)。

──今回は新たな顔ぶれの作家陣が参加しています。

久保田 マイクロスターとか高浪慶太郎さんは、SOLEILにとってのティン・パン・アレーと言うか、バリー・マンとかキャロル・キング的な絶対に頼む存在で、そこらへんの確実にいい曲を書いてくれるっていう人以外では、横山剣さんとか森若香織さんとか澤部渡くんには頼んでみたいというのがありました。

──中でも原田真二さんは驚きました。

久保田 意外ですよね。

中森 そうですか? 憧れの存在なんですけど、今でもご活躍されているので、我々にもそういうテイストをもらえないかなと。昔、大ヒットした曲とかがすごくポップで、ちょっとThe Beatlesっぽい感じもあったので、そんな流れでやってもらえないかなって。

──昨年、代官山のUNITで行われたタワーレコードのイベント「T-Palette Records presents [Live]meets palette」で一緒になったんですよね。

中森 そうです。あのときはお話しできなかったんですけど、きっかけにはなりました。原田さんに頼めたらいいなって。でも、原田さんがこういうイベントにも出られるんだと思いましたね。もうちょっと違うところにいた感じがしていたので。

久保田 あのときってなんで原田さんが呼ばれてたんですかね?

──もともとT-Palette Recordsに所属していたアイドルネッサンスが原田真二さんの曲をカバーしていて、新宿LOFTのイベントでコラボしたことがあって。それで、つながっていったんじゃないかなと思います。

久保田 アイドルネッサンスが歌っていたんですね。なるほど。

──そこから巡り巡ってSOLEILのアルバムの楽曲提供に結びついたというのは面白いですね。前作と同じで、それほど細かくはオーダーしなかった感じですか?

中森 そうですね。60'sなイメージというのはお願いしましたけど。

久保田 あとは曲があまり長くならないようにっていうくらいですかね。

──SOLEILの曲が短いのは1つの特徴ですよね。前作はトータルタイムが37分とかだったじゃないですか。

久保田 今回は34分くらいですね。そこは60'sマナーで。前回は一番長いので3分半くらいだったと思うんですけど、4分以上だとちょっとサイケ感が出ちゃうので。割り切って2、3分くらいで終わるっていうのが気持ちいいかなと。あと、DJをやっていても、尺ってそのくらいでよくないですか?

中森 「もう1回サビくるのか。曲替えたいなあ」みたいになったりするよね。

久保田 ヒップホップとかだったら別でしょうけど、コモエスタ八重樫さんとか小西康陽さんとか「ヤバ歌謡」のDJフクタケさんみたいな感じで1、2分くらいで曲が替わっていくほうが楽しい。あれは八重樫さんがパイオニアだと思うんですけど。(The Beatlesの)「Please Please Me」なんか1分59秒でしたし。

中森 実は自分の曲で狙ったんですけどダメでした。2分越えちゃった(笑)。