MOMIKENさんのセンスに近しいものを感じた
──ちなみに武瑠さんが好きなMOMIKENさんの歌詞は?
武瑠 「サクラミツツキ」(2013年3月にリリースされたSPYAIRのシングル曲)ですね。タイトルの響きがすごく好きなんです。sleepyheadのロゴは3つの形が合わさって三日月になってるんですが、“月”というモチーフの詞を読んでMOMIKENさんのセンスに近しいものがあるんじゃないかって勝手に感じていたんです。ただ、僕がMOMIKENさんに興味を持った一番のきっかけは、ベースのデザインなんですけどね。
MOMIKEN そうなんだ。
武瑠 はい。ベースのデザインを自分でやってる人って、そんなにいないじゃないですか。あのデザインはH>Fractal(ラフォーレ原宿に拠点を構えるファッションチーム。million $ orcgestraの生産も手がける)の制作チームが手がけたんですよね?
MOMIKEN うん。Tシャツのデザインと同じような感じで塗装をお願いしたら「このデザインをそのまま使ったら、塗装代に15万円くらいかかるけど大丈夫?」って言われて(笑)。「高いけどやるしかねえ!」って勢いで決断しました。
武瑠 絵としてカッコいいし、トータルとしてのアートワークにベースという楽器まで含めてこだわっていることが伝わってきたんですよね。今作「NIGHTMARE SWAP」には、僕と感性でつながれることのできる方々に参加してほしかったから、MOMIKENさんに声をかけたんです。
なんの障壁もなく、やりたいことがどんどん実現した
──MOMIKENさんが作詞で参加した新曲「INSIDE OUT KISS feat. MOMIKEN (SPYAIR)」についても聞かせてください。最初はベースを弾いてもらう予定だったMOMIKENさんに、なぜ歌詞をお願いすることになったんですか?
武瑠 新曲を作っている中で「INSIDE OUT KISS」の原型ができたときにすごく手応えがあったから、最初は自分で歌詞を書きたいと思っていたんです。でも前作「DRIPPING」が全曲自分で作詞作曲したものだったから、今回はもっと新しい刺激が欲しくて。ずっと1人でやっていたら飽きる可能性があるし、自分でも想像できないような不確定要素があったほうがいいなと。で、超気に入ってる曲の作詞をMOMIKENさんにお願いしてみたんです。
MOMIKEN 曲を渡される前から「すごく気に入ってる曲なので、よろしくお願いします」と言われて。なかなかのプレッシャーでした。
武瑠 ははは(笑)。僕の中で秘蔵っ子みたいな曲なので。
MOMIKEN 曲を聴いたとき、武瑠くんが気に入ってる理由がすぐにわかったんですよね。サビのメロディがとにかくよくて、確かにこれは自信作だろうなと。
武瑠 デモの段階で入っていた歌詞は「INSIDE OUT」という言葉だけだったんです。あとは電話で「上からいろんなものがスローモーションで降ってくるような“世界終末”的なイメージで」という話をさせてもらって。MOMIKENさんから送られてきた歌詞に「溺れるほどに抱きしめた」というフレーズがあったのはビックリしました。実は曲を作っているときの仮歌に「溺れる街に降り注ぐ」という歌詞があったので。
MOMIKEN そのことはあとで聞かされて、僕もビックリしました(笑)。歌詞を書いているときは「INSIDE OUT」という言葉を紐解いて、そこから展開させることだけを考えていたので。あとは歌詞から見えてくる映像ですね。SPYAIRの歌詞もそうなんですけど、「こういう映像のバックで流れていたらいいだろうな」と想像しながら書くことが多くて。
──もちろん武瑠さんが歌うことも想定していたんですよね?
MOMIKEN はい。そもそも僕はボーカリストではないので、歌詞を書くときは常に歌う人のことを考えています。IKEが歌うときはIKEの声、ギターのUZが歌う場合はUZの声を想定しますね。それと歌詞を提供するときは、そのシンガーのお客さんのこともある程度考えます。これまで一緒に歩んできた人たちのことを無視して、自分の世界観を押し付けるのは歌詞の提供としてはご法度だと思っていますから。もう1つ考えているのは、シンガーがこれから進んでいく方向ですね。特に武瑠くんの場合は、バンドからソロになったわけだし、今までとはまったく違う見せ方をしているので、そういう要素が歌詞の中に落とし込めたらいいな、と思って詞を書きました。
武瑠 一番いいなと思ったのは、「微笑みの裏まで」というフレーズだったんですよ。この歌詞を見たときに「裏の裏まで愛する」というテーマが浮かんで、「INSIDE OUT」という言葉に「KISS」を足して「INSIDE OUT KISS」という曲タイトルが生まれたんです。自分だけでは出てこなかった言葉だから、コラボした意味があったなと。
MOMIKEN 武瑠くんはずっと歌詞を書いてきた人だから、やっぱり鋭いんですよね。僕が投げた歌詞に対して、すぐに提案を戻してきて。僕もすごく勉強になりました。
武瑠 いえいえ。僕もすごく刺激を受けました。言葉の選び方にしても譜割りにしても「そうくるんだ?」ということばかりで。アルバム全体を通して人と一緒に作ることの喜びを感じましたね。浮気者(SuGと同時に活動していた武瑠のコラボプロジェクト)のときよりも高い次元のやりとりができたし、なんの障壁もなく、やりたいことがどんどん実現したんです。
──アーティスト同士が直でつながれたからこそ成立したアルバムなんですね。
武瑠 うん、そう思います。
MOMIKEN 僕自身は、以前はコラボに対して少し抵抗感があったんです。でもここ最近、個人で作詞を請け負うようになって、そういう抵抗感がどんどんなくなってきた。誰かと一緒にやることで世界観が変わって見えるのは面白いし。海外のアーティストがどうしてあれほどコラボレーションしているか、やっとわかってきました。
武瑠 人とやると、自分の個性も知れますからね。「自分ではこういう歌詞は書けない」「こういう歌い方はできない」とわかることで、自分にしかやれないことが見えてくる。それは「じゃあ、自分のここを生かそう」というモチベーションにもつながるんですよ。MOMIKENさんとのコラボも、まさにそういう感じでした。あとMOMIKENさんは仕事が早い! この歌詞も1日で書いてくれたんですよ。アレンジをお願いしたTom-H@ckさんもビックリしてました。
MOMIKEN タイアップ案件なんかで、タイトなスケジュールで書かなくちゃいけないこともあるから、そこで鍛えられたのかも。周りの人たちも僕が早く書けると思っているらしくて、あまり時間をくれなかったりするんですよ(笑)。
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がんばって歌うのはクールじゃない
- sleepyhead「NIGHTMARE SWAP」
- 2018年10月17日発売 / STREET GOTHIC LABEL
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[CD] 2160円
SACT-0004
- 収録曲
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- 1 2 3 for hype sex heaven feat. SKY-HI, TeddyLoid, Katsuma (coldrain)
- INSIDE OUT KISS feat. MOMIKEN (SPYAIR)
- BACK TO FIRST DAY feat. SHIROSE (WHITE JAM)
- DON'T YOU LET ME GO feat. AISHA
- Neverending Dream feat. SHO ASAKAWA (PLASTICZOOMS)
- sleepyhead(スリーピーヘッド)
- 武瑠(ex. SuG)によるソロプロジェクト。2018年3月に東京・TSUTAYA O-EASTにて初ライブ「透明新月」を開催し、会場限定シングルとして「闇雲」をリリースした。同年6月に1stフルアルバム「DRIPPING」をリリース。7月には初のツアー「sleepyhead LIVE TOUR 2018」を開催した。10月にはSKY-HI、TeddyLoid、MOMIKEN(SPYAIR)、yuji(ex. SuG)といったアーティストを迎えて制作された新作音源「NIGHTMARE SWAP」を発表し、リリース後には東名阪を回るワンマンツアー「sleepyhead ONEMAN TOUR 2018 "NIGHTMARE SWAP"」と多数のゲストを迎えて行われるライブイベント「sleepyhead FES 2018 "NIGHTMARE SWAP FES vol.1"」を実施する。
- SPYAIR(スパイエアー)
- IKE(Vo)、UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)の4人からなるバンド。全員が愛知出身で、2005年に結成される。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、デビュー前の2010年6月に行った100本目の野外ライブでは2000人の観客を集める。同年8月、シングル「LIAR」でメジャーデビュー。その後も8枚のシングルを発表し、並行して精力的なライブ活動を展開する。同年12月に初の日本武道館ワンマンライブを開催。2014年5月の全国ツアー開催中、IKEの喉のトラブルによりツアーを中断し約半年間、活動を停止する。12月に東京・Zepp DiverCity TOKYOにて開催したワンマンライブで本格的に活動を再開した。2015年11月にフルアルバム「4」をリリースし、12月には初のアリーナツアーを実施。2017年10月に約2年ぶりのニューアルバム「KINGDOM」を発表し、2018年1月からは全国ホールツアー「SPYAIR TOUR 2018 -KINGDOM-」を開催した。同年7月には4回目となる山梨・富士急ハイランドコニファーフォレストでの恒例野外ライブ「JUST LIKE THIS 2018」を豪雨の中敢行し、会場に集まった約1万5000人のファンを熱狂させた。同年9月からはバンド初のワールドツアー「SPYAIR WORLD TOUR 2018」を実施中。