武瑠くんに会ってなかったら、去年は全然違う1年になってた

──武瑠さんはオーラルのニューアルバム「Kisses and Kills」の収録曲「PSYCHOPATH」ミュージックビデオにクリエイティブディレクターとして携わっています。これは山中さんが声をかけたんですか？

山中　はい。最初にも話した通り、武瑠くんが作る映像がすごく好きだから、ぜひ参加してほしいなと思って。アルバムのコンセプトと映像の質感だけを伝えて、あとは全部お任せしたんですけど、すごくカッコいい映像に仕上げてくれました。

武瑠　名前を公表して映像を作るのは初めてだから、どういう反応が返ってくるか気になります（笑）。

山中　大丈夫でしょ、絶対。実はアルバムのタイトルを決めたのも、武瑠くんたちとごはんを食べてたときなんですよ。「Kisses and Kills」の「Kisses」と「Kills」の順番でちょっと悩んでて。僕としては「Kisses」を先にしたかったんだけど、「『Kills』を先にしたほうがインパクトがあるんじゃない？」というスタッフの意見もあって。武瑠くんに聞いてみたら「絶対『Kisses』が先でしょ」って即答してくれて「だよね」って（笑）。

武瑠　そういうときってあるからね。心の中では決まってるんだけど、最後に背中を押してもらいたいというか。

山中　そうそう（笑）。武瑠くんとか周りにいるデザイナーやクリエイターは、僕がクリエイティブなことを考えるときの主要メンバーなんですよ。信頼できる仲間がいてくれるのは、すごく心強いですね。

武瑠　そういう会話ができること自体、すごく楽しいからね。

山中　うん。僕自身、武瑠くんに会ってなかったら、去年は全然違う1年になってたと思うから。武瑠くんとのつながりで友達も増えたんですけど、みんな「日本のシーンに新しいものを持ち込みたい」という野心を持っていて、すごく刺激になってます。僕も「この世界の色を変えてやる」くらいのテンションなんですよ。「光輝いていてポップなものだけが正義じゃない！」って。

武瑠　それは僕もずっと考えていますね。例えば「ウォーキング・デッド」のようなダークなドラマがあれほどヒットしたのは、表現が洗練されていて、作品全体のデザインが素晴らしいからだと思うんです。そういうことを自分たちの作品を通してやってみたいなって。「DRIPPING」は自分の中にあるものを出した作品ですけど、次はもっと外に向けて作品を作りたいと思っています。もっとクオリティの高い作品を作って、堂々と胸を張って戦いたいですね。