オーラルの影響を強く受けた曲
──アルバム「DRIPPING」についても聞かせてください。制作はいつから始まったんですか?
武瑠 基本的にはバンドが解散した去年の12月からですね。以前からデモを作っていた曲もあるんですけど、「39曲(サグ)+1の40曲そろわないと復活しない」と決めて、ひたすら曲を作って。12月末から超特急で制作してました。
──その時点ですでにsleepyheadとしてのビジョンもあった?
武瑠 無理に何かを変えようとしないで、自分がいいと感じてること、好きなことを素直にやろうと思ってました。「DRIPPING」は“絞り出す”という意味なんです。まずは自分の中にあるものを出すのが大事かなと。“ING”が付いているのは、まだその途中という意味で。
山中 聴かせてもらいましたけど、このアルバム、めちゃくちゃ好きですね。全曲、口ずさめるくらい聴いてます。
武瑠 ホントに?
山中 うん。武瑠くんは切ないメロディを作るのがうまいと改めて思ったし、ミュージックビデオもすごくカッコよくて。武瑠くんのこだわりがしっかり見えるし、「やっぱり1人で全部できる人なんだな」と確信したと言うか。
武瑠 うれしいです。実はアルバムの中にはオーラルの影響を強く受けた曲があるんですよ。去年の12月にオーラルのライブを観て「お客さんが叫びたいところに叫びやすいフレーズを入れるのがうまいな」と思って。アルバムに入ってる「熱帯夜」という曲では、そういうパートを作ってみたんです。
山中 え、そうなの?
武瑠 うん。アルバムを作り始めたときはまったく客観視できてなくて、とにかく歌いたいことを歌おうと思って歌詞を先に書いていたんです。でも「歌詞がぎっしり詰まってるのはウザいかな」って思い直して、そこをただ叫んだりするためのパートに作り変えました。
──確かに「DRIPPING」には内省的な楽曲だけではなくて、高揚感のあるナンバーも収録されています。
武瑠 いろんな音楽が好きだから、その雑食性が出てる感じはあるかもしれません。バンドじゃなくなって、ギターを入れなくちゃいけないという縛りもないし、アレンジの幅も広がった。生楽器が入ってない曲もありますからね。サウンド的にはバラバラになっちゃいそうだけど、そこは歌詞でつなげればいいかなと。
──ソロとして活動するほうが向いているのかもしれませんね。1人で自由にやったほうがセンスを発揮できるというか。
武瑠 でもバンドからソロになるのは怖いんですよ。メンバー同士の関係性に惹かれていた人も多いと思うし。アルバムをちゃんと聴いてくれた関係者は「クオリティが上がってるね」と言ってくれるんだけど、5人から1人になったことで、イメージとしては「パワーダウンした」と思われがちなので。だからまずはバンド時代のイメージを壊さなきゃ、と思っています。ただソロになってからのモノ作りはすごく楽しいと感じているんです。ヤマタクもそうだけど、オーバーグラウンドの人たちから「一緒にやろうよ」と言ってもらえることも増えてるし、そうやって興味を持ってくれることが自分にとっては希望なので。この先もいろいろあるだろうけど、そこは(山中を見ながら)友達に助けてもらって(笑)。
山中 (笑)。
武瑠 ちょっと開き直れたところもあるんですよね。バンドの最後の1年くらいは本当に苦しかったし、音楽を嫌いになりかけてたんですよ。今だから言えますけど、音楽を辞めて裏方に回ろうと思っていた時期もあったので。
──苦しい時期を乗り越えて、アーティストとして復帰した理由は?
武瑠 先輩や友達が「続けたほうがいい」と伝えてくれたことですね。清春さんやUVERworldのTAKUYA∞さんが「辞めちゃダメだ」が言ってくれたことも大きいです。最初は半信半疑だったんですけど、カッコいい先輩たちがそう言ってくれるんだから、騙されたと思ってやってみようと。
山中 僕もずっと「続けるべきだ」と思ってたし、武瑠くんにも直接言ってましたね。単純に音楽を辞めてほしくなかった。
武瑠 ありがたかったですね。そういえばヤマタクはKICK THE CAN CREWのライブにも誘ってくれて。「音楽ってこんなに楽しいよ」というところに連れ戻してくれようとしてくれてたよね。実はあの日、めっちゃ落ち込んでたんだけど。
山中 そうそう。「マルシェ」の歌詞で言ったら完全に「下がってんの?」って感じだった(笑)。
武瑠 デカいトラブルがあって。顔面蒼白でした。
山中 「え、どうした? 今日ライブやで」って(笑)。
武瑠 ははは(笑)。5月くらいからようやく復活してきた感じですね。そう言えば、武道館の解散ライブのあと、最初に会った友人はヤマタクなんですよ。
山中 武道館のあとは抜け殻になるだろうなと思ってたし、このままにしておいたら引きこもっちゃう気がして。そのときSKY-HIもいたんですけど、「みんないるから、早く来てよ」って連絡したんです。
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武瑠くんに会ってなかったら、去年は全然違う1年になってた
- sleepyhead「DRIPPING」
- 2018年6月20日発売 / STREET GOTHIC LABEL
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[CD]
3240円 / SACT-0002
- 収録曲
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- MY FORTUNE FADED
- 闇雲
- 結局
- 酩酊
- 熱帯夜
- HOPELESS
- HURT OF DELAY
- アトノマツリデ
- 灰汁まで愛して
- 退行的進化
- LAIDBACK
- 狂宴騒々
- ALIVE
- sleepyhead(スリーピーヘッド)
- 武瑠(ex. SuG)によるソロプロジェクト。2018年3月に東京・TSUTAYA O-EASTにて初ライブ「透明新月」を開催し、会場限定シングルとして「闇雲」をリリースした。同年6月に1stフルアルバム「DRIPPING」をリリース。7月6日からは初ツアー「sleepyhead LIVE TOUR 2018」を開催する。ファッションブランド・million dollar orchestraの主宰を務めるほか、THE ORAL CIGARETTESの「PSYCHOPATH」のミュージックビデオをディレクションするなど、マルチな才能を生かしてさまざまな分野で活躍している。
- THE ORAL CIGARETTES(オーラルシガレッツ)
- 2010年に奈良で結成された4人組ロックバンド。メンバーは山中拓也(Vo, G)、鈴木重伸(G)、あきらかにあきら(B, Cho)、中西雅哉(Dr)。アグレッシブかつ緻密に構築されたサウンドでファンを増やしていき、2012年にオーディション「MASH FIGHT!」にて初代グランプリを獲得する。2013年8月に1stミニアルバム「オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証」をリリース。その後、2014年7月にメジャー1stシングル「起死回生STORY」、同年11月にアルバム「The BKW Show!!」を発表。2016年4月30日には地元・奈良のなら100年会館で初のホールワンマンライブ「THE ORAL CIGARETTES 唇ワンマンライブ~故郷に錦を飾りまSHOW!!~」を開催。2017年2月には3rdアルバム「UNOFFICIAL」を発表、6月には初の東京・日本武道館でのワンマンライブを実施し、2018年2月には大阪城ホールでのワンマンライブを成功に収めた。同年6月には4thアルバム「Kisses and Kills」をリリースした。
- THE ORAL CIGARETTES「Kisses and Kills」
- 2018年6月13日発売 / A-Sketch
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初回限定盤 [CD+DVD]
3780円 / AZZS-77 -
通常盤 [CD]
3024円 / AZCS-1070
- CD収録曲
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- もういいかい?
- BLACK MEMORY
- PSYCHOPATH
- Ladies and Gentlemen
- What you want
- トナリアウ
- リブロックアート
- 容姿端麗な嘘
- ONE'S AGAIN
- ReI
- 初回限定盤DVD収録内容
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「唇ワンマンライブ 2018 WINTER『Diver In the BLACK Tour~ReI of Lights~』」
- カンタンナコト
- N.I.R.A
- マナーモード
- 接触
- Flower
- 大魔王参上
- BLACK MEMORY
- 起死回生STORY
- ReI
ReI project Docementary Movie
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