音楽ナタリー Power Push -「Ki/oon Music presents / SLASH /」特集 #2 KANA-BOON×BLUE ENCOUNT座談会

キューンの次世代を担う2組が語る「バンドにとってライブとは?」

自分たちの空気を作るのはめっちゃ難しい

──改めて、それぞれのバンドがライブにおいて最も意識していることを聞きたいんですけど。

田邊 うまく弾こうとかそういうことではなくて、絶対に自慰行為のようなライブはしたくないといつも思ってます。自慰行為のようなライブが一番ダメだと思うので。俺らのようなジャンルの音楽が嫌いな人にもライブで強烈なインパクトを残したい。そういう思いでこの12年間ずっとバンドをやってきました。

──自己満足で終わらないライブをするポイントは?

田邊 それこそMCも大きいと思っていて。演奏でもMCでも、自分が思ってることをそのままアウトプットしたいんです。それは誰かに怒られようが貫きたいと思ってます。ライブに来てくれるお客さんがどれだけ増えてもそれは変わらないですね。

江口 田邊がこういう感じなので……こいつはライブ中にいきなり1速から4速に上げるようなギアの入れ方をするんですよ。その熱量にメンバー全員でついていくことを常に意識してますね。

──KANA-BOONはどうでしょう?

谷口 どんなライブでも自分たちらしさを出すようにしてますね。会場全体を自分たちの空気にできたときはやっぱり特別なライブになるし。僕らはバーン!と曲を演奏し続けて「カッコいい!」と思われるタイプのバンドじゃないと思うんですよ。だから、僕らもMCは大事にしていて。できればMCで3笑いくらいはとりたい(笑)。MCでスベったらめちゃくちゃ響くもんな。

飯田 確かに響くな(笑)。

田邊 それも自分たちの人間性を出したいということだと思うんですよ。そこにすごく共感するし。

飯田祐馬(B / KANA-BOON)

──飯田くんはどうですか?

飯田 フェスやイベントに出演するようになって3年目を迎えて。初めはとにかく自分たちを知ってもらおうという意識が先行してたんですけど、最近は僕らの存在や曲を知ってくれてる人も増えたから、意識が変化しましたね。鮪も言ってましたけど、自分たちのライブをしっかり見せないといけないという意識がどんどん強くなっていて。自分たちの空気を作るのってめっちゃ難しくて、例えば「こういうフェスだからこういうライブをする」という発想で臨むとダメなライブになりがちなんですよね。

バンドマンたちに音楽をやり続ける夢を見せたい

──ライブがバンドの活動を支えてくれたという実感がやはり強いですか?

田邊 そうですね。僕らもKANA-BOONもライブでチャンスをつかんできたと思うんですよ。僕らの今のチームのスタッフとはライブを通じて出会ったし。お互いライブを活動の転機にしてきたバンドだと思うので。だからこそ、ライブをやり続けないと今までの活動が嘘になる気がするんです。あと、例えば今10代のバンドマンが自分の進路を決めるときに、音楽をやり続けるのかほかの仕事をするのかという岐路に立つと思うんですね。そのとき僕はバンドマンたちに音楽をやり続ける夢を見せたいと思うんです。その姿勢はライブで一番見せられると思うし、ライブってすげえ楽しいんだよって伝えたいですね。

──ライブにお客さんを集めることの大変さも熟知しているからこそ、余計にそう思うんだろうし。

田邊駿一(Vo, G / BLUE ENCOUNT)

田邊 そうですね。ライブってただ本数を多くこなせばいいというわけではないのも事実で。いかに1回1回のライブを大事にして、お客さんに刺さるパフォーマンスができるか。年に130本ライブをやっていた時期もありましたけど、そのときは正直ライブをやりまくってることがバンドの宣伝になると思ってたんですよ。でも、今はそのときよりも確実に1回1回のライブを大事にしてますね。

谷口 僕らは、地元にいるときはバンド活動と言ったらライブするしかなかったので。三国ヶ丘FUZZという地元のライブハウスがホームで、そこでライブをして、ライブハウスの担当スタッフといろんな話をして。常に次のライブをよくしていくことを考えてました。最初は高校の軽音楽部の流れで学校の友達がライブを観に来てくれてましたけど、その人たちもどんどんいなくなって、自分たちのお客さんをつかんでいくまでめっちゃ大変でしたね。

──お客さんを増やす工夫を考えたりもしたんですか?

谷口 アンケートを配ったりフライヤーを作ったりしましたね。

田邊 アンケートは俺らも配ったなあ。新聞も作ったし。それは1回しか発行しなかったんですけど(笑)。あとは、ポイントカードも作りましたね。たまったポイントに応じて何かプレゼントしたり。

飯田 ポイントカードは俺たちも作りました(笑)。当時は今ほどSNSも広まってなかったし、宣伝ツールを自分たちで作るしかなかったんですよね。

田邊 SNSはギリmixiだよね。

飯田 そうそう。

谷口 アンケートには次のライブをお知らせするために連絡先を書く欄もあったんですけど、全然書いてくれる人がいない日もあれば、「今日は3人おった!」って喜んだりする日もあって。あと、自主企画イベントに向けてCDを作ったり、いつもより多く人目に触れるイベントに出させてもらったり、1つひとつ積み重ねていきましたね。

Contents Index
#1 KANA-BOON×シナリオアート対談
#2 KANA-BOON×BLUE ENCOUNT座談会
Ki/oon Music presents / SLASH /
2015年11月15日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 14:00 / START 15:00 / END 21:00(予定)
<出演者>
KANA-BOON / BLUE ENCOUNT / シナリオアート / DJみそしるとMCごはん / and more
チケット料金:前売 4000円(ドリンク代別途必要)
※高校生以下はキャッシュバックあり(500円)
一般発売:2015年10月18日(日)10:00~
KANA-BOON(カナブーン)

KANA-BOON

谷口鮪(Vo, G)、古賀隼斗(G)、飯田祐馬(B)、小泉貴裕(Dr)からなる4人組バンド。高校の同級生だった谷口、古賀、小泉を中心に結成され、のちに飯田が合流して現在の編成となり、地元大阪を中心に活動を始める。2012年に参加した「キューン20イヤーズオーディション」で4000組の中から見事優勝を射止め、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブのオープニングアクトを務める。2013年4月には活動の拠点を東京に移し、同年9月にシングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューを果たした。2014年はテレビ東京系アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のオープニングテーマ「シルエット」を含め精力的に新作を発表する。2015年1月には2nd Album「TIME」をリリース。3月には大阪・大阪城ホールおよび東京・日本武道館にて初のアリーナワンマンライブを行い成功を収めた。11月11日にはフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送のアニメ「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER」の、KANA-BOONがオープニング・テーマ、シナリオアートがエンディング・テーマに起用されたスプリットシングル「talking / ナナヒツジ」をリリースする。

BLUE ENCOUNT(ブルーエンカウント)

BLUE ENCOUNT

田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)の4人からなるロックバンド。2007年、田邊、江口、高村が地元熊本でバンドを結成し、2009年に3人の進学先である東京の音楽専門学校で辻村と出会い現体制となる。2010年に1stミニアルバム「the beginning of the beginning」を、2012年には2ndアルバム「HALO EFFECT」をリリースし、この頃よりライブハウスシーンで頭角を現すように。2013年にはライブ会場限定CD「SIGNALS」やミニアルバム「NOISY SLUGGER」を発表。年末には初のワンマンツアー「NEXT DESTINATION」を開催し、全公演でチケットをソールドアウトさせている。2014年2月に初のフルアルバム「BAND OF DESTINATION」を発売した。同年9月にキューンミュージックより4曲入りCD「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビュー。2015年5月にはテレビ東京系アニメ「銀魂°」オープニングテーマ「DAY×DAY」をシングルリリースした。7月22日、メジャー1stフルアルバム「≒」を発表。