仕事を投げ打って始めたYouTuber生活

──テオさんがユニットの結成を持ちかけても、☆イニ☆さんはすぐにOKしなかったそうですね。

☆イニ☆　福祉の専門学校で国家資格を取って、しかも就職先も決まって入社式にも行っていたんです（笑）。こう見えて僕は慎重派で思い切った行動に踏み出せないタイプなんですよ。テオくんといるのは楽しいけど動画だけで食べていくなんて全然想像できないし、自信もなかったんですよね。だから最初は断りました。

──そもそもテオさんは動画投稿だけで生活していくつもりだったんですか？

テオくん　はい。あの頃は貧乏で、食べていくお金すら稼げていない状況で☆イニ☆たんを誘いました。何も武器がない素っ裸の人間に誘われたら普通はやりたくないですよね（笑）。でも5、6回アタックしてOKをもらって。すぐに2人で暮らし始めて、YouTubeに毎日動画を上げる生活になりました。

──結成してすぐに共同生活を始めたんですか？

テオくん　そうです。YouTubeで毎日投稿をすることは決めてたので時間短縮のためにも、経済的にも2人で暮らしたほうがいいなと思って。

──一緒に住んでみてどうでしたか？

テオくん　家事の分担や生活リズムとか揉めるところもあるかなと思ったら、お互い洗い物もゴミ出しも積極的にやるタイプだったので問題なかったです。それに食の趣味も合うんですよ。ゆでた麺に醤油をかけるだけの料理なんて普通の人だったら嫌がると思うんですけど、2人ともそれを「おいしい」って言いながら食べていました。家族よりも一緒に過ごしやすい存在です。

──当時のタイムスケジュールはどうされてたんですか？

テオくん　起きたら、準備をして撮影。YouTubeって編集が一番時間かかるので、撮影が終わったらすぐ編集作業に入ってできたら動画を上げて寝る、みたいな生活でした。それを毎日続けてましたね。

スカイピースがほかのYouTuberと違うところ

──2016年にスカイピースを結成して、現在はチャンネル登録者が約170万人。たった2年でここまで人気が出た理由をお二人はどう考えていますか？

テオくん　僕らの間では「運がよかったよね」って話しているんですけど、観てくれている人からは「2人の仲のよさが好き」って言われることが多くて。自分たちも楽しんでやってるので、その掛け合いの雰囲気がほかのYouTuberにはなかったのかも。だから視聴者の数が伸びたのかもしれません。

──☆イニ☆さんはどう考えていますか？

☆イニ☆　うーん……なんででしょうね。

──ここまで人気ということはほかのYouTuberにはない何かを持っているんだと思います。

☆イニ☆　振り返るといろんなことをやってますね。歌ったり、ゲームをしたり、そのときどきで流行っていることをしたり。いろんなことをやったからこそ、いろんな人の目に触れることになった気がします。

──最近は草なぎ剛さんやNMB48の吉田朱里さんもYouTubeで自身のチャンネルを開設しましたよね。スカイピース結成からの2年の間にYouTuberという存在自体の世間からの見られ方が変わった気がしているんです。

テオくん　そうですね。もともとYouTubeに投稿していた人は、言ってしまえば一般人なわけですよ。そこに芸能人の方たちも参加されるようになったことで、今はYouTuberが職業として認められつつある気がして本当にありがたいです。

──個人的に驚いたのは、芸能人YouTuberで一番の視聴者登録数を持っている人でもスカイピースの登録者数には敵わないんです。テレビで活躍しているからといってYouTuberとして大成するわけじゃない。つまりYouTubeは事務所の力や世間の人気に左右されない、実力社会の場だと思いました。

☆イニ☆　テレビって台本があったり、決まりごとがあると思うんですけど。僕らが撮影するときは台本なんてないし、即興で進めていくのでリアルなんですよね。そのリアルな感じが面白いのかなと思います。

テオくん　例えば「1万円でお店の料理をどれだけ食べられるか」という企画で「本当に全部食べているの？」って聞かれるんですけど、僕らは本当に食べているんです。身銭を切っているので自分たちの人生もそこにかかってますし、チャレンジに失敗する回もちゃんと公開しています。☆イニ☆が骨折したときは自分が1人で配信したし、自分が病院へ緊急搬送されたときも動画で報告して。スカイピースの動画は2人のドキュメントを観てもらってる気がします。

──そういう企画モノの動画と同時に音楽モノの動画も公開しているところがスカイピースの特徴ですよね。

テオくん　結成したときから決めてたんだよね。「両方やっていこう」って。

☆イニ☆　うん。最初に話した通り、僕はラップから動画を始めてるし自分の曲を投稿することに憧れがあったんですよ。それで、テオくんには作詞を担当してもらって、僕はほかの録音を含めた音に関することを担当して。

テオくん　YouTuberと一括りにしてもやっぱりジャンルが分かれていて、企画モノを上げる人、音楽モノを上げる人と、それぞれ分かれているんです。僕らの場合はどちらにも力を入れてきたので、それもいろんな方に観ていただける理由の1つのような気がします。