Skoop On Somebody|13のラブソングが織りなす愛のカタチ

Skoop On Somebodyがニューアルバム「What is love?」をリリースした。

約1年9カ月ぶりのアルバムとなる本作は、22年のキャリアで蓄積された経験を生かしながら新たなデビューアルバムを作るコンセプトで制作が進められたのだという。TAKE(Vo)がデモトラックを多数手がけ、テクニックだけに頼らないパッション優先の曲作りをするなど、ユニットとしての原点を顧みながら生み出された全13曲。そこには永遠に答えが見つからない、だからこそ求め続けるさまざまな“愛のストーリー”が刻まれている。

現在、「Coming 2 you」ツアーで全国を巡っている2人に、本作にまつわる話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 須田卓馬

音楽の楽しみ方を知っている人が増えた

──前作「State Of Soul」は、Skoop On Somebodyの大きな持ち味であるソウル、R&Bを改めて突き詰めた非常に濃密でセクシーなアルバムでした。リリース以降、たくさんのライブで披露する中で、手応えを感じた部分はありましたか?

TAKE(Vo)KO-ICHIRO(Key, Cho)

TAKE(Vo) うん。皆さんがすごく楽しんでくれているのが、ステージの上からしっかり感じられましたね。昔はメロウでミディアムな曲をやっても、どう楽しんでいいのかわからない人が多かったんですよ。でも今はいろいろな音楽の楽しみ方を知っている人が増えたというか。「State Of Soul」の濃いヘビーな楽曲たちもしっかり受け取ってくれてましたからね。それを実感できたのは自分たちとしてもすごく大きな経験でした。

KO-ICHIRO(Key, Cho) そういった皆さんの反応を受けて、僕らの中にまた新たに生まれるものもあったような気がします。やってる曲は同じであっても、毎回違った表情になったりしますからね。それこそがライブならではの楽しみだなと再確認しました。さらに言えば、音楽を通したやり取りをお客さんとしっかり交わし合えたことで、制作とライブの距離がより縮まったような印象もありました。

TAKE そうだね。応援してくれている人たちとの信頼関係を感じられたライブだったからこそ、そこで得たものが制作に影響する部分も増えていくんだろうなって。

──しかし、ここ最近のS.O.S.はかなり精力的にライブをやっていますよね。2017年12月から翌2018年3月まで続いた「20th anniversary live vol.4 "State Of Soul"」は全16本。その後の6月からは3カ月にわたってゲストを迎えたライブイベント「~Live Alive~」が3本、9月からは「Live in gloom 2018」が全12都市で77本開催されました。

TAKE 確かにけっこうな本数ですよね。まあでも、僕もKO-ICHIROももともとライブが好きだし、世の中的にもライブを求めている人が多いと思うので、だったら「たくさんやってもいいんじゃない?」っていう単純な理由なんですけど。

KO-ICHIRO ライブは楽しいですよ。同じライブは二度とないからこそ、メンタル面で鍛えられる。言い方を変えれば、よりライブの楽しみ方を知ることができるとも言えますね。

TAKE うん。大人の方が心底楽しめるエンタテインメントを目指すべく、1本1本のライブにしっかり向き合えていると思います。で、そういう日々を過ごすことで、ライブにおける瞬発力と持久力がアップしたことは間違いないですしね。

結局、愛がなんなのかはわからない

──現在は今年3月からスタートしたツアー「Coming 2 you 2019」の真っ只中なわけですが、その最中に約1年9か月ぶりとなるオリジナルアルバム「What is love?」が完成しました。個人的にはまずタイトルが面白かったんですよ。言ってしまえばデビュー以来、ずっと愛を歌ってきたS.O.S.が、20周年を経てもなお「愛ってなんだ?」と問いかけるのかと。

TAKE だよね(笑)。これ、最初はほんとに評判が悪くて。僕がこの案を出しても、みんな「んー?」って感じだった。

KO-ICHIRO うん(笑)。

TAKE 今回のアルバムはすべてをラブソングにすると最初に決めていたから、それぞれの曲で愛について突き詰めて考えていたんですよ。自分だけで詞を書いていると、恥ずかしいと感じる言葉をどうしても削ってしまったりするから、今回ジェネラルプロデューサーとして参加してもらった旧知の方に判断を仰ぐことで、いつもだったら残さない言葉もあえて使ったりもして。そうやってできあがった詞はある意味、デビュー当時の雰囲気に近かったりもするし、それによって新たな譜割りが生まれから、今の自分としてはすごく新鮮なものになったんです。でもね、すべてを書き終えても結局、愛がなんなのかはわからなかった。曲ごとに平気で違った愛の形を歌ったりしてますからね(笑)。

Skoop On Somebody

──まあでも、それくらい深くて難解なものでもありますよね、愛というのは。

TAKE そうそう。10人いたら10人ともその答えは違うわけだし、同じ人であってもめっちゃハッピーに愛と向き合えるときもあれば、「チクショー!」とやさぐれてるときだってある。だから全体を見たときに矛盾を感じても別に大丈夫だし、それならばタイトルは「What is love?」でもいいよなって。これはもともと、今回のアルバムに入っている「SOUL MATE」という曲の仮タイトルにしていたものでもあったし、僕が中学生の頃に大好きだったハワード・ジョーンズの曲名でもあるから思い入れも強いんでね、50代のグループが掲げても「大丈夫。全然恥ずかしくないぞ」と思って(笑)。