エースの条件とは
──では、正式に新エース誕生、ということでいいんでしょうか?
須田 うーん、それは微妙ですね。私はこれまで“話題担当”ではあったけど、“エース”としては一切見られていなかったんですよね。それは今回のシングルでセンターになったことでも変わらないと思う。エースというのは、もっと王道の人がなるべきですよ。
竹内 「そもそもエースって何?」という話にもなるんですけど、亜香里さんしかできないことをやっているのは事実だと思います。テレビに出るとき、「SKE48の須田亜香里です」と自己紹介するだけでグループにとってすごくプラスになっているわけですよ。アイドルに詳しくないうちの両親も、亜香里さんが番組に出るたびに喜んでいるくらいですし(笑)。
鎌田 難しいですね、この問題は。珠理奈さんは間違いなくエースだと思うんですけど……。
須田 うん、おじゅりちゃんは確実にエースでしょう。私の定義としては、“孤独を知ることがエースの条件”かな。それは去年の総選挙(「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」)のときにすごく感じたんですよ。私はがんばって少しでも前に出ようとしている立場。だけど、それって頂点に立つ人以外はみんな同じなんです。頂点に立つ人だけが、追われる立場になる。この感覚は誰とも共感できない。味方がいないわけです。私は人に支えられまくってここまで来た人間なので、まるっきり逆だと思うんですよね。
鎌田 エースと言われて私が真っ先に思いつくのは、マンガ「ONE PIECE」の(ポートガス・D・)エース(笑)。その名の通りですが、彼は真のエースだと思います。私はマンガが好きなんですけど、スポ根マンガでもキャプテンとエースは別なことが多いですよね。
須田 彩姫ちゃん、野球が好きだったよね。野球の場合、エースって誰になるの?
竹内 先発の柱という考え方もあるけど、やっぱり四番バッターじゃないですか。つまり一番実力がある選手。一番年俸も高くて、子供たちが憧れるスター選手……あれ? そう考えると、亜香里さんがエースで適任かもしれない。私がSKE48のメンバーで打順を組むとしたら、絶対クリーンナップには入りますから(笑)。
──竹内さんが考えるSKE48メンバーの打順、気になりますね(笑)。その理論ではやっぱり須田さんはエースだと。
須田 さっき「テレビによく出ている」という話が出ましたよね。コメンテーターとして番組に出演させていただくことと、アイドルファンの方に応援していただくことって完全に別物なんですよ。使う筋肉が全然違いますから。今、私は28歳なんですけど、アイドルとして活動することに不安になる瞬間があるんです。それは体力的に長時間踊れないという問題じゃなくて、もっと根本的なところで。例えばステージに立ったとき、私ってコールが少ないなって感じるんですね。同じパートを歌っている後輩のほうが確実にコールを受けていて。
竹内 ……そうでしたっけ? 普通に会場も須田さんのメンバーカラーである赤のペンライトばかりじゃないですか。
鎌田 私もコールが少ないとは全然思えないですね。すごく重要なのは、亜香里さんを入り口としてSKE48を知ってくれるというパターンが多いこと。もし仮に途中から推し変したとしても、亜香里さんのことはずっと応援してくれてますって。やっぱり最初の推しメンって特別ですよ。赤のペンライトはずっと持ち続けているはずです。実際、私のファンの方の中にもそういう方はいますし。
須田 本当に? うれしすぎるなあ。
竹内 やっぱり全国区の知名度って強いですよ。ひょっとしたら亜香里さんのファンの方は安心している部分があるのかもしれないですね。「あかりんだったら何があっても安泰でしょ」って。若いメンバーを応援するときの「俺が支えなきゃ!」という段階は、とっくにクリアしていますから。
珠理奈の不在はプラスでもあった
──ニューシングルの表題曲「ソーユートコあるよね?」の振り付けはDA PUMPのメンバーによるものですね。
鎌田 ダンスにゴム跳びの動きを取り入れてくださったんです。ケンロップという愛知県などでゴム跳びをする際のかけ声から“ケンロップダンス”と呼んでいて。TikTokとかの動画アプリを通して、いろんな方がどんどん真似してくれるとうれしいですね。
──今回、選抜メンバーには松井珠理奈さんが入っていません。顔役がいない中、グループとしての真価が問われるのでは?
須田 ご存知のように、おじゅりは体調不良で休養していたんですけど、この期間はグループにとってプラスでもあったんです。若手メンバーからすると、おじゅりは雲の上の存在。AKB48でもセンターを務めているわけだし、「昔から憧れていました……」と思いつつ、遠巻きにしか見ることできないような人でもあったんです。それが今はもっと身近な仲間になったというか、一緒に成長していくパートナーになった。これからのSKE48を考えるとき、おじゅりの存在は絶対なくてはならないし、この1年で変わったおじゅりとメンバーとの関係がすごく重要な意味を持つと思うんです。周りが心配するほど、メンバーはおじゅりがいない状態を不安には感じていません。
鎌田 そもそも、いない状態が話題になるということ自体、いかに珠理奈さんの存在が大きいかを示していると思うんです。私からすると珠理奈さんはすごく気さくに話しかけてくれるし、自分が1歩引いて周りを立てることもできる人。今回のシングルでは選抜にはいないけど、1歩引いたところからアドバイスをしてくれていて。その場にいなくても、常に珠理奈さんは私たちの中に存在しているんです。この状態は私たちにとっても成長できるチャンスだと思うし、期待に応えたいという気持ちが強いですね。
竹内 私は「大丈夫です」と伝えたいですね。ファンの方に対しても、珠理奈さんに対しても。私たちは大丈夫だから珠理奈さんには休んでほしいし、頼ってほしいです。大丈夫だと断言する根拠として、センターに亜香里さんがいることが大きいと思います。この前、新幹線のホームで「亜香里さん、お疲れ様です」と亜香里さんに声をかけたら、周りの人が一斉に振り返ったんですよ。「あっ、あかりんだ!」という感じで。珠理奈さんと亜香里さん……テレビでよく見かけるメンバーが2人もいるのって、ほかのグループからしたらうらやましいことなのかもしれない。
みんなで寄り添う集団になれた
──2020年を迎え、新生SKE48のアピールポイントはズバリどこになりますか?
須田 最近、SKE48の握手会システムがシンプルなものに変わったんです。何カ月も前から予約しなくても、当日フラッと参加してメンバーとバドミントンができたり。SKE48のメンバーって気さくな子が多いので、実際に会えば人間的な魅力が伝わりやすいと思うんですよね。実は握手会のやり方については、メンバーからもだいぶ意見を出したんです。それをスタッフさんと一緒に話し合いながら改善していったんですけど、そういった風通しのよさも今のSKE48にとってプラスになっているはずです。
竹内 風通しのよさはメンバー間でも感じますね。昔は「お疲れ様です」以外の言葉を先輩と交わすことがあまりなかった。でも今はいい意味で壁が壊れていて、後輩たちも「ここ、教えてください」と気軽に尋ねてくるんです。先輩も後輩も関係なく、みんなで寄り添う集団になれた気がします。もちろんこの一体感は珠理奈さんや亜香里さんが10年かけて作ってくれたものなんですけど。
鎌田 あと、最近アーティスト写真の撮り方が変わったんですよ。前はアイドルっぽいニコニコした表情だったのが、今はクールなアーティスト路線でキメることも多いんです。メイクもアイドル風メイクじゃないものにしたいということをメイクさんにお願いしたりとか……こういうのって1つひとつは小さいことだけど、グループのイメージを作るうえですごく重要な積み重ねだと思うんです。メンバー同士でもスタッフさんとの間でも「SKE48を変えていこう」「SKE48をよくしていこう」という意思が共有できているんです。
須田 今は活動していて、すごく楽しいんですよね。手応えがありますし。今年もSKE48は攻めていきますので、しっかり付いてきてください!
※記事初出時、本文中に誤字がありました。訂正してお詫びいたします。
2020年1月14日更新