SKE48|結成11年目、未開の地へ

家族に恩返しができた

──今回の「FRUSTRATION」は、初選抜メンバーが多いことでも話題になっています。この中だと井上瑠夏さん、野島樺乃さん、松本慈子さんの3人が該当しますが。

(※ここで期せずして一同から拍手が自然発生する)

──「新世紀エヴァンゲリオン」のラストシーンみたいにしないでください(笑)。それぞれ今はどんな心境ですか?

井上 私はもうすぐ18歳になるんですけど(※6月上旬のインタビュー時点)、17歳の目標の1つが「選抜メンバーになりたいと言えるメンバーになる」ということだったんです。

古畑 ん? 「選抜メンバーになる」のが目標じゃなくて?

左から佐藤佳穂、井上瑠夏。

井上 それだとちょっと私的にはハードルが高いかなと思ったんですよね。ファンの方の前で「選抜メンバーになりたいです」って言うのが恥ずかしくない状態。まずはそこを目指そうと考えたんです。だから今回、自分が選抜に入ったと聞いたときは信じられなかったです。そして、すぐに家族の顔が頭に浮かびました。というのも私がSKE48で活動するために熊本から名古屋に引っ越したことで、家族がバラバラになっちゃったんですよ。うちは4人家族なんですけど、熊本と名古屋で2対2になっちゃった……。本当に自分のせいで迷惑をいろいろかけてきたから、やっと少し恩返しができたかなって。

──若いうちの芸能活動は、家族の支えがないと立ち行かないですからね。

井上 本当にそう思います。で、また湯浅(洋)劇場支配人が泣かせるような言い方をするんですよ。(※低い声でモノマネしながら)「熊本からやってきてねえ、お母さんも大変だったろうにねえ、それでもここまでがんばってきてねえ……」みたいな。

佐藤 すごくいい話だと思う。だけど、湯浅さんってそんなおじいちゃんみたいなしゃべり方する人だっけ?(笑)

松本慈子 私は14歳でSKE48に入ったんですけど、16歳になるときの生誕祭で「選抜に選ばれたいです」と宣言したんです。そこから3年。けっこう時間はかかってしまったんですけど、こうやって実現することができたのは、支え続けてくれたファンの方のおかげだなと改めて感謝の気持ちが湧いてきました。あとは、やっぱり家族ですよね……。

佐藤 またしても家族の話! さっきの瑠夏ちゃんのエピソードに触発されていない?

松本 大丈夫(笑)。私も大阪から名古屋に来て1人暮らしをしているんですけど、家族は私の活動内容にそれほど興味を示さなかったんですよ。親は特にアイドルに詳しくないですから。だけど選抜に入るとなると話が違うみたいで、ものすごく喜んでくれたんです。それが私としても、すごくうれしかったですね。テレビに出るときも東海地区限定じゃなくて全国に映る機会が増えるから、大阪に住んでいる家族も観ることができるでしょうし。

修羅場になった初選抜報告

──なるほど、ホロっとくる話です。こうなると当然、野島さんもご家族のエピソードを入れてくれるんでしょうね。

野島樺乃 今、ちょうどそれを考えていました(笑)。その前に私は7期生で入ったんですけど、選抜入り自体は最初から目指していたんです。だけど自分の実力不足もあり、なかなか思うようにいかなくて……正直、一時は完全に自信をなくしていました。そこで考え方を少し変えて、とにかく自分らしくいこうと開き直ったんですね。そうしたら今回、選抜に選んでいただけたので、本当にあきらめないでよかったなって思いました。そして選抜メンバーになれたことを家族にも報告したんですけど……。

井上 これを待っていました(笑)。

左から松本慈子、野島樺乃。

野島 私は(井上、松本の)2人とは違って、親が名古屋に住んでいるんです。でも、だからこそ電話とかメールじゃなくて直接会って伝えたかったんですよね。それでどうせならお母さんにサプライズ演出しようと思って、「今から面談に来てほしいんだ。さっきスタッフさんから怒られたので」と伝えたんです。私としては、事務所でお母さんと合流してから「実は素敵なことがあったんだー」と報告する作戦だったんですけど。ところがお母さんは「あんた! 何しとんの!」って大激怒しながら現れて、いきなり修羅場みたいになっちゃったんですよ(笑)。もう私が口を挟む隙すら与えてくれませんでしたから。

井上 うわー、それはシャレにならないですねえ。

野島 そんな調子だったから、私も半ギレ状態になっちゃって。「そうじゃない! 選抜に入ったの!」って、なぜか怒鳴りながら説明しました(笑)。お母さんもその頃には感情がグチャグチャになっていて、怒りだか感動だかわからない涙を流していましたね。あのとき私が仕掛けたサプライズは完全に余計な真似でした。

──野島さんの場合は「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」で優勝してから、とんとん拍子で駆け上がっている印象があります。

野島 「自分はもうすぐ死んじゃうのかな?」と、最近はたまに不安になります。今年に入ってからあまりにもいいニュースが続きすぎて、逆にちょっと怖いんですよ。叶えたかった夢、想像もしていなかった応援の声……神様が急に手のひらを返しそうな気がして。とはいえファンの方にうれしい報告ができるのはアイドルとしてこれ以上ないくらいの幸せなので、このまま突っ走っていけたらと思います!

先輩たちも全力なんです

──古畑さんの初センターにしても、初選抜メンバーが注目されている件にしても、「新しいSKE48をアピールする」という意図が感じられます。

佐藤 どんどん新しいことに挑戦していこうという姿勢は、会社としても明確に持っているようなんです。結局、悪い方向にはいかないと思うんですよ。新しいトライを続ける中で「これはいいね」「これはダメか」と気付くこともあるじゃないですか。それでグループが進化すれば結果オーライだし、挑戦しないことには新しいものなんて何も生み出せないですから。

左から古畑奈和、江籠裕奈。

古畑 最近は若いメンバーだけで公演したりもしているんですよ。依然として先輩たちの力が大きいのはもちろんなんですけど、後輩も着実に力を付けているのは間違いないんですね。いつまでも先輩におんぶに抱っこの状態ではなく、分散しても活躍できるだけの地力がSKE48に備わってきたんじゃないかと思います。

──以前、音楽ナタリーで松井珠理奈さんにインタビューさせてもらったとき(参照:SKE48「Stand by you」松井珠理奈インタビュー)、「想像以上に後輩がしっかり育っていたから、休養期間中も安心して見ていられた」といった発言を繰り返していました。

江籠 後輩ががむしゃらなのは当然だとして、先輩たちもずっと全力なんですよ。そのことに私は驚くし、すごく大きな刺激を受けています。今、私は19歳。SKE48の中でも先輩側なのか後輩側なのか、微妙な立ち位置なんですけどね。いずれにせよ後輩は先輩に追いつきたい、追い越したいという考えを常に持っているし、先輩も先輩で高い壁として堂々とパフォーマンスしている。グループ全体がいい空気感になっていることを強く感じます。

野島 1年くらい前を思い返すと、自分のことに精一杯すぎて、周りのこともSKE48全体のことも何も考えられていなかったなと反省するんです。本来なら先輩から教わったことも後輩に伝えていかなくちゃいけない立場なのに、そんな余裕は一切なくて……そういう面も含めて変わっていく必要があると思っています。