SKALAPPER|「田舎を言い訳にして負けたくない」何もない街で暮らすバンドの戦い方

賛否両論あるとは思うけど、コピーみたいなことはしたくなかった

──ところで、前作「BOUNCE」はさまざまなタイプの楽曲が収められていて、緩急のある作品だったと思うんですけど、今回の「90 MILE」は頭から最後まで畳みかけるような勢いで進んでいきます。

左からSioco(T. Sax)、LEE(B, Vo)。

LEE 前回は、広がりのある楽曲、今までにないSKALAPPERの楽曲っていうのを意識して作ったんです。でも、今思うと考えすぎたと思うところが多々あったので、今回は深く考えず、シンプルに作りました。ストレートでわかりやすい感じになったと思いますね。

──作品の勢いから、初期衝動の再燃を感じました。

LEE メンバーが新しくなったことでスタジオが楽しくなったんですよ(笑)。前作のツアーが終わった頃はスタジオの雰囲気が悪くてケンカすることもあったんですけど、新しいメンバー、新しい刺激が入ってきたことでなんか楽しくなってきて、いい雰囲気のまま一気に作り上げられました。

──ちなみに、影響を受けているバンドは?

左からLEE(B, Vo)、Sioco(T. Sax)。

LEE  Less Than Jake、Reel Big Fish、The Mighty Mighty Bosstonesみたいなアメリカのスカパンクバンドも聴いてたし、The Get Up kidsとかJimmy Eat Worldみたいなエモバンドも好きです。中学の頃、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとHi-STANDARDに影響を受けてバンドを始めたので、そのへんの影響もあると思いますね。

──今作に収録されているNo Use for a Nameのカバーが秀逸だと思ったんですが、スカパンクではなく、メロディックパンクバンドのカバーというのは意外でした。

LEE 特に深い意味はないんですけど、あの曲はメロディがすごくいいと思ってて、昔から大好きだったんです。だから、この曲をスカパンクにして好き勝手やってみたらどうなるんだろうと思ってスタジオで試してみたらけっこういい感じだったので、勢いでレコーディングしました。

──バチッとハマってますよね。

LEE 原曲のギターフレーズを曲頭にホーンで鳴らしてみたり、けっこう展開を崩したので賛否両論あるとは思います。でもコピーみたいなことはしたくなかったんで。1stアルバム「find a new world」でカバーしたThe Toasters「2Tone Army」も原曲はオーセンティックスカでゆっくりな感じなんですけど、このメロディはアップテンポにしたら絶対カッコいいだろうなと思って入れたので、考え方としては今回も同じですね。

病気をものともせずスカパンクを続ける姿に突き動かされて

──収録曲が9曲と若干少なめですが、これはあえてですか?

LEE 本当はもっと入れたかったんですけど、新メンバーの仕上がりとかそういった事情でこの曲数になりました。だけど絶対にこのタイミングで出したかったし、今のバンドのいい雰囲気のままやりたいっていうことをメンバーに伝えて、それで「やりましょう」っていうことになりました。

──Siocoさんも納得したんですね。

左からLEE(B, Vo)、Sioco(T. Sax)。

Sioco LEEさんの熱に当てられて、「やるしかない……!」って火を点けられた感じですね(笑)。

──Siocoさんから見て、LEEさんってどういう人なんですか?

Sioco もう、熱の塊ですよ(笑)。さっき、LEEさんの意志の強さがすごいっておっしゃってましたけど、私もLEEさんの行動力や熱意は本当にすごいと思ってます。実は、メンバーチェンジが続いてる間に、LEEさんが軽く脳梗塞になってしまって、このままバンドを続けられるのかっていうときがあったんです。でも、それをものともしないでスカパンクをやり続けるLEEさんはすさまじいなと。その思いに私たちも突き動かされました。

──体調が悪いであろうLEEさんが続けると言うなら、自分たちも付いていくしかないと。

Sioco はい。それに、LEEさんは一度やると決めたら必ずいい曲を作ってくることは昔から知っていたので、私もすぐにやる気になりました。

LEE ……ハズいんだけど(笑)。そんな話、聞いたことねえし。

Sioco そんなの言うわけないじゃないですか!(笑)

LEE どう反応していいかわからん、マジで。

左からLEE(B, Vo)、Sioco(T. Sax)。

Sioco ヤバイ! 私まで恥ずかしくなってきた(笑)。

──LEEさん、今の話を聞いてどうですか?

LEE 僕はめちゃくちゃなことを言うこともあるし、一度やるって決めたら絶対にやるタイプだけど、それにみんなちゃんと付いてきてくれるからうれしいですよ。

──今のバンドの状態をどういうふうに見てますか?

LEE 雰囲気は今までで一番いいと思います。「90 MILE」をリリースして、ツアーも始まるし、そのあとにも目指したいものができたので、バンドは活気付いてると思います。それに、今回は今までで一番いい作品ができたと思ってますし、いい状態で活動できてます。

──目指したいものというのは?

LEE 前作のツアーファイナルで、KEMURIを福井に呼んでツーマンをやったんです。それで活動に弾みを付けようと思っていたら、メンバーチェンジでガクッと失速して、それから3年間も暗い活動をしてきたんですよ。だから、今はここからもう一度跳ね上がってやるっていう気持ちが強くて、次のツアーが終わったらすぐに作品作りに取り掛かりたいです。曲ももう作り始めているので、勢いを殺すことなく続けるぞと。

面白くないんだったら面白くしてやるよ

──ちょっと意地悪なことを聞きますけど、その熱意って福井にいるから出てくるものなんですか? 仮に東京にいたとしたら違ったと思いますか?

LEE うーん……かもしれないです。負けたくないって気持ち。結局、そこに行き着きますね。「面白くないんだったら面白くしてやるよ、何もないんだったらイチから作るよ」って。

──LEEさんはローカルヒーローですよね。

左からLEE(B, Vo)、Sioco(T. Sax)。

Sioco もちろんそうです。私はハコで働いてるときからそういうふうに見てました。「SKALAPPERしかいない」って。

LEE でも、僕はヒーローになりたいわけではないし、自分が一番楽しみたいから曲を作るし、福井で一緒にやってる仲間と発信したいからやる、それだけです。全然売れてないし有名じゃないけどカッコいい曲を作ってるハードコアバンドもいるし、アンダーグラウンドだけどカッコいいジャパコアの先輩バンドもいるし。めっちゃ怖いけど……(笑)。そういうバンドをみんなに知ってほしいっていう気持ちでやってるので、その衝動が10年以上続いてるだけですね。

──この機会に読者に何か訴えておきたいことはありますか?

LEE ぜひライブに来てください! 僕らは発信の仕方があまりうまくないし、お金もないし、平日は仕事してるし、SNSで注目されるようなことを書くスキルもないし、音楽に詳しいわけでもない。だけど自分たちがやってる音楽が楽しいっていうことにはめちゃくちゃ自信があるんで、一度味見しに来てほしいです。ライブハウスでお会いしましょう!

SKALAPPER「90 MILE」
2018年3月21日発売 / PARKING LOT SOUNDS
SKALAPPER「90 MILE」

[CD]
2160円 / PLS-008

Amazon.co.jp

収録曲
  1. Super strong
  2. My way
  3. You're the one for me
  4. Alive
  5. Life goes on
  6. Daybreak
  7. Make some noise
  8. Step to you
  9. Let me down

公演情報

"90 MILE" Release Tour
  • 2018年3月25日(日)東京都 下北沢ReG / 下北沢CLUB251
  • 2018年4月1日(日)山梨県 KAZOO HALL
  • 2018年4月14日(土)大阪府 新神楽
  • 2018年4月22日(日)石川県 Kanazawa AZ
  • 2018年4月29日(日)富山県 MAIRO
  • 2018年4月30日(月・祝)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
  • 2018年5月19日(土)東京都 八王子RIPS
  • 2018年5月20日(日)愛知県 Party'z
  • 2018年6月9日(土)京都府 KYOTO MUSE
  • 2018年6月10日(日)長野県 ALECX
GOLD RUSH2018

2018年5月3日(木・祝)~5月6日(日)愛知県 名古屋栄・新栄・大須エリアのライブハウス
※SKALAPPERの出演は5月3日。

MUSIC DAY 2018 Hoppin' & Steppin' SHOW CASE

2018年5月4日(金・祝)神奈川県 CLUB CITTA'

DALLAX / GELUGUGU / THE REDEMPTION / THE JAPONICANS / ONE TRACK MIND / CHANGE UP / FEELFLIP /COQUETTISH /SPLASH / The OLDTONES / vagarious vagabondage/ D.D.D / ADAMOSTE KINGS / MINAMI NiNE/ frail(ex. FRAIL HEAD SQUEEZE) / ABNORMAL GALA ‪/ SKALAPPER / STEP BY STEP‬/ and more

百万石音楽祭2018~ミリオンロックフェスティバル~

2018年6月2日(土)・3日(日)石川県 石川県産業展示館1~4号館
※SKALAPPERの出演は6月2日。

Ivy to Fraudulent Game / アルカラ / 打首獄門同好会 / ORANGE RANGE / キュウソネコカミ / Creepy Nuts / クリープハイプ / Crystal Lake / KOTORI / サイダーガール / Survive Said The Prophet / The BONEZ / SHE'S / THE ORAL CIGARETTES / SCANDAL / Czecho No Republic / CHAI / 2 / DISH// / teto / 10-FEET / NICO Touches the Walls / PassCode / バックドロップシンデレラ / BIGMAMA / Fear, and Loathing in Las Vegas / フレンズ / HEY-SMITH / Base Ball Bear / POLYSICS / ポルカドットスティングレイ / yonige / LACCO TOWER / ROTTENGRAFFTY

VVM FIELD STAGE

A(c) / オメでたい頭でなにより / KUZIRA / The Chorizo Vibes / SKALAPPER / セックスマシーン / Danablu / LUCCI

LOCAL SOUND CALLING 2018

2018年9月1日(土)福井県 福井駅周辺 複数会場

SKALAPPER(スカラッパー)
SKALAPPER
2005年4月にLEE(B, Vo)を中心に結成された福井県在住のスカパンクバンドで、現在のメンバーはLEE、ARARCHY(Tb)、Sioco(T. Sax)、NONO(G)の4人。シンプルでキャッチーな楽曲とアグレッシブな演奏が特徴で、過去に「百万石音楽祭」や「京都大作戦」の前夜祭、「SKAViLLE JAPAN」といったイベントに出演したり、KEMURI、POTSHOT、Less Than Jake、Mad Caddies、Voodoo Glow Skullsらのツアーに参加している。また地元・福井では定期的にイベントを企画しており、これまで30回以上行われてきたライブイベント「Local Sound Borderless」では数々のバンドをサポート。2016年からは福井駅周辺でのサーキットイベント「LOCAL SOUND CALLING」を主催している。