SKALAPPER|「田舎を言い訳にして負けたくない」何もない街で暮らすバンドの戦い方

今やめても納得できないからやめられない

──ライブを観てほしいのはもちろん、スカパンクの魅力をもっと伝えていきたかったと。それだけの思いがあったにもかかわらず、SKALAPPERはメンバーチェンジがかなり激しく、歯がゆい思いをしていたと思います。

LEE(B, Vo)

LEE でも、ケンカ別れは一切ないんですよ。子供ができたとか、結婚するとか。あとこれは田舎特有なのかもしれないですけど、実家暮らしのメンバーが多くて、一緒に暮らしている親の理解を得られなかったっていうこともあったりして、これまでに10人以上が辞めていってます(笑)。

──この1年だけでもかなり激しいメンバーの入れ替わりがありましたよね。自分がその立場なら完全に心が折れるだろうなと思いました。

LEE (笑)。前任のドラムがうちのキーマンでムードメーカーだったんですけど、去年5月ぐらいに「アルバムを作ろう!」っていうタイミングで辞める話を切り出されて、そのときはさすがに「ちょっともうダメかもな」とは思いました。彼は1stアルバムの頃からのメンバーでしたし、いろんなバンドとのつながりも彼が作っていたので、かなりキツかったです。

Sioco(T. Sax)

Sioco 去年、まちゃき(Tb)さんが抜けたときも、ホーン隊として不安がかなりありました。パフォーマンスの部分で彼に頼っていたところが大きかったので、果たして自分にその代わりができるのかっていう不安は大きかったですね。でも、同時にそれがきっかけで自分に火が点いたところはあります。

──メンバーとしての自覚が強くなったんですね。小さなシーンでの活動、相次ぐメンバー交代、だけどここまで突き進んでこられたのはLEEさんの意志の強さによるんでしょうか?

LEE 今やめても納得できないから辞められないっていう気持ちはあります。それに、さっき話したFree Kick、滋賀のSKA FREAKS、東京のFEELFLIP、大阪のHEY-SMITHなんかとよく一緒に対バンしてるんですけど、そういう仲間がまだ活動を続けてる以上、自分たちも止まれないっていうのもあるし、大先輩のKEMURI、Oi-SKALL MATES、RUDEBONESも現役でやってて、そういうのを見てるから辞めるという選択肢はないですね。活動のペースを落として、月のライブを1、2回にするとか、そういう話になったこともあるんですけど、ギターのNONOが「やるならしっかりやりましょう」って言ったんです。それで「じゃあ、体制立て直して、アルバム出して、イチからやろう」っていうことになりました。

意識したのはシンプルだけど印象的なもの

──そんな中でも、しっかりとアルバムの制作に臨めたというのがすごいですね。

LEE 前のアルバムを出して3年半が経って、その間に曲はできてたし、ライブでも新曲はやってたんで、「今ある曲をちゃんと作品にしたいよな」っていう話になってから本格的に楽曲制作に乗り出した感じですね。

──そうだったんですね。

LEE なので、今回のアルバムに入ってる曲で一番古いのは3年前からあります。前回のアルバムのツアーが終わってすぐのタイミングでSiocoが入ることになって、そのときはトランペット、アルトサックス、トロンボーンがいたので、Siocoのテナーサックスを入れて4管にしようって話になったんですけど、その後に1人辞めて、一旦曲制作が止まって、また1人辞めて……ってなっていった感じです。

──今はテナーサックスとトロンボーンの2管ですけど、ホーンの編成が変わると楽曲のアレンジも変わりますよね。

LEE だいぶ変わりました。トランペットがあったときとそれがなくなった今とではホーンのアンサンブルやフレーズはだいぶ違います。

──実は一番大変なのってSiocoさんだったりしません?

左からSioco(T. Sax)、LEE(B, Vo)。

Sioco 私、曲作りもレコーディングも今回が初めてで、LEEさんを納得させるのが一番の試練でした。でも苦労はありましたけど、採用してもらえるうれしさでがんばれました。

LEE 苦労しただろうね(笑)。

──レコーディングの前から、管楽器が減っていくたびにアレンジを変えていたわけですよね。

Sioco はい。でも編成が変わったからといって、お客さんや周りのバンドに「何かが違う」とは思われたくないし、2管でもカッコよくということを意識しました。でも、スカパンクってこの2管でやるのがカッコいいし、LEEさんは声が高いので、今のホーン隊の中低音がよりなじむと思ってます。

LEE 僕が意識したのは大好きなLess than Jakeですね。今の僕らはトロンボーン、テナーサックス、ベースボーカル、ギター、ドラムっていうLess than Jakeみたいな編成で、ホーンのフレーズもシンプルだけど印象的なものを意識して作りました。

──Siocoさんは初のレコーディング、どうでしたか?

Sioco 準備はしっかりやったし、事前にスタジオでもかなり詰めて、自分の中ではいけると思ってたんですけど、いざやってみると苦労するところがけっこうあったなと。トロンボーンのARARCHYも今回が初めてのレコーディングだったので、彼女との連携を意識したうえで、SKALAPPERのホーン隊としてしっかり完成させなきゃいけなかったのが大変でした。

──ARARCHYさんも去年の5月に加入してから半年後にレコーディングですもんね。

Sioco そうなんですよ(笑)。彼女も食らい付いてやってたと思います。

──そんな状態でよくレコーディングに踏み切れたし、ここまでのクオリティに仕上げられましたね。

LEE めちゃくちゃスタジオに入りました(笑)。土日のライブがない日は朝から晩までずっとスタジオで何回もプリプロして、短期間でガッと詰めました。

SKALAPPER「90 MILE」
2018年3月21日発売 / PARKING LOT SOUNDS
SKALAPPER「90 MILE」

[CD]
2160円 / PLS-008

Amazon.co.jp

収録曲
  1. Super strong
  2. My way
  3. You're the one for me
  4. Alive
  5. Life goes on
  6. Daybreak
  7. Make some noise
  8. Step to you
  9. Let me down

公演情報

"90 MILE" Release Tour
  • 2018年3月25日(日)東京都 下北沢ReG / 下北沢CLUB251
  • 2018年4月1日(日)山梨県 KAZOO HALL
  • 2018年4月14日(土)大阪府 新神楽
  • 2018年4月22日(日)石川県 Kanazawa AZ
  • 2018年4月29日(日)富山県 MAIRO
  • 2018年4月30日(月・祝)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
  • 2018年5月19日(土)東京都 八王子RIPS
  • 2018年5月20日(日)愛知県 Party'z
  • 2018年6月9日(土)京都府 KYOTO MUSE
  • 2018年6月10日(日)長野県 ALECX
GOLD RUSH2018

2018年5月3日(木・祝)~5月6日(日)愛知県 名古屋栄・新栄・大須エリアのライブハウス
※SKALAPPERの出演は5月3日。

MUSIC DAY 2018 Hoppin' & Steppin' SHOW CASE

2018年5月4日(金・祝)神奈川県 CLUB CITTA'

DALLAX / GELUGUGU / THE REDEMPTION / THE JAPONICANS / ONE TRACK MIND / CHANGE UP / FEELFLIP /COQUETTISH /SPLASH / The OLDTONES / vagarious vagabondage/ D.D.D / ADAMOSTE KINGS / MINAMI NiNE/ frail(ex. FRAIL HEAD SQUEEZE) / ABNORMAL GALA ‪/ SKALAPPER / STEP BY STEP‬/ and more

百万石音楽祭2018~ミリオンロックフェスティバル~

2018年6月2日(土)・3日(日)石川県 石川県産業展示館1~4号館
※SKALAPPERの出演は6月2日。

Ivy to Fraudulent Game / アルカラ / 打首獄門同好会 / ORANGE RANGE / キュウソネコカミ / Creepy Nuts / クリープハイプ / Crystal Lake / KOTORI / サイダーガール / Survive Said The Prophet / The BONEZ / SHE'S / THE ORAL CIGARETTES / SCANDAL / Czecho No Republic / CHAI / 2 / DISH// / teto / 10-FEET / NICO Touches the Walls / PassCode / バックドロップシンデレラ / BIGMAMA / Fear, and Loathing in Las Vegas / フレンズ / HEY-SMITH / Base Ball Bear / POLYSICS / ポルカドットスティングレイ / yonige / LACCO TOWER / ROTTENGRAFFTY

VVM FIELD STAGE

A(c) / オメでたい頭でなにより / KUZIRA / The Chorizo Vibes / SKALAPPER / セックスマシーン / Danablu / LUCCI

LOCAL SOUND CALLING 2018

2018年9月1日(土)福井県 福井駅周辺 複数会場

SKALAPPER(スカラッパー)
SKALAPPER
2005年4月にLEE(B, Vo)を中心に結成された福井県在住のスカパンクバンドで、現在のメンバーはLEE、ARARCHY(Tb)、Sioco(T. Sax)、NONO(G)の4人。シンプルでキャッチーな楽曲とアグレッシブな演奏が特徴で、過去に「百万石音楽祭」や「京都大作戦」の前夜祭、「SKAViLLE JAPAN」といったイベントに出演したり、KEMURI、POTSHOT、Less Than Jake、Mad Caddies、Voodoo Glow Skullsらのツアーに参加している。また地元・福井では定期的にイベントを企画しており、これまで30回以上行われてきたライブイベント「Local Sound Borderless」では数々のバンドをサポート。2016年からは福井駅周辺でのサーキットイベント「LOCAL SOUND CALLING」を主催している。