SKALAPPERは福井に在住する結成13年のスカパンクバンド。自主企画イベント「Local Sound Borderless」に数多くのバンドを招聘したり、福井駅周辺でサーキットイベント「LOCAL SOUND CALLING」を主催したりと、ローカル発信にこだわりながら彼らなりのやり方で福井を盛り上げてきた。
音楽ナタリーでは、SKALAPPERが4枚目のアルバム「90 MILE」を3月21日にリリースするのを受けて、彼らが東京・下北沢を訪れライブを行ったタイミングでインタビューを実施。バンドの現状や、福井で音楽活動を続けることについての思いなどを、メンバーのLEE(B, Vo)とSioco(T. Sax)に話してもらった。
取材・文 / 阿刀“DA”大志 撮影 / 草場雄介
CDショップがない状況をマイナスに捉えられるのがすごく嫌
──結成13年目ですが、これまで取材を受けたことはありますか?
LEE(B, Vo) ないです。あったとしても、地元・福井の新聞とか雑誌でちょっと扱ってもらうぐらいですね。
──じゃあ、音楽媒体でのインタビューは初めてだと。
LEE メールインタビューぐらいしかなかったですね。
──SKALAPPERは結成以来ずっと地元である福井を拠点に活動をしているわけですけど、福井の音楽シーンはどういう感じなんでしょうか?
LEE ジャンルはバラバラでツアーをガンガンやるバンドなどは少ないですが、いろんなバンドがいます。ただ、僕らが地元でライブをやるときは高校生・大学生のコピーバンドやハードコアバンドと一緒だったりするし、スカバンドは僕らしかいない。いろんなバンドがごちゃごちゃに混ざり合ってるシーンですね。
──そんな地元を盛り上げようという気持ちがSKALAPPERにはあると。
LEE そうですね。そういう状況でもオリジナル曲で世の中に発信してるバンドはいるし、僕らが福井でライブをやるとほかの県から来てくれるお客さんがいるので、そういう人たちに福井のバンドを観てもらいたいっていうのはあります。
──しかも、サーキットイベント「LOCAL SOUND CALLING」を主催して500人近くを動員したり、しっかりと行動に移してますよね。
LEE 田舎だということを言い訳にしたくないんです。福井にはタワーレコードやHMVみたいな大型CDショップはないし、僕らのCDを扱っているお店は松木屋っていうローカルのCDショップやヴィレッジヴァンガードぐらいしかなくて、その代わりにライブハウスでCDを買うっていう文化があるんですけど、そんな状況をマイナスに捉えられるのがすごく嫌なんです。だったらCDを買いに行ける場所、例えば面白いイベントをライブハウスでやって、そこで出会ったバンドのCDをその場で買えばいいじゃんっていう気持ちで「LOCAL SOUND CALLING」を始めたところもあります。福井だから、ライブハウスが少ないから、タワレコがないからっていうのを言い訳にしたくない、負けたくないっていう気持ちです。
──何に負けたくないんですか?
LEE 環境が整っているほかの都市のシーンとか、そこで活動してるバンドに負けたくない。福井だからできないとか、福井は何もないとか……まあ実際何もないんですけど、何もない街からでも面白いものを生み出してやるっていう気持ちですね。地元愛です(笑)。地元の音楽シーンにもっと注目が集まるように活動していきたいと思ってます。
環境によるハンデはフットワークでカバー
──Siocoさんは福井のシーンについてどう考えてますか?
Sioco(T. Sax) 私はもともと福井のChopっていうライブハウスで働いてたんですよ。SKALAPPERは私が高校生の頃から活動してて、県外のバンドが福井に来るときはSKALAPPERが対バンで出るっていう流れがずっとあったんです。しかもSKALAPPERは「Local Sound Borderless」というイベントも組んでいて、県外からもバンドをたくさん呼んでいるのをずっと見てたので、加入する前から「このバンドはすごい」と思ってました。だけどSKALAPPER以外だと、福井ではオリジナル曲をやるバンドが出てきてもすぐに解散してしまうことが多くて、それをさみしく感じることもありましたね。
──大阪や東京に出ていこうという話にはならなかったんですか?
LEE 結成当初にそういう話が出たことはあります。でも、今の生活を捨てられないっていうメンバーが何人かいて、「だったらこっちでしっかりやろう」という結論になりました。それに、昔から仲良かった北海道のFree Kickとか滋賀のSKA FREAKSみたいに地方でしっかり活動を続けてるバンドも見てたんで、俺らもやれるっていう気持ちはありました。
──でも北海道や滋賀と比べると、福井の環境はかなりハンデがありますよね。
LEE 正直、それはありますね。ただ、大阪も名古屋も高速道路を使えば車で2、3時間で行けるから、そこはフットワークでカバーしようということで。ライブがないときでも名古屋とか大阪のライブハウスに顔を出しに行ったりしてました。
──平日は仕事をしながら年間60~70本のライブをやっていた時期があったんですよね?
LEE そうですね。最初の頃は毎週金曜の夜に福井を出発して、土曜と日曜にライブやって、月曜の朝に帰ってきてそのまま仕事っていう生活をやってました。
──何がそこまで皆さんを駆り立てたんですか?
LEE 自分たちが作った音楽をたくさんの人に楽しんでもらいたいっていうのが一番です。僕はライブハウスで一番めちゃくちゃになって遊べる音楽はスカパンクだと思ってるんで。一時期スカはブームになりましたけど、その後はだんだん下火になって、今知られているスカバンドはスカパラ(東京スカパラダイスオーケストラ)とかKEMURIとかほんの一握り。でもカッコいいスカバンドはほかにも全国にいっぱいいるから、自分たちも含めて観に来てほしい、目を向けてほしいという気持ちでやってました。
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今やめても納得できないからやめられない
- SKALAPPER「90 MILE」
- 2018年3月21日発売 / PARKING LOT SOUNDS
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[CD]
2160円 / PLS-008
- 収録曲
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- Super strong
- My way
- You're the one for me
- Alive
- Life goes on
- Daybreak
- Make some noise
- Step to you
- Let me down
公演情報
- "90 MILE" Release Tour
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- 2018年3月25日(日)東京都 下北沢ReG / 下北沢CLUB251
- 2018年4月1日(日)山梨県 KAZOO HALL
- 2018年4月14日(土)大阪府 新神楽
- 2018年4月22日(日)石川県 Kanazawa AZ
- 2018年4月29日(日)富山県 MAIRO
- 2018年4月30日(月・祝)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 2018年5月19日(土)東京都 八王子RIPS
- 2018年5月20日(日)愛知県 Party'z
- 2018年6月9日(土)京都府 KYOTO MUSE
- 2018年6月10日(日)長野県 ALECX
- GOLD RUSH2018
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2018年5月3日(木・祝)~5月6日(日)愛知県 名古屋栄・新栄・大須エリアのライブハウス
※SKALAPPERの出演は5月3日。
- MUSIC DAY 2018 Hoppin' & Steppin' SHOW CASE
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2018年5月4日(金・祝)神奈川県 CLUB CITTA'
DALLAX / GELUGUGU / THE REDEMPTION / THE JAPONICANS / ONE TRACK MIND / CHANGE UP / FEELFLIP /COQUETTISH /SPLASH / The OLDTONES / vagarious vagabondage/ D.D.D / ADAMOSTE KINGS / MINAMI NiNE/ frail(ex. FRAIL HEAD SQUEEZE) / ABNORMAL GALA / SKALAPPER / STEP BY STEP/ and more
- 百万石音楽祭2018~ミリオンロックフェスティバル~
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2018年6月2日(土)・3日(日)石川県 石川県産業展示館1~4号館
※SKALAPPERの出演は6月2日。Ivy to Fraudulent Game / アルカラ / 打首獄門同好会 / ORANGE RANGE / キュウソネコカミ / Creepy Nuts / クリープハイプ / Crystal Lake / KOTORI / サイダーガール / Survive Said The Prophet / The BONEZ / SHE'S / THE ORAL CIGARETTES / SCANDAL / Czecho No Republic / CHAI / 2 / DISH// / teto / 10-FEET / NICO Touches the Walls / PassCode / バックドロップシンデレラ / BIGMAMA / Fear, and Loathing in Las Vegas / フレンズ / HEY-SMITH / Base Ball Bear / POLYSICS / ポルカドットスティングレイ / yonige / LACCO TOWER / ROTTENGRAFFTY
VVM FIELD STAGE
A(c) / オメでたい頭でなにより / KUZIRA / The Chorizo Vibes / SKALAPPER / セックスマシーン / Danablu / LUCCI
- LOCAL SOUND CALLING 2018
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2018年9月1日(土)福井県 福井駅周辺 複数会場
- SKALAPPER(スカラッパー)
- 2005年4月にLEE(B, Vo)を中心に結成された福井県在住のスカパンクバンドで、現在のメンバーはLEE、ARARCHY(Tb)、Sioco(T. Sax)、NONO(G)の4人。シンプルでキャッチーな楽曲とアグレッシブな演奏が特徴で、過去に「百万石音楽祭」や「京都大作戦」の前夜祭、「SKAViLLE JAPAN」といったイベントに出演したり、KEMURI、POTSHOT、Less Than Jake、Mad Caddies、Voodoo Glow Skullsらのツアーに参加している。また地元・福井では定期的にイベントを企画しており、これまで30回以上行われてきたライブイベント「Local Sound Borderless」では数々のバンドをサポート。2016年からは福井駅周辺でのサーキットイベント「LOCAL SOUND CALLING」を主催している。