SixTONESの9枚目のシングル「ABARERO」がリリースされた。
「ABARERO」はシングルの表題曲としては2021年8月リリースの「マスカラ」以来1年8カ月ぶりとなるノンタイアップの楽曲。ラップ担当の田中樹を中心にSixTONESが意欲的に取り組んできたヒップホップチューンだ。
4月15日と16日に大阪・京セラドーム大阪、21日から23日にかけては東京・東京ドームで単独公演「慣声の法則 in DOME」に臨むSixTONES。ジャニーズグループとして特異な存在感を示してきたジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹が記念すべき大舞台を前に放つ「ABARERO」とは。音楽ナタリーではシングルの初回盤A、B、通常盤の全収録曲を紹介し、グループとしてのカラーを模索し続けるSixTONESの姿に迫る。
文 / 寺島咲菜
2020年1月のデビューから3年が経ち、ソロ活動でも多忙を極めるSixTONESの6人。最新アルバム「声」のセールスが57万枚を突破しながらも、彼らは現状に満足することなく、「SixTONESの知名度を上げたい」と常にグループとしてさらなる高みを目指している。
キャリア初のドームワンマンに先立ってドロップされる「ABARERO」は、間違いなくSixTONESの勝負作と言えよう。彼らが熱心に向き合ってきたヒップホップやロックなど多彩なジャンルを詰め込んだ“おもちゃ箱的な1枚”が完成した。
次回のグラミー賞はSixTONESと
表題曲「ABARERO」(※全仕様共通)
[作詞・作曲:TSUGUMI、TOMOKO IDA / 編曲:TOMOKO IDA]
SixTONESはコロナ禍の2020年1月にデビューして以降、アリーナを主戦場にライブ活動を行ってきた。しかし、2022年までの2年間は観客の声出しが制限されており、そんな環境下でSixTONESが本来の魅力をどう打ち出すか、試行錯誤を重ねていたと思う。
「歓声が消えた時代だからこそ、いつの日かまた熱い声を聴きたい。届けたい」──こうしたメンバーの思いが色濃く反映されたのが、1月4日リリースの3rdアルバム「声」。6人の思いが通じたのか、同日に始まったアリーナツアー「慣声の法則」は、新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインの改訂を受けて、マスク着用というルールがありながらもファンが声援を送ることができた。会場中に響き渡ったシンガロングは、SixTONESのライブの“完全復活”を予感させた。
そして「RAM-PAM-PAM」や「Special Order」に次ぐ、SixTONESの新たなライブアンセムが誕生した。タイトルは「ABARERO」。荘厳なクワイアやガラスの割れるSEがSixTONESの“攻撃開始”を知らせる。ヘビーなビートとサイレン音が絡み合う不穏なトラック上で、矢継ぎ早にラップを繰り出すメンバー。「媚びは売らねーMy style」「Hatersは構わない」「まだまだかますぜ俺らのやり方で」といった煽動的なリリックは、いかなるシーンでも矢面に立ち、SixTONESらしさを貫こうとする6人の強い意思表示だろう。サビではドラムンベースを軸にしたサウンドと、「A BA RE RO Break it Break it(Take it off)」「目覚めろ Monsters Monsters(Monsters)」など呪文のようなリリックが放たれ、不吉なムードを増幅させる。また、要所要所にちりばめられた雄々しいコールやシャウトはリスナーを狂騒の世界へと誘う。
作詞作曲は「Bella」「So Addicted」「love u…」でもタッグを組んだTOMOKO IDAとTSUGUMI、振付はSixTONES楽曲には初参加となるSAYA YAMAMARU。ヒップホップダンスを得意とする彼女は、King & Prince「ichiban」「ツキヨミ」の振付師として知られるRIEHATAとユニット・SAYA&RIEも組んでいる。「ABARERO」のダンスはグループ史上もっともハードかつアグレッシブと言われ、発売前からさまざまなメディアで大きく取り上げられた。めくるめくフォーメーションダンスはもちろん、牙を剥くようなキャッチーな動きも鮮烈なインパクトを残す。
ミックスおよびマスタリングを手がけるのは、カニエ・ウェストやスヌープ・ドッグ、ジェイ・Zなど名だたるアーティストの楽曲に携わってきたイタリアのオーディオエンジニア・イルコ。彼はTwitterを通じて「次回のグラミー賞はSixTONESと獲れたらアメージングですね」とメッセージを送っている。
楽曲の細部にまで、SixTONESの過剰なまでの熱量や大胆な生き様が感じられる「ABARERO」。6人はこの曲を携え、ライブエンタメ復活の狼煙を上げる。
前向きなメッセージを忍ばせたヒップホップチューン
初回盤Aカップリング曲「Hello」
[作詞:ONIGASHIMA / 作曲:ジョセフ・メリン / 編曲:ジョセフ・メリン]
森本と田中のユニット曲「OPA!」でもタッグを組んだジョセフ・メリンとONIGASHIMAが制作したヒップホップチューン。哀愁のにじむギターのアルペジオで幕を開け、たゆたうようなグルーヴが感情の揺らぎを表現しているよう。無常観や悲哀がつづられたシリアスな曲かと思いきや、「光がなくても Never run away」「どんな今も越えていく」といったフレーズから、未来へと突き進んでいく意志も感じられる。「Just show me now,」からの田中の高速ラップも聴きどころのひとつだ。
ソウルミュージック風にアップデート
初回盤Aカップリング曲「Good Luck! -Sunrise Soul Remix-」
[作詞:YUUKI SANO / 作曲:YUUKI SANO、Taishi Noguchi / 編曲:Taishi Noguchi、Naoki Itai]
昨年末は「NHK紅白歌合戦」に3回目の出場を果たしたSixTONES。トップバッターを務めた彼らは「Good Luck!」をパフォーマンスし、ステージをにぎやかに彩った。原曲はストリングスやホーンセクションの音色が効いた華やかなアレンジだったが、オリジナルのポップさはそのままに、60~70'sのソウルミュージックをイメージした温もりあふれるリミックスに仕上がっている。
運命の曲
初回盤Bカップリング曲「彗星の空」
[作詞:NAOKI / 作曲:G-ROW、HIROMI、NAOKI、TIM TAN / 編曲:G-ROW]
6人のメンバーで構成されるSixTONESにとって“6”は切っても切り離せない数字。「彗星の空」が収録されている初回盤BのCDの品番はSECJ-66で、メンバー自身もこの曲に運命を感じているようだ。ギター、ベース、ドラム、ストリングスが紡ぐ瑞々しいロックサウンドと、SixTONESの軌跡をたどるようなノンフィクション的な歌詞は、ファンに高い人気を誇る「NEW WORLD」や「この星のHIKARI」を彷彿とさせる。高鳴る鼓動のようなビートと6人の澄んだ歌声を聴けば、SixTONESの未来を期待せずにはいられない。
日没を“ふたり”で
初回盤Bカップリング曲「ふたり -Sunset Chill Remix-」
[作詞・作曲:YUUKI SANO、Haruka Yanagawa / 編曲:Naoki Itai]
原曲「ふたり」は叙情的なボーカルと、儚げなピアノの音色があとを引くラブバラード。リミックスバージョンは、アコースティックギターを基調としたオーガニックなアレンジに生まれ変わり、6人の歌声がより存在感を示す。日の出をイメージした「Good Luck! -Sunrise Soul Remix-」との対比を心ゆくまで楽しみたい。
ボカロロックにあふれる人間味
通常盤カップリング曲「PARODY」
[作詞作曲:Sota Utsumi / 編曲:Sota Utsumi、Naoki Itai]
SixTONESが歌う新たなボカロ系ロック「PARODY」はオートチューンのかかった無機質なボーカルでありながら、人間味あふれる感傷的な詞世界が特徴。「前からも横からも後ろからも 指さされる」「生きづらいな 息辛いな」と不寛容な社会を嘆いている。作詞・作曲・編曲はSixTONES楽曲には初参加のSota Utsumi。編曲には「PARTY PEOPLE」「NEW ERA」に携わったNaoki Itaiも参加している。
自然体の魅力が際立つドライブソング
通常盤カップリング曲「Drive」
[作詞:ONIGASHIMA / 作編曲:ジョセフ・メリン]
[作詞:ONIGASHIMA / 作編曲:ジョセフ・メリン]
表題曲「ABARERO」とは対照的とも言える、ナチュラルな6人の魅力が詰まった開放感あふれるポップチューン。タイトル通り“君”とのドライブシーンが描かれている。エンジン音とともに曲が始まり、メロディアスなギターフレーズやメンバーのご機嫌なかけ声に自然と心が弾む。制作は「OPA!」「Hello」も手がけたジョセフ・メリンとONIGASHIMA。もはやSixTONESの楽曲にはなくてはならない2人だ。
ヒートアップするラップ
通常盤カップリング曲「人人人 -PLAYLIST Performance Day.6 ver.-」
[作詞・作曲・編曲:SAEKI youthK]
不定期で行われるSixTONESのYouTube限定企画「PLAYLIST」で公開されたパフォーマンス映像は、6人の底知れないポテンシャルの高さを思い知らされるパフォーマンスだった。そこで披露された「人人人」の、表舞台に立つ人々のリアルな心境を描写したリリックと6人の秀逸なマイクリレーが話題になったことにより、シングル曲ではないものの、ファンからの人気は高い。バンドが織りなす緻密なアンサンブルと、ヒートアップしていく6人のラップは、リスナーを瞬く間に興奮へと導く。
6人と穏やかなひとときを
通常盤カップリング曲「Chillin' with you -PLAYLIST Performance Day.7 ver.-」
[作詞:TSUGUMI、Marcello Jonno / 作曲:Taro Takaki、Christofer Erixon、Ricardo Burgrust / 編曲:Taro Takaki、Marchin、Kohei Kiriake]
YouTube企画「PLAYLIST」にて生バンドとのスタジオパフォーマンスで披露されたバージョンが、待望の音源化。「声」に収録された英語詞がメインのミドルチューンで、“2人”だけの静謐なひとときが表現されている。聴き手に寄り添うような柔和な歌声が、SixTONESのアグレッシブなイメージを大きく覆す。
ライブ情報
慣声の法則 in DOME
- 2023年4月15日(土)大阪府 京セラドーム大阪
- 2023年4月16日(日)大阪府 京セラドーム大阪
- 2023年4月21日(金)東京都 東京ドーム
- 2023年4月22日(土)東京都 東京ドーム
- 2023年4月23日(日)東京都 東京ドーム
プロフィール
SixTONES(ストーンズ)
ジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹からなる6人グループ。ジャニーズJr.時代の2018年3月より公式YouTubeチャンネル·ジャニーズJr.チャンネルで金曜日を担当し、10月に「YouTube アーティストプロモ」キャンペーンに選ばれた。2020年1月にSnow Manと同時に1stシングルをリリース。デビュー曲「Imitation Rain」はYOSHIKI(X JAPAN)が手がけた。4月に冠レギュラー番組「SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル」がニッポン放送でスタート。2023年1月に3rdアルバム「声」を発表し、同月から3月まで全国アリーナツアー「慣声の法則」を実施した。4月に9thシングル「ABARERO」をリリースし、大阪・京セラドーム大阪と東京・東京ドームで単独公演「慣声の法則 in DOME」を行う。
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