SixTONESのライブDVD / Blu-ray「Feel da CITY」がリリースされた。
今年1月から6月にかけて全9カ所を回ったアリーナツアー「Feel da CITY」より、1月6日の神奈川・横浜アリーナ公演の模様を収めたこの作品。SixTONESは最新アルバム「CITY」を携えたこのツアーでどんな景色を描き出したのか、6人の成長が垣間見える「Feel da CITY」の魅力を紐解いていく。
文 / 寺島咲菜
ツアーは半年に延長
2022年1月はSixTONESにとって濃密な1カ月だった。4日に「Feel da CITY」ツアーをスタートさせ、5日に2ndアルバム「CITY」をリリース。22日には晴れてCDデビュー2周年を迎えた。そのほかYouTube「THE FIRST TAKE」にジャニーズグループとして初出演するという快挙を成し遂げるなど、トピックが目白押しだったこの期間に開幕したのが、「CITY」のリリースツアー「Feel da CITY」だった。
「Feel da CITY」は5月に終了予定だったものの、メンバーの新型コロナウイルス感染に伴い一部公演が延期に。1月のスタートから半年間をかけ、6月に千秋楽を迎えた。1stアルバム「1ST」の発売に合わせた2021年のツアー「on eST」(オン エスト)は新型コロナ感染拡大の影響で一部公演の開催が叶わなかっただけに、SixTONESにとってツアー完走は悲願だったに違いない。そんなメンバーの特別な思いが詰まった「Feel da CITY」のうち、映像作品には3日間にわたる横浜アリーナ公演の最終日1月6日のステージの様子が記録されている。
“S”カレーターのトップで待つSixTONES
関東地方が積雪に見舞われた1月6日、横浜アリーナには1万5000人のオーディエンスが集結。多くの観客の手には街灯をモチーフにしたペンライトが握られている。耳を澄ませば雑踏のざわめきが聞こえ、次第にフルートの音色やシンセサウンドと重なる。さまざまな音が混ざり合った神秘的なインストに耳を奪われていると、霧がかったステージ上空で凛とした表情で佇むジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹の姿が。6人がそれぞれ乗っているのはウッド調のトロッコ。彼らの足元に敷かれているS字のレールは美しい曲線を描いている。これが「Feel da CITY」でお目見えした巨大な舞台装置“Sカレーター”だ。公演は「CITY」発表前の2021年8月にリリースされた5thシングル「マスカラ」通常盤のカップリング「Lost City」で幕開け。Bメロに突入すると“Sカレーター”がゆっくりと動き出し、メンバーたちをメインステージ中央へと連れて行く。舞台に降り立ったSixTONESは燃え盛る炎をバックに、アラビアンテイストの「Special Order」を披露。挑発的なパフォーマンスでアリーナを支配すると、ジャニーズJr.時代からの骨太なロックチューン「Rollin'」やSixTONESのライブアンセムとも言うべき「S.I.X」を次々と投下し、瞬く間に観客を興奮の渦へと巻き込んだ。
グループの真骨頂であるワイルドなアッパーチューンで会場が温められたあと、場内は暗転。闇を切り裂くように無数の光がアリーナ中を駆け抜ける。荘厳なパイプオルガンの音が響くと同時にメインステージが真っ赤に染まり、全編英語詞の「Dawn」へ。仄暗いステージで6人は、6色のライトが灯るスタンドマイクをバトンのように操り、威厳に満ちた強烈なオーラを放った。
信じ合う2人
色気漂うダンスチューン「Papercut」「Odds」、エレクトロ調のラブソング「love u...」「You & I」など、見どころを挙げればキリがないが、やはり注目すべきは3ユニットのパフォーマンスパート。ダンスに定評のあるジェシーと森本の「LOUDER」で2人が360°客席に囲まれた花道とサブステージで大きく躍動する姿には血が騒ぐし、Jr.時代から強い結び付きのある松村と髙地が「真っ赤な嘘」を通じて表現する繊細なボーカルとダンスは胸に迫るものがある。「With The Flow」の冒頭では京本と田中が即興セッションを展開。京本のギターストロークに乗せ、田中が自由気ままにラップする姿はなんとも心地よさそうだ。ほどよく力の抜けた自然体のパフォーマンスからは、アーティストとして互いに信頼し合う2人の関係性が垣間見える。
異なる音楽性を打ち出した各ユニットのパートを経て、ライブはクライマックスに向けてさらなる盛り上がりを見せる。ファンから高い人気を誇る「Strawberry Breakfast」の「CITY」バージョン、「フィギュア」「NEW WORLD」のあとに待っていたのは「Imitation Rain」。SixTONESにとって紛れもなく大切な曲で、過去さまざまな公演でも趣向を凝らしたライブ演出によってオーディエンスの涙を誘ってきた。そんなデビュー曲は今回のツアーでどのように披露されるのか、オーディエンスの期待は大きかったはずだ。客席が再び暗闇に包まれ、緊迫感が漂うアリーナ。メインステージでは巨大な“S”が妖しく光り、その文字は紗幕によって覆い隠されていく。すると幕には横1列に並ぶ6人のシルエットが浮かび上がり、流麗なピアノの音色をきっかけに「Imitation Rain」がスタート。ストリングスを基調とした特別なアレンジで生まれ変わったこの曲を、彼らは情熱的に歌い上げた。曲の終わりと同時にメインステージと客席を隔てていた幕が落ちると、「マスカラ」「NEW ERA」「NAVIGATOR」といったシングル曲も間髪いれずに披露され、会場の熱気は最高潮に達した。そして公演のラストを飾ったのは、バラードソング「Cassette Tape」。「あの日まで巻き戻して cassette tapes」──名残惜しむように歌う6人を“Sカレーター”は静かに運んでいった。
クリエイティブな才能、その先に
初回盤と通常盤が用意された今回のライブDVD / Blu-rayには、全30曲のパフォーマンスシーンが詰まった約2時間の本編と、内容の異なる特典映像を収録。初回盤ではSixTONESが本編を鑑賞しながら公演を振り返る「ビジュアルコメンタリー」、ツアーファイナルにあたる6月2日の宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ公演より本編未収録の「Gum Tape」「FASHION」「わたし」のライブ映像が楽しめる。一方、通常盤にはSixTONES史上最長期間のツアーとなった「Feel da CITY」の舞台裏を追ったドキュメンタリー映像が収められる。
デビューから2年8カ月が経ち、着実にオリジナル曲を増やしているSixTONES。ユニットソング「With The Flow」で京本はアコースティックギターを弾き、田中はリリックを手がけ、さらに京本は主演ミュージカル「流星の音色」でテーマ曲や劇中歌の制作にも挑戦した。今後もメンバーが作家としての才能を開花させることでSixTONESの音楽はより充実するだろう。ドーム会場や野外での公演、海外ライブの開催……夢多き彼らはこれからも貪欲にアーティスト人生を突き進んでいく。
プロフィール
SixTONES(ストーンズ)
ジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹からなる6人組ユニット。ジャニーズJr.時代の2018年3月より公式YouTubeチャンネル·ジャニーズJr.チャンネルで金曜日を担当し、10月に「YouTube アーティストプロモ」キャンペーンに選ばれた。同年11月には滝沢秀明プロデュースによる「JAPONICA STYLE」のミュージックビデオを公開し、話題を集める。2020年1月にSnow Manと同時に1stシングルをリリース。デビュー曲「Imitation Rain」はYOSHIKI(X JAPAN)が手がけた。4月に冠レギュラー番組「SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル」がニッポン放送でスタート。2021年1月には初のフルアルバム「1ST」をリリースした。2022年8月にはYouTubeで事前告知なしに新曲「PARTY PEOPLE」を公開。9月にはライブDVD / Blu-ray「Feel da CITY」を発表した。
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