ナタリー PowerPush - SiM
2ndアルバム「SEEDS OF HOPE」でポジティブに変化した意識
レゲエパンクバンドとしてその名がとどろき始めた湘南出身の4ピース、SiMだが、実はメタルやハードコアやスクリーモも取り込み、UKロックが持つ哀愁もにじませるという貪欲っぷり。さらにポップなメロディが力強く響き、激しさの中に親和性もあるという、フロアが盛り上がるのも納得のサウンドで注目を集めている。そんなSiMが2ndアルバム「SEEDS OF HOPE」をリリース。貪欲っぷりはそのままに統一感をも獲得した本作は、大きな地平を視野に置いたことがわかる作品となった。
取材・文 / 遠藤妙子 インタビュー撮影 / 高田梓
激しさと湿り気のある感じ、両方のバランスをみてる
──結成はいつ頃なんですか?
MAH(Vo) 2004年の11月です。メンバーチェンジがあって、このメンバーが揃ったのは2年ぐらい前で。
──結成当初から目指すサウンドは変わってないですか?
MAH 変わりましたね。最初は今よりもうちょいUKロックテイストで。今みたいになったのはこのメンバーになってからです。
──今でもUKロックテイスト、ありますよね。
MAH あ、ホントですか?
──パッと聴くとハードコアやラウドロック、スクリーモなどの激しさが印象的だけど、根底は湿ってますよね(笑)。
MAH 確かに湿ってます(笑)。
──湿った雰囲気をなくして変化させようという気持ちがあったわけじゃなくて、自然に変化していったんでしょうか?
MAH 両方ですね。僕とSHOW-HATEは湿り気のあるダークな感じ、RADIOHEADやMASSIVE ATTACKが好きで、そういうのが骨格にあると思うんで、やっぱり自然に音にも出てきちゃうと思うんです。ただ、特にライブをやってると感じるんですが、それって若いお客さんには結構伝わりづらい部分で。特に僕らがやっているインディのパンクシーンでは。そこで自分らの魅力をどうやったらうまく伝えられるかって考えて、ちょっとそっちの匂いは抑えつつ。バランスをとってサウンドを作るようになったんです。
──確かにライブはすごく肉体的だけど、アルバムでは、激しさの中から湿り気や哀愁もにじみ出てくるようで。
MAH ゴリゴリ系な音って結構出しやすいと思うんですよ。要は演奏力だったりしますから。でも湿り気とか雰囲気とかって演奏力だけでは表現できないものだと思ってて。だから、そういうのを感じてもらえるのはうれしいです。
音がパワフルになった分、メロディで中和させる
──結成当初はUKロックが持つ哀愁や湿り気の部分が今より強かったわけで、それから今のメンバーが揃ってハードな音になっていったってことですが、そういう音を目指すため、メンバーを集めたって面もありますか?
MAH もちろん、人柄や考え方が大事ですが、演奏を求めた面もありますね。
GODRi(Dr) 僕は元々パンクが好きだったんで、UKロックをホントに聴き出したのはバンドに入ってからですね。
MAH ドラムはそういう音が欲しくて。骨太でタイトで、でもスカやレゲエも叩けるドラム。
──GODRiさんのドラムはゴリゴリですもんね(笑)。
GODRi ゴリですからね(笑)。ありがとうございます。
SIN(B) 僕は逆に、高校の頃はメロディアスなものが好きで。J-POPも好きだったんです。
MAH そこが僕にはなかったとこで。僕はJ-POPは全然知らないんで。でもメンバーの3人は意外とJ-POPを聴いてて。J-POPってコード進行が面白いんですよね。実は僕、昔はメロディを作るとき、リズムや語感や歌い回しを重視してたんです。それが、J-POPをメンバーから教わってからコード進行で作る面白さを知って。音がパワフルになった分、メロディで中和させる、そういうバランスも考えるようになりました。
CD収録曲
- KiLLiNG ME
- SUCCUBUS
- I Hate U (It's Not A Play On Words)
- Misery
- FiXiT
- PUNK ROCK iZ COMING
- On and On
- I'm Alright
- Fall In Love With You
- Faster Than The Clock
- Living Dead
- DUBSOLUTiON #3
- A SONG OF HOPE
- Murderer (single ver.)
SiM(しむ)
GODRi(Dr)、SIN(B)、MAH(Vo)、SHOW-HATE(G)の4人からなる、神奈川出身のバンド。2004年11月に結成され、数度のメンバーチェンジを経て2009年に現編成となる。パンク、ハードコア、スクリーモをベースとする轟音サウンドにスカやレゲエのエッセンスを取り込んだ「レゲエパンク」サウンドで頭角を現す。ライブハウスシーンを中心に活動し、「京都大作戦'08」「PUNKSPRING '09」などの大型フェスにも出演。さらに311、ENTER SHIKARI、SUM41といった海外勢の来日ツアーへの参加経験も有する。2011年10月、2ndフルアルバム「SEEDS OF HOPE」を発表。