SILENT SIREN活動休止ライブ直前インタビュー|すぅが明かす、バンドへの深い愛情と活動再開への展望

SILENT SIRENが全国ツアー「SILENT SIREN 年末スペシャルLIVE TOUR 2021『FAMILIA』」のファイナルとなる12月30日の東京・東京体育館公演をもって活動を休止。11年間のバンド活動に一旦の区切りを付ける。

サイサイは9月に東京・日比谷公園大音楽堂で行われたバンド結成10周年記念ワンマンライブの前日に、同ライブをもってリーダーのひなんちゅ(Dr)が脱退することを発表。残った3人はこのライブを終えてから、これからもリスナーに笑顔を届けていく準備のため、前向きな決断として活動休止を選んだという。

休止前最後のライブを前に、音楽ナタリーではすぅ(Vo, G)へのインタビューを実施。活動休止を決めた経緯や、バンドへの思い、ツアーファイナルを直前に控えた今の気持ち、12月15日に発売されたオールタイムベストアルバム2作品「SILENT」「SIREN」に収録されている新曲と未発表曲のエピソード、そして2022年以降のサイサイについて話を聞いた。

取材・文 / 阿刀“DA”大志撮影 / 笹原清明

uP!!!ではツアーファイナル東京体育館公演を独占生配信!

SILENT SIREN 年末スペシャルLIVE TOUR 2021「FAMILIA」

配信日時
2021年12月30日(木) OPEN 18:00 / START 18:30

アーカイブ配信期間
2022年1月10日(月)12:00~1月23日(日)23:59

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誰が帰ってきても「おかえり!」って言える体勢でいたい

──ひなんちゅさんの脱退はコロナ禍になったことも理由の1つとして大きかったりするんですか?

こういう状況になってから考え方が変わっていったのは感じていました。だからどうだっていう話ではないんですけど、環境が変化するのに伴って人との向き合い方が変わっていった結果だったんだろうなと思います。自分の趣味の場に行って刺激を受けて違うことを始めたくなったとかいろんな理由があるんだろうけど、それをああいう報告文(参照:SILENT SIRENよりドラマーひなんちゅが脱退「新たな道を選択してみたい」)で示したのかなと思っています。

すぅ(Vo, G)

すぅ(Vo, G)

──サイサイの活動休止はいつぐらいから考えていたことなんですか?

うーん、明確なことは言えませんが自分の中ではいつそういう状況が来てもおかしくないなとは覚悟していました。それがとうとう訪れたのが今年だったっていう。「おばあちゃんになってもサイサイができたらいいね!」とずっと言ってきたし、今もそういうマインドでいるけど、バンドを続けさせてもらってること自体が本当に奇跡だし、全員が同じ思いで同じ方向を向けることも奇跡だと思うので。それはバンドを結成してからずっと変わらないですね。

──今回の活動休止は皆さんにとってどういう時間になるんでしょう?

自分自身ともう一度向き合う時間にしようと思っています。音楽以外でやってみたいこともあるし、今までできなかったことにも挑戦したいです。もちろん音楽はずっと作り続けるつもりです。サイサイに関してはいつ再始動するかファンの皆さんには明言していないんですけど、「実質、解散じゃん」って言われるのはすごく悲しいし、私にはこの場所がなくなることは考えられなくて。サイサイは何度かメンバーの変動があったけど、そのたびに「このメンバーじゃないと意味ない! 無理!」って言って暴れてました(笑)。それくらいメンバーを大切に思っていたんですが、「きらら」(9月25日に日比谷野外大音楽堂で開催され、ひなんちゅのラストライブとなった「SILENT SIREN きららリベンジ~サイサイ10歳祭~」)をやり終えたことで新しい気持ちが芽生えて、「どんな形になってもこのバンドだけは残しておきたいな」と思うようになったんです。実家を壊したくない、みたいな。メンバーにも「サイサイっていうお家は残したい」、「このバンドをいずれまた動かしたい」という意思を伝えました。活動休止中も一緒にクリエイティブなことをしようと思っているし、応援してくれているファンに対して一旦活動休止になってしまい申し訳ないという気持ちを除けば、自分的にはポジティブな気持ちです。

──家だけ残して結局誰も住まないということはないですよね?

そうですね。誰が帰ってきても「おかえり!」って言える体勢でいたいと思ってます。いつライブができるかはわからないですけど、解散っていう言葉は使いたくなかったんですよね。

──すぅさんが先ほど言っていたように、「実質、解散でしょ?」と思っている人は多いだろうし、実際ほかのバンドを見ていると活動休止と言いつつ事実上解散というケースもありますけど、サイサイはそうではない、という認識で問題ないですか?

大丈夫だと私は思ってます。今までのサイサイは変化し続けてきましたが、ひなが抜けた時点でこれまでのサイサイではなくなっているし今までとは違う形になるっていうのは確実ですね。だからこそより幅が広がるし、「なんでもできるじゃん」と思ってます。

──すぅさんはバンドというものに対する思い入れが強い人だと思っていて。

1人でやるよりチームでやるものが好きですね。グループの中で順位を競って出世を狙うグループがあるじゃないですか。私はそういうのも好きですし、それはそれでいいんですけど、自分がやるものとしては1人ひとりが役割を担って1つのものを完成させるのが昔から大好きだったし、それをより実現できたのがバンドというものだったんですよね。メンバーのことも尊敬しているし、「自分の居場所はここで合ってるのかな?」と思ったこともあったけど、「うちのボーカル&ギターはすぅだけだ!」って彼女たちが言ってくれたことがすごく誇りでした。そうやって自分の居場所をくれたのがSILENT SIRENだったので、バンドは大事にしたい場所です。

すぅ(Vo, G)

すぅ(Vo, G)

すぅ(Vo, G)

すぅ(Vo, G)

「活動再開するときには絶対にやりたい」と決めてる曲があって

──サイサイにはシングル曲以外にもいい曲がたくさんあるのに、それがファン以外にあまり知られていないことが個人的には不満で。

それは「SILENT」と「SIREN」の特設サイトに掲載されてる全曲解説を読んで私も改めて思いました。解説を読みながらベスト盤を聴いて、「やっぱ、いい曲だよなあ」って(笑)。でも、どのバンドも自分たちの曲に対してはそう思いますよね。

──メンバー自身が自分たちの曲をいいと思うのは当然ですけど、いちリスナーとして聴いていても本当にいい曲が多いと思いますよ。

それはうれしい。うふふ。

すぅ(Vo, G)

すぅ(Vo, G)

──2枚合計して64曲も入っていても、「なんであの曲が入ってないんだ?」って思いますから。

入れたい曲がありすぎて、選ぶのがけっこう大変だったんですよ。

──2作品を聴いているとわかるんですけど、すぅさんのボーカルの時代ごとの変化も面白いですよね。

それは感じます。ベストはそういうところが面白いですよね。

──あと、「FAMILIA」と「恋爛漫」のような曲がそれぞれ新曲と未発表曲として収められているのがいいなと思いました。

今回ベスト盤を出すにあたって、新曲1曲のほかに、すごい数のデモの中から1曲選びたいと思って「恋爛漫」を提案したら、みんな「入れたい!」って言ってくれたので入れることになりました。「恋爛漫」は以前からあった曲で、当時から私たちはこの曲が大好きだったんですよ。別れと始まりの歌だし、12月というリリースタイミングもいいかなと思って当時録った音源をそのまま引っ張ってきました。

すぅ(Vo, G)

すぅ(Vo, G)

──サイサイは曲のストックが100曲ぐらいあるんですよね?

ありますねえ! 増える一方でした。でも、「これを作った当時なら歌えるけど、今の自分には合わないかも」っていうものもありますけどね。

──その膨大なストックの中に、今もいい曲がたくさん眠ってるわけですよね。

ありますよ! いつか日の目を見る機会があったらいいなと思います。もう私、「活動再開するときにはこの曲を絶対にやりたい」って決めてるのがあって。なのでそのときが来たらいいなと思っています。