音楽ナタリー Power Push - SILENT SIREN
負けず嫌いをバネにして進む“国民的ガールズバンド”への道
東名阪ツアー「2016 年末スペシャルライブ Dream on!」のファイナルとなった2016年12月30日の東京・東京体育館公演で、SILENT SIRENは集まったファンに向けてEMI Recordsへの移籍を発表。インディーズ時代からの最大の目標だった神奈川・横浜アリーナでのワンマンライブを昨年夏に成功させた彼女たちは、「てっぺんを目指す」という次なる目標に向けて踏み出すべく、新たなレコード会社から再出発することを表明した。
そんな彼女たちが新レーベル第1弾作品としてリリースするシングル「フジヤマディスコ」は、これまでのサイサイのポップなイメージを覆すダンスロックだった。キャリアの大きな転換点を迎えて意欲作を完成させたSILENT SIRENの4人に、今の思いを聞いた。
取材・文 / 橋本尚平 撮影 / moco.(kilioffice)
今までだったらこれを表題曲にする勇気がなかった
──今作のタイミングでレーベルを移籍し、バンド名の表記を「Silent Siren」から「SILENT SIREN」に変えましたね。
すぅ(Vo, G) 移籍を決めたのは、これから私たちが音楽的にもっともっと成長するために、新しい環境に行って新しいチームと一緒に進んでいったほうがいいんじゃないか、そのほうが世界に向けて音楽を発信できるんじゃないかって思ったからです。バンド名表記は「ひと皮剥けて成長した」という意味を込めて大文字にしました。あと海外の人ってけっこうバンド名を大文字で表記することが多くて、よく楽屋とかの張り紙に大文字で名前を書かれるんです。だからこの機会にバンド名も、日本だけじゃなくて世界での活動も視野に入れたものにしようと思って。
あいにゃん(B) 前のアルバム(2016年3月発売「S」)を出してから1年リリースがなかったし、ファンのみんなに「どうしたの?」って心配かけてたから、この話が決まってから、発表までずっともどかしかったんです。だからライブでみんなに直接伝えられてよかったなと思います(参照:SILENT SIRENがEMIに移籍「ファンと一緒にてっぺんを目指す」)。
──レーベル移籍第1弾という、バンドにとっては再出発の意味が込められた今回のシングルが、今までのサイサイとはだいぶ雰囲気が違う「フジヤマディスコ」だったことに驚きました。変化球というか。
ゆかるん(Key) 変化球ですね(笑)。最初に聴かせてもらったときはやっぱり衝撃でした。
すぅ もちろん、制作をしていく中で“今までのサイサイっぽい曲”もいっぱいできたんですけど、移籍というタイミングで「今までのSILENT SIRENにはできなかった、やらなかったもの」を表題曲にして、みんなに新鮮な驚きを届けようと思ったんです。それで、もともと推し曲として作ってなかったこの曲でシングルを作ることにして。今までだったらこれを表題曲にする勇気がなかったというか、みんなに受け入れてもらえるような“ポップでキャッチーな疾走感のあるロック”をどうしても選びがちだったので、今回はそうじゃないことをしようって。
ひなんちゅ(Dr) 別に私たちの好きな音楽が変わったとか、バンドの方向性が変わったわけではないんです。私たちはもともといろんなものが好きで、今まで出してなかった一面がたまたま今回出たっていう感じ。みんなに見せてない面はたぶんまだまだあると思うし。
あいにゃん 例えばベースだったら、イントロや間奏だけじゃなくて歌の部分でもひたすらスラップをしてるとか、演奏面でもメンバーそれぞれ今までにない挑戦をしてる部分があって。そういう曲をシングルの表題曲にするのは、私たちの新しい一面を感じてもらうのにすごくいいことだと思うんです。あと、このシングルは4曲入りっていうのがいいところだと思ってて。挑戦してる曲だけじゃなくてサイサイらしさのある曲も入ってるから、バランスが取れた1枚になってる。
ひなんちゅ そう、普段だったら「Days.」とかが表題曲になりそうな感じですよね。
──先ほど「世界での活動も視野に」という話をしていましたが、「フジヤマディスコ」という曲名にも、日本らしさを海外にアピールしようという意図があるんでしょうか?
すぅ そういう意味もあります。ワールドツアーで演奏する曲として、富士山とか着物みたいな日本をイメージするワードを入れたものを作りたいなとは思ってたので。でもそれ以上に、富士山は日本で一番大きな山なので「まず、そのてっぺんを取ってからが私たちのスタートだな」という意味を込めていて。日本一になって頂上からいい景色を見たときに、世界にもさらに広く発信できるようになるんじゃないかと思うんです。
──東京体育館でこの曲を初披露したとき、ファンの反応はどうでしたか?
すぅ 曲名が発表されたとき、会場はちょっとざわついたんですよ。でも曲が始まったらイントロからみんなビートに乗ってて。初めて聴く曲だから棒立ちで観てるだろうなと思ったんですけど、すぐにみんな飛び跳ねてくれて、2番の終わりにはもう一緒に歌えるようになって。それぞれけっこう難しいことをしてるのに準備期間があんまりないから、前日からめっちゃ緊張してたんですけど、お客さんが受け入れてくれたことにすごく安心しました。
なりたいのは、いなくなったらみんなが困るような存在
──今「てっぺんを取る」という話をしていましたが、サイサイが今目指している“てっぺん”というのは具体的になんなんでしょうか?
すぅ その時々の自分たちなりの目標が“てっぺん”だと思うんです。横浜アリーナワンマンを目指してたときはそれが“てっぺん”だったし。今は「ガールズバンドといったらSILENT SIRENだ」って日本中の人たちに言われることが目標ですね。例えば「どんなバンドが好きなの?」「SILENT SIREN」っていう会話が当たり前になって、みんながテレビを観ながらお茶の間で「このCMもサイサイがやってるよね」みたいな話をするような存在になりたいです。
ひなんちゅ 私たちは昔からやたら大きいことを言うバンドだったし(笑)、そういうところは今も変わってなくて。もともと自分たちにすごく自信があったけど、横浜アリーナのワンマンも成功させて、その自信が現実になっていってるのを感じるんです。「無敵だな」って。自分たちの中で思い描いてるビジョンは曖昧なんですけど、ものすごくビッグだってことは確実に言えます。富士山を超えてヒマラヤくらい大きい。ヒマラヤが一番高い山でしたよね?
──ヒマラヤ山脈にあるエベレストが世界最高峰ですね。またの名をチョモランマ。
ゆかるん 次のシングルのタイトル、「チョモランマ」いいね!(笑)
ひなんちゅ じゃあ5年後にリリースする10周年シングルは「チョモランマ」にしよう。あ、オリンピックの年でもいいよ。
あいにゃん 「チョモランマピック」とか(笑)。
すぅ また曲名発表したときにざわつくよー(笑)。
ひなんちゅ 私たちは、何かちょっとしたことがあるだけでニュースになるような、日本中に解散を惜しまれるような、いなくなったらみんなが困るような存在になりたい。「国民的なガールズバンド」っていうのはそういうことだと思うから。
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- ニューシングル「フジヤマディスコ」 2017年3月1日発売 / EMI RECORDS
- 初回限定盤A [CD+DVD] 1944円 / UPCH-89317
- 初回限定盤B [CD+DVD] 1944円 / UPCH-89320
- 通常盤 [CD] 1300円 / UPCH-80458
CD収録曲(全仕様共通)
- フジヤマディスコ
- Love Balloon
- Pandora
- Days.
初回限定盤A DVD収録内容
- 「Silent Siren 2016年末スペシャルライブ Dream on!」12/30東京体育館ライブ映像から5曲収録+ライブドキュメント映像
初回限定盤B DVD収録内容
- 「フジヤマディスコ」MV&メイキング映像
- セレクションアルバム「Silent Siren Selection」 2017年3月1日発売 / ドリーミュージック
- 初回限定盤 [CD2枚組+DVD] 5184円 / MUCD-8094~6
- 通常盤 [CD2枚組] 3381円 / MUCD-1373~4
DISC 1
- Sweet Pop!
- stella☆
- →
- Remember
- want CHU♡
- Soda
- ビーサン
- I×U
- LOVE FIGHTER!
- 「Are you Ready?」
- Delay
- ぐるぐるワンダーランド
- ラッキーガール
- 恋花
- LOST.W
DISC 2
- BANG!BANG!BANG!
- What show is it?
- 恋い雪
- 爽快ロック
- チャイナキッス
- KAKUMEI
- DanceMusiQ
- 女子校戦争
- 曖昧 me mine
- ハピマリ
- 八月の夜
- alarm
- キミスキスマイル
- チェリボム
- 吉田さん
- ワカモノコトバ
初回限定盤DVD収録内容
- Sweet Pop!
- Crazy Lady
- stella☆
- フィルター
- →
- ユメオイ
- ビーサン
- Starmine
- Limited
- I×U
- ぐるぐるワンダーランド
- ラッキーガール
- BANG!BANG!BANG!
- 恋い雪
- KAKUMEI
- Routine
- 手をつないで
- 女子校戦争
- ハピマリ
- 八月の夜
- alarm
- チェリボム
- 吉田さん
SILENT SIREN(サイレントサイレン)
2010年夏にファッション誌で活躍中の読者モデルたちで結成された、「すぅ」こと吉田菫(Vo, G)、「ひなんちゅ」こと梅村妃奈子(Dr)、「あいにゃん」こと山内あいな(B)、「ゆかるん」こと黒坂優香子(Key)からなるガールズバンド。2012年2月8日にデビューアルバム「サイサイ」をリリースし、3月には「東京ガールズコレクション」のオープニングアクトに抜擢され注目を集める。同年11月にドリーミュージックからメジャーデビューシングル「Sweet Pop!」をリリース。2015年1月にガールズバンドとしてはデビュー後最短で東京・日本武道館でのワンマンライブを開催し、チケットをソールドアウトさせる。2016年3月には4thアルバム「S」を発表し、そのリリースツアーの最終公演として7月に神奈川・横浜アリーナでのワンマンライブを成功させた。同年の年末にユニバーサルミュージック内のEMI Recordsに移籍することを発表し、2017年3月に移籍第1弾シングル「フジヤマディスコ」をリリースする。