ファンと目線が近いことが強み
──「慈雨のくちづけ」は中国の動画プラットフォームbilibiliで、総再生数3億回を超えた世界的人気のアニメ作品のオープニング主題歌ということもあって、日本だけでなく海外の方も注目していますね。楽曲が公開される前から、シドの名前が出ただけで期待を寄せているアニメファンも非常に多くて。あと、先日マオさんがリツイートされていましたけど、「BLEACH」の歴代主題歌のアンケートで、シドの「乱舞のメロディ」が1位に選ばれました。ロックファンはもちろんですけど、アニメファンの心にもシドの楽曲が刺さるのは、何が要因だと思いますか?
マオ 俺らは「作品を問わず、とにかくアニメの主題歌を担当しよう」と思ってやっているわけではなくて、この作品にシドがハマるかどうかという向き合い方でオファーを受けるんですよ。今回も「『天官賜福』にはシドの音楽がいい」と思ってレコード会社の方や制作会社の方が声をかけてくださった。自分たちだけじゃなくて周囲の「俺たちはこのアニメに懸けているんだ」という熱い気持ちが楽曲、歌詞、演奏すべてに作用してアニメファンの方たちの心に揺れるというか、心に刺さるものができたと思うんですよね。
──ネームバリューに関係なく、なぜこのアーティストが歌うのかが大事だと。
マオ そう。ちなみにシドのファンだったら「衣装」「アー写」「楽曲の内容」とか、好きになってもらえる要素がいろいろとある。だけど、アニメファンの方は判断材料が主題歌だけなんですよね。自力を試される感じが素敵だなと思ってます。そのうえでしっかりと心に刺さる曲が作れているとしたら、俺たちがしっかり下積みをしてきたことも影響しているかもしれないですね。必死にやってきたことが報われているのかなって。
明希 あとは、作品を愛しているファンの皆さんの熱量と僕らの熱量が近いのも大きくて。例えば「BLEACH」は個人的にも愛読していた作品だったし、「黒執事」もお話をいただいてからみんなで「本当に面白い作品だよね」と語り合ったり。いまだに関わった作品の原作マンガを読むし、アニメも観るし、ファンの方の目線と僕らが近いからこそ、共感していただけるのかなと思ってます。
──声優さんにインタビューをすると、皆さんがよく口にするのは「作品だけでなく、自分の演じるキャラクターを心底愛していないと演じられないし、その気持ちは観る人にもバレる」ということで。それは楽曲を担当するアーティストも同じなんですね。
明希 本当にそうですね。「黒執事」で「ENAMEL」を作ったときにしても、曲が使われるBook of Circus編が僕自身も好きなお話だったので、感情移入しやすかったんですよ。「BLEACH」も破面編のときだったので、めちゃめちゃ好きなシーンがあったりして。個人的にも大好きな作品に関われて、皆さんからいい反応をいただけるのはうれしいですね。
ゆうや 僕たちが担当させてもらっているアニメというのが、ちょっとクールだったりシリアスだったり戦闘モノだったりとか、そういうテイストの作品が大半を占めてる気がしていて。それが僕らのやっているシドとしての印象と、そもそもマッチするのかなって。
──シドのファンにはロック好きがいることはもちろんですけど、アニメ好きもたくさんいて。そしてアニメの主題歌から音楽を好きになる子供も大勢いるわけだから、音楽を好きになる入り口がシドになることも多いでしょうね。
Shinji その言葉は本当にうれしいです。普段からシドって、アニメのテーマソングも一般層に刺さるようなアレンジをみんな意識していて。世間にはすごくアニソン寄りの曲もあるけど、そうじゃないところにうまくアプローチできているのかなと思いました。
マオ シドのファンの子って、基本的にはライブ好きが集まってくれているのが特徴だと思うんです。アニメとかいろんな場所からシドに興味を持ってくれた方もいるんですけど、理想はシドのファンになり、ライブを好きになってくれることなんですよね。
シドにとって一番の武器、一番の見せ場はライブ
──ライブの話が出たので、9月3日から始まる全国ツアーのお話も聞いていきたいと思います。ひさしぶりのツアーですけど、今のお気持ちはいかがですか。
Shinji 初日のZepp Hanedaは初めてライブをする場所ですし、Zepp Tokyoは来年にはなくなっちゃうんですよね。そう考えると感慨深いです。どういう環境でできるのかまだわからないですけど、「Star Forest」からみんなの前で演奏したい気持ちもすごいあるし、ひたすら楽しみですね。
明希 どんな状況であれ、僕らのライブに対する気持ちは変わらない。結成20周年に向けてちゃんと可能性を感じてもらえるツアーになればいいなと思います。
ゆうや 僕自身の話なんですけど、新幹線と飛行機に乗るのが本当にひさしぶりなんですよ。多分、前回のアルバムツアー(「SID TOUR 2019 -承認欲求-」)以来なので、会場へ向かう道中から楽しみなんです。昔はみんなで1台の車に乗って各地を回るツアーから始まって、お客さんがつくようになってからは新幹線になったり飛行機になったり移動手段がグレードアップして「やっと、僕たちも車移動じゃなくなった」と思ってたんですよね。今回は当時の心境に戻れる気がするんです。それと「SID LIVE 2021 -Star Forest-」には来たくても足を運べなかった子たちもたくさんいて。その子たちに「僕たちが会いにいくから、待っててね」と強く伝えたいです。
マオ そうだね。やっぱりライブがシドにとって一番の武器だし、一番の見せ場。今回はツアーでファンのみんなとひさしぶりにシドをしっかりやれる。ライブのために俺たちは配信ライブとか、シングルリリースとかいろんなことやって気持ちをつないできていたんですけど、やっとつながれる機会が生まれた。その喜びを味わえるツアーにしたいです。
ツアー情報
- SID TOUR 2021
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- 2021年9月3日(金)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
- 2021年9月12日(日)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
- 2021年9月17日(金)愛知県 Zepp Nagoya
- 2021年9月18日(土)愛知県 Zepp Nagoya
- 2021年9月22日(水)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2021年9月23日(木・祝)大阪府Zepp Osaka Bayside
- 2021年10月3日(日)北海道 Zepp Sapporo
- 2021年10月9日(土)宮城県 SENDAI GIGS
- 2021年10月15日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
- 2021年10月16日(土)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
- 2021年10月31日(日)福岡県 Zepp Fukuoka