ナタリー PowerPush - トクマルシューゴ×SHURE
10周年に名曲再録!
トクマルシューゴがさまざまな楽器を自ら演奏し、1つの楽曲を多重録音していく工程を収めた映像がShureのYouTube公式チャンネルで公開された。
この映像は、マイクやヘッドフォンをリリースするアメリカのブランド・Shureが自社製品の魅力を広めるべく制作している動画シリーズの最新作。今回は“すべてのトラックをShureのマイクで多重録音して曲を作る”という内容で、映像では今年ソロ活動10周年を迎えたトクマルが自身の代表曲のひとつである「Green Rain」をShureのマイクのみでレコーディングしていく様子を観ることができる。
今回ナタリーでは、レコーディングを終えたトクマルにShureのマイクや自身の10周年などについて聞いた。
取材・文 / 加藤一陽 撮影 / 伊藤大輔
Shugo Tokumaru - Green Rain (Shure ver.)
1曲丸ごと1つのブランドのマイクで録音するなんて初めて
──まずは1日レコーディングおつかれさまでした。ドラムこそドラマーの方が叩いていましたが、トクマルさんは今日だけで丸々1曲分の楽器やボーカルを1人で多重録音していました。
すべてのパートを1つのブランドのマイクでレコーディングするなんて初めてなので、楽しかったですね。普段こんな機会ありませんから。
──トクマルさんは普段から自宅で多重録音をして曲を作っていますけど、いつも今日のように自分でいろいろな楽器を重ねて曲を作っていくのですか?
そうです。いつもは撮影の準備やインタビューがないぶんもっと早くできますけど(笑)。家ではすぐにレコーディングできるようにマイクをすでにセッティングしてありますし。
──トクマルさんの楽曲って生楽器が緻密に、かつダイナミックに重ねられている印象があります。その点からもやっぱりマイクは重要だと思うんですけど。
大事ですね。ラインで録ったパートも、1回スピーカーから出力してマイクで録音するくらいですから。
──リアンプしているんですね。響きへのこだわりがすごいなとは思っていましたが、それほど徹底していたんですね。
基本的にラインで録ったトラックは使わなくて、すべてのパートでマイクを使っているんです。
──では、けっこうマイクを持っているんですか?
コレクションってほどではないですけど、いろいろ持っています。Shureのものもいくつか持っていて、SM57、SM58、BETA 57Aとかスタンダードとされているものはもちろんあるし、スネア用のマイクはBETA 181です。あとはライブのときのボーカル用にコンデンサーマイクのSM87(※現行モデルはSM87A)を使っています。
1つのブランドだけでも成り立つもんだ
──ライブのボーカル用にSM87をチョイスしている理由は?
コンデンサーマイクなので繊細な部分も多いんですが、低域がしっかりと出るんですよね。なんて言うか、いい意味でぼあっとするんです。最近のマイクって低域がスッキリしちゃっていて、ぼあっとしないんですよ。しかも僕の声質にも合っているので、自分の思う通りに歌えるような気がする。あとはライブ感があって、CDみたいにキレイすぎる出音にならないのも気に入っています。
──そうなんですね。
あと、ライブのときってあまりモニターを作る時間がない場合があるんですけど、そういうときでもSM87はSM58のサウンドに近いからモニターを作りやすい。SM58のサウンドは体に染みついていますからね。
──すごい細かい話ですね(笑)。
ライブ用のボーカルマイクが好きでいろいろ試しているんですよ。すごく評判がいいマイクでも僕の環境ではあわないものもあるし。だから探すのが楽しいんですよね。
──では今回Shureのマイクみで1曲録音してみての感想は?
1つのブランドのマイクだけって、聴いたときにもっと違和感があったりするのかなと思ったんですけど、全然ないですね。全部が素直に録れていると思ったし、まとまっている感じがしました。“成り立つもんだな”って感心しました。
──気に入ったモデルはありましたか?
ボーカルとかウクレレ、ギター、ドラムのトップLRの録音で使ったKMS44Aは特にナチュラルだと思いました。後はタムに使ったBETA 98AMP/Cもよかったし、普段からスネアに使っているBETA 181もキレイに録れていると思いました。今回初めて使ったモデルに関しても、SM57とかSM58とかに近い特性がありつつ、さらにバージョンを上げた音って感じで。だから違和感がなかったです。
SHUREとは?
Shureは1925年にアメリカ・イリノイ州に設立されたマイクロフォンおよびオーディオ機器の世界のリーディングカンパニーです。
長年にわたってShureは、性能、信頼、価値に対する伝説を生み出す多くの高品質のプロフェッショナルおよび一般消費者向けのオーディオ製品を製造してきました。Shureの多様な製品ラインには、パフォーマー向けワールドクラスのワイヤードマイクロフォンおよびワイヤレスマイクロフォンシステム、インイヤーパーソナルモニターシステム、カンファレンス・会議システム、ネットワークオーディオシステム、数々の賞を受賞したイヤフォンやヘッドフォン、最高品位のフォノカートリッジがあります。
他の追随を許さない卓越した音響性能を備えた製品群は、ライブやレコーディングなど、プロフェッショナルの現場で絶大な支持を得ています。特にマイクロホン製品は、アメリカ歴代大統領の演説から伝説のライブイベントにいたるまで、歴史に刻まれた数々のシーンで愛用されてきました。Shureの製品には、プロオーディオの世界で80年以上にわたって培われたテクノロジーが、惜しみなく投入されています。
セット内容
- 1st album「Night Piece」
- 2nd album「L.S.T.」
- 3rd album「EXIT」
- 4th album「Port Entropy」
- 5th album「In Focus?」
- TONOFONオリジナル レコードバッグ付き
トクマルシューゴ「10周年記念プレミア公演“Night Piece 完全再現+α ワンマンライブ”」
- 2014年5月23日(金)東京都 東京グローブ座
- 2014年6月6日(金)愛知県 千種文化小劇場
- 2014年6月7日(土)大阪府 大阪世界館
トクマルシューゴ
レコーディングからミックスまで、すべてをひとりでこなすマルチアーティスト。2004年に1stアルバム「Night Piece」をアメリカのレーベルから発表する。その類い希な音楽センスが評判を呼び、日本やアメリカだけにとどまらず欧州にも拡大。100種類以上の楽器/非楽器から作り出されるポップで寓話的なサウンドは、世界中の音楽ファンを魅了している。また、多様な楽器を用いた楽曲を再現するライブの形態は、ソロ/トリオ/バンドとさまざま。2013年までに5作のアルバムをリリースし、ソロ活動10周年を迎えた2014年には5作のアルバムをすべてアナログでリリース。5、6月には10周年記念として、「Night Piece」の完全再現ライブを東名阪で実施する。