ナタリー PowerPush - SHUN
僕がヒップホップの入り口に
メジャーデビューは目標だった
──では、新作「DA NOVΛ」のコンセプトを教えてください。
今回メジャーというフィールドで僕を初めて知る方も多いと思うので、改めて自己紹介というか、SHUNというアーティストを知ってもらえるようなアルバムにしたいなと思って作りました。初回限定盤に入ってる「LOOKΛME」のミュージックビデオでダンスを披露したり、ブックレットではファッションにもこだわってたり、SHUNのいろんな部分を知ってもらえるんじゃないかなと思いますね。
──リリックも曲調もかなり攻撃的だなという印象を受けました。
そうですよね。やっぱりメジャーデビューは目標だったんで、新しいフィールドで戦っていくぞっていうやる気が音にも表れてるんですかね。今回は勢いを出したいなと思ってました。
──お、気になる言葉があったんですが、どうしてメジャー進出が目指すものだったんですか? インディーズのほうが自由に好きな表現ができたり、フットワーク軽くやっていけるという利点もあるんじゃないでしょうか。
ラッパーの数がメジャーシーンであまり多くないからこそメジャーに行きたいっていうか。ラップのカッコよさをもっと多くの人に知ってもらいたいっていう気持ちが強いので、より大きなフィールドで活動していきたいというのはずっと目標でした。
──21歳なのに、自分のジャンルに対する責任感みたいなものすらあって、しっかりされてますね。
いやいや(笑)。僕は音楽の中でも一番ヒップホップがカッコいいと思うだけです。ヒップホップってなかなか言えないことも面白おかしく言えたり、ほかのジャンルにはない面白いところがたくさんある音楽だと思うので、絶対もっと多くの人に好きになってもらえるんじゃないかなとずっと思ってて。だからそれを信じて、実行したい。ヒップホップの魅力を僕がちょっとでも伝えていけたらなって。
──今作も、ライトリスナーを含めいろんな人に聴かれることを意識して作りました?
はい。だからラップオンリーじゃなくて、基本的にサビはメロディにしました。今までライブをしてきた中で、メロウなやつが好き、歌っぽいものが好きっていう人も多かったんで、聴きやすさとか入りやすさを重視して。そういう意見も取り入れた上でちゃんと自分なりの思いをラップしてます。そうやって徐々に慣れてもらうというか、もっと曲を聴いてもらえる機会が増えたらいいですね。
僕から入っていろんなヒップホップを知ってもらいたい
──この6曲のリリック制作はいかがでした?
ただただ自分が書きたいことを書くんじゃなくて、ラップの言葉の面白さとかも考えて書きましたね。
──ここはよくできたという会心のラインがあったら教えてください。
「LOOKΛME」で「きゃりーも手に負えないぐらいのMonster」っていう部分があって、ああいうのはヒップホップならではの表現かなと思います。それをメジャーのシーンでやりたいってすごく思ってたので、できてよかったです。
──それから、エレクトリックなサウンドを採用した理由っていうのは何かあるんですか?
今、日本でも海外でもすごく流行ってますよね。そういうフレッシュなものを取り入れつつ、自分のフィルターを通して作っていくってことをしたいんです。自分がいいと思ったものはなんでも全部やってみて自分なりに変換していく。ダンスもファッションも、得意なことは全部自分の武器にしていく。なんでもアリっていうところもやっぱりヒップホップのいい部分だと思うので。
──なるほど。でも例えば「これヒップホップじゃねえじゃん」なんて意見が出たらどうします?
自分自身はすごくヒップホップだと思ってるので、そう言われてもなんとも思わないですね。曲だけ聴いたらそう言われるかもしれないですけど、自分の中心というか原点はヒップホップだと思ってるんで。
──つまりSHUNさんの中では、ヒップホップという根っこさえしっかりしてれば、あとはどこまで枝を伸ばしていけるかの勝負なんですかね。“ヒップホップ”と呼ばれる表現の範囲を拡大させていくような。
ヒップホップがなかなか広がらない理由って、ヒップホップイコール怖いっていうイメージだったり、アンダーグラウンドでやってることがよくわからないって思われてるのも1つあるのかなと思ってて。その入り口を増やせたらいいのに、というのが僕がヒップホップに対して思うことなんです。だからファッションの面でも、スーツ着てラップするとか、みんなが持ってる印象を変えていけたらなと思ってますね。僕から入っていろんなヒップホップを知ってもらいたいです。
やっぱり有名になりたい
──SHUNさんのように、活動初期からラップも歌もトラックメイキングもダンスもでき、その上ファッション方面でも活躍してるというのはまさに新世代型ですよね。日本語でどうやってラップするかに挑戦したり、ヒップホップを日本に根付かせようと四苦八苦した先人たちの時代とは明らかに違うスタイルだと思います。
そうかもしれないです。それも自分が好きなことは全部やりたいっていう意味なんですけど、今までの誰でもない立ち位置を確立したいという気持ちはすごいありますね。
──じゃあラップのみを極めるつもりもない?
そうですね。ダンスがあることでパフォーマンスの幅も広がりますし。
──SHUNさん自身は世代感を意識することってありますか?
先輩方がちゃんとこうやって土台を作ってくれたおかげで、今好きなことができてると思うので感謝してます。だけど、スポーツ選手も同世代がどんどん活躍しているように、ヒップホップでも若い世代がもっとがんばっていかないとって思ってるし、僕らが活躍できるんだという部分は見せたいですね。
──お話していて、あらゆることに自覚的で、向上心とエネルギーにあふれた方だなと思いました。「有名にならなくてもいいや」「自分のやりたいようにやってやる」とは思わない?
やっぱり有名になりたい。僕はわかりやすくガッツリ姿勢を見せていきたいなって思ってます。それに憧れてラッパーになりたいっていう人が出てくるようになりたい。自分もそうやって憧れて夢をもらったんで。次は僕が夢を与える存在になれるっていうか、ならなきゃいけないと思います。
- ミニアルバム「DA NOVΛ」 / 2013年7月10日発売 / SME Records
- 「DA NOVΛ」初回限定盤 [CD+DVD] 2500円 SECL-1328~29
- 「DA NOVΛ」通常盤 [CD] 2100円 SECL-1330
CD収録曲
- LOOKΛME
- Tokyo Chaser
- Teach Me Love
- Day'n Night,U
- BEST MAN
- Change My Life
初回限定盤DVD収録内容
- 「LOOKΛME」Music Video
SHUN(しゅん)
1992年生まれ、大阪出身のラッパー。インディーズデビュー前から清水翔太の客演を務めながら、2011年3月にアルバム「AFTER SCHOOL」をリリースし、オリコンインディーズ週間ランキングで2位を記録する。2012年には「SPRINGROOVE」「SUMMER SONIC」に出演を果たし、秋には初のツアー「TEEN SOLDIER TOUR 2012」を東京と大阪にて開催した。また、加藤ミリヤの楽曲「今夜はブギー・バック feat. 清水翔太&SHUN」に参加し話題を集める。2013年7月、ミニアルバム「DA NOVΛ」でSMEレコーズよりメジャーデビュー。