音楽ナタリー Power Push - Shout it Out細川千弘・山内彰馬 SUPER BEAVER柳沢亮太

2人で進む決意、少年から青年への変化

少年から青年への変化

──今作「青年の主張」は「大人になれない」という楽曲で始まります。これまでShout it Outの楽曲からは大人に対する反骨精神を感じることが多かったのですが、この曲では「大人にはなれないし 子供のままじゃいられないし」というように、自身が“大人になること”について言及しています。

山内彰馬(Vo, G)

山内 大人に対する不満を歌っていた10代の頃も今も、悶々とし続けてはいるけど、その種類が変わってきてるなと感じます。今までは不満のはけ口を大人に押し付けていたというか、“大人”っていう存在に不満や不安をぶつけることで、自分の中で解決してたところがあって。自分が20歳になって、自分の不満と向き合ったときに「これではいけない」と思ったのか、矛先がなくなった感じがあった。それでモヤモヤを自分の中で解決するしかなくなった状態で生み出したのが「大人になれない」をはじめとする新曲たちです。

細川 僕はちょうど1年前の「Teenage」っていうミニアルバムからShout it Outとしてレコーディングに参加したんですけど、そのときの彰馬は大人に対しての反骨精神を原動力にバンドをやっていたんですよね。それが変わって来たのがメジャーデビュー曲の「青春のすべて」。好きになれなかった大人に対して「それすら青春だと思える気がして 少しだけ許せたんだ」と歌詞につづっていた。さらに今作のタイトルトラック「青年の主張」では、大人に対して「嫌いだったわけじゃないんだ ただ矛先が欲しかった」と歌ってる。彰馬って意識して歌詞につづる思いを変化させているわけじゃないから、俺とかスタッフさんに言われて、初めて自分の心境の変化に気付くことが多いんです。だから今回も彰馬がありのままの気持ちを出したことに意味があると思ってて。今までとは違う、青年になった彰馬の歌詞が見れてよかった。

柳沢 千弘は完全に彰馬のおかんですね(笑)。いい相棒だなと思います。彰馬の言う「悶々とする気持ちの種類が変わった」のは、2人になっても音を鳴らし続けることに対して、責任をとる覚悟が芽生えたからっていうのもあると思う。僕はしっかりとした大人の定義っていうのは、責任を取れるか取れないかだと思ってて。責任を取れないくせに何かを言う人は、我々が言う“嫌いな大人”だと思うし、言ったからにはちゃんとやってくれる人、言わずともやる人、隣の人のケツぐらい拭いてやるっていう器のデカい人が大人だと思う。そういう彰馬の少年から青年への変化を、本人はわからずとも書いてるけど、めっちゃわかってるヤツが隣にいるのはすごく素敵だと思いますね。

山内 僕はたぶん、周りが気付いてくれなかったら、ホントに自分の変化に気付くことなくどんどん次に進んでいくと思うんですよ。だから自分が進んだ距離ややってきたことをちゃんと気付かせてくれる細川の存在はありがたいですね。ホントおかんっすよね。

柳沢 おかんなんかい(笑)。

──同い年の細川さんの中にも、山内さんと同じように悶々とする思いはありますか?

細川 うーん、僕はそもそも彰馬と何もかも真逆の人間なので。悶々とする気持ちがないかって言われたらもちろんあるんですけど。でも同世代としてコイツの言ってることはすごいわかるし、一緒にそばで歳を重ねてる分、共感することはすごく多いですね。

柳沢 もうおかんっていうか、おっかあ(妻)だよね。

人と共有して完成するアルバム

──アルバムのラストナンバー「灯火」は、未来の希望を感じる前向きな楽曲ですね。

山内 曲調もこれまでよりポップなので、最初はどう歌えばいいのかわからなくて。でも「最後らしく前向きに終わる感じを残せたらいいよね」っていう意見をいただいたときに自分の中でストンと落ちて、方向性が定まっていきましたね。

柳沢 この曲は四つ打ちだけど、最初2人は「軽いものになっちゃうんじゃないか」って心配してた部分があったよね。

細川 だから最初はもうちょいテンポも遅くてここまでパッと突き抜けてなかったし、すごい中途半端な曲だったんですよ。でもヤナギさんに「明るい方向に振り切ろう」ってアドバイスをもらって、テンポを上げて。彰馬の書く曲って出だしが世の中に対する不満だとしても、最後は救われて終わるっていう展開が多いんですけど、「灯火」が最後に来ることで、その展開をこのアルバム1枚を通して表現できたことにとても意味があると思います。

左から細川千弘(Dr)、山内彰馬(Vo, G)、柳沢亮太(G / SUPER BEAVER)。

──初のフルアルバムが完成しましたが、改めて今の思いを教えてください。

山内 決して自信がなかったわけではないし、「いいものを作ろう」と思って作っていたアルバムだったんですが、実は制作中に「ホントにいいのかわからなくなってきた」という感覚があって。それは今考えると、このアルバムが僕のパーソナルな部分を反映した作品だからだと思うんです。ただ自分の日記を読んでいる感覚になったというか。でも、自分のパーソナルな部分を人と共有して、初めて見えてくるものがあると思うようになったんですよね。ツアーを回ってライブでいろんな人と共有していく中で、完成するアルバムなのかなと思ってます。

柳沢 「青年の主張」は悶々とした感情が解決されてない、今のShout it Outが100%入ったアルバムだから。ライブで人に届いたときに何が起こるのかっていうのは僕もすごく楽しみです。

ライブ情報

Shout it Out「1stフルアルバム『青年の主張』リリースツアー」(※終了分は割愛)

  • 2017年3月21日(火)愛媛県 Double-u studio

    <出演者>
    Shout it Out / The Winking Owl / 大橋ちっぽけ(オープニングアクト)

  • 2017年3月25日(土)宮城県 space Zero(※ワンマンライブ)

    <出演者>
    Shout it Out

  • 2017年3月26日(日)北海道 SOUND CRUE(※ワンマンライブ)

    <出演者>
    Shout it Out / TRiFOLiUM(オープニングアクト)

  • 2017年3月31日(金)石川県 vanvanV4

    <出演者>
    Shout it Out / サイダーガール / BURNOUT SYNDROMES

  • 2017年4月2日(日)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE

    <出演者>
    Shout it Out / サイダーガール / Halo at 四畳半

  • 2017年4月8日(土)福岡県 DRUM SON(※ワンマンライブ)

    <出演者>
    Shout it Out

  • 2017年4月9日(日)広島県 HIROSHIMA BACK BEAT

    <出演者>
    Shout it Out / ドラマチックアラスカ

  • 2017年4月14日(金)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎

    <出演者>
    Shout it Out / HOWL BE QUIET / climbgrow

  • 2017年4月16日(日)香川県 DIME

    <出演者>
    Shout it Out / HOWL BE QUIET / WOMCADOLE

  • 2017年4月22日(土)長野県 ALECX

    <出演者>
    Shout it Out / NECIKICKS

  • 2017年5月7日(日)東京都 TSUTAYA O-WEST(※ワンマンライブ)

    <出演者>
    Shout it Out

Shout it Out 1stフルアルバム「青年の主張」 / 2017年3月8日発売 / 2800円 / PCCA-04474 / ポニーキャニオン
「青年の主張」
収録曲
  1. 大人になれない
  2. 17歳
  3. 雨哀
  4. 道を行け
  5. DAYS
  6. 夜間飛行
  7. トワイライト
  8. 青春のすべて
  9. 影と光
  10. 青年の主張
  11. エンドロール
  12. 灯火
Shout it Out(シャウトイットアウト)
Shout it Out

2012年4月に高校の軽音楽部に所属していた山内彰馬(Vo, G)らを中心にバンドを結成し、ライブ出演やコンテストへの出場で注目を集める。2015年8月には「未確認フェスティバル」で初代グランプリを獲得。同年10月に細川千弘(Dr)が加入した。12月にはタワーレコード内の新レーベル・Eggsから第1弾アーティストとしてミニアルバム「Teenage」を発売。2016年7月にはメジャーデビューシングル「青春のすべて」をポニーキャニオンよりリリースした。9月にはギタリストとベーシストがバンドを脱退し、山内と細川の2名体制にサポートメンバーを迎える形で、新体制での活動をスタートさせる。2017年3月8日に初のフルアルバム「青年の主張」を発売した。

SUPER BEAVER(スーパービーバー)
SUPER BEAVER

2005年に渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“28才”広明(Dr)の4人によって東京で結成されたロックバンド。2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビュー。2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを敢行。2012年には自主レーベル「I×L×P× RECORDS」を立ち上げる。2013年、東京・shibuya eggmanのスタッフ・YUMAが「mini muff records」内に発足させたロックレーベル[NOiD]とタッグを組み、精力的にツアーや自主企画を開催。バンド結成10周年の節目に当たる2015年4月1日、フルアルバム「愛する」をリリースした。2016年4月にはバンド史上最大規模のワンマンライブを東京・Zepp DiverCity TOKYOにて開催。6月にフルアルバム「27」を発表し、10月にZepp DiverCity TOKYO公演の様子を収めたライブDVDと渋谷による書き下ろし小説「都会のラクダ」をパッケージした「10th Anniversary Special Set『未来の続けかた』」を発売した。同年11月には2度目となるZepp DiverCity TOKYOでのワンマンライブを成功させる。2017年1月にはシングル「美しい日 / 全部」をリリースした。