SHISHAMOが今年、CDデビュー10周年イヤーに突入した。
神奈川県川崎市で結成され、高校卒業と同時に本格的にバンド活動を始めたSHISHAMOは、2013年11月に1stアルバム「SHISHAMO」でデビュー。コンスタントに楽曲を発表し、ライブ活動を重ね、スリーピースロックバンドとして広く支持を集めた。そんなSHISHAMOを象徴するのが、恋愛をテーマにした楽曲の数々。彼女たちの表現するラブソングは、多くのリスナーに恋の酸いも甘いも教えてくれた。
SHISHAMOは「これからも恋愛の曲を作っていく」という決意を込めた、10周年イヤーの裏テーマ「恋するSHISHAMO」に沿って活動中。2023年2月4日には、集大成とも言えるCD2枚組のコンセプトアルバム「恋を知っているすべてのあなたへ」をリリースした。
音楽ナタリーではデビュー10周年を記念して、SHISHAMOの年表を制作。彼女たちの歩んできた道のりをたどり、活動を総括する。
文 / 寺島咲菜
1994年12月22日に生まれた宮崎朝子(G, Vo)、11月26日生まれの吉川美冴貴(Dr)は2010年に川崎市立川崎総合科学高等学校に入学し、軽音楽部内で「柳葉魚」(ししゃも)を結成。バンド名は「言葉の響きはかわいいのに漢字で書くとカッコいいから」という理由で宮崎の姉が名付けた。
軽音楽部の顧問が、足繁く通っていた飲食店があった。田園都市線の梶が谷駅にあるとんかつ華家(参照:ファンの店 第12回 SHISHAMOとファンに愛される川崎のとんかつ店)。店内には、顧問が持ち込んだ柳葉魚のデモCDが流れていた。この音源が華家を訪れていた音楽関係者の耳に止まり、彼女たちの運命を変えることになる。
2012年5月、全国の高校生が対象のアマチュアバンド選手権「TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2012」に出場し、優秀賞とベストボーカル賞を受賞した。その後バンド名をSHISHAMOに改め、同年10月に初のオリジナルCD「宿題が終わらない」をタワーレコード限定で発表。11月にはニッポン放送「オールナイトニッポンR」のパーソナリティに抜擢された。こうして、平凡な高校生だった彼女たちは瞬く間に知名度を上げ、バンドシーンという名の大海原へ飛び込んでいく。
2013年
- 1月
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高校時代の楽曲をまとめた自主制作CD「卒業制作」リリース
- 3月
川崎市立川崎総合科学高等学校を卒業し、バンド活動を本格化させる
「卒業制作」のレコ発ツアー「卒業旅行」を実施。ツアーファイナルで地元・川崎のラ チッタデッラ 中央噴水広場に凱旋
- 8月
フカツマサカズが監督した「僕に彼女ができたんだ」のミュージックビデオを公開
- 9月
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スペースシャワーTVが主催するライブイベント「スペースシャワー列伝 ~第九十五巻 瞬刻(しゅんこく)の宴~」にircle、テスラは泣かない。、キュウソネコカミらとともに出演(参考:スペシャ列伝95弾、キュウソら個性派6バンド激突)
- 11月
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デビューアルバム「SHISHAMO」をリリース
- 12月
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初のワンマンライブを東京・WWWで開催
学生時代から脚光を浴びていたSHISHAMOは、高校を卒業した2013年にアルバム「SHISHAMO」でデビューした。ブレイクの足がかりとなったのが、このアルバムにも収録されている代表曲の1つ「僕に彼女ができたんだ」。SHISHAMOのほとんどの楽曲は宮崎が作詞作曲しているが、「僕に彼女ができたんだ」は吉川が作詞、宮崎が作曲を手がけている。少女マンガのような世界観の歌詞と無骨なバンドアンサンブルとのギャップは、多くのリスナーに鮮烈なインパクトを与えた。また、新人バンドの登竜門とも言われるライブイベント「スペースシャワー列伝」ではトップバッターを務めた。
2014年
- 5~6月
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「SHISHAMO」の発売を記念した、初のワンマンツアー「彼女ができたバンドマンに恋する休日」開催
- 7月
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シングル「君と夏フェス」リリース
- 8月
大阪・泉大津フェニックスで開催された野外イベント「RUSH BALL 2014」に出演。裏方として働いていた松岡彩と出会う
- 9月
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前ベースが脱退し、松岡が加入
- 10~11月
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シングル「量産型彼氏」をリリース
ライブツアー「君ときみの彼氏と転校した彼女の日曜日のデートプラン」を開催
2014年、SHISHAMOに大きな転機が訪れる。夏フェスに行くカップルの心情を描いた「君と夏フェス」がヒットし、全国各地の大型フェスに出演。ライブバンドとして人気を獲得していく中、結成時から「20歳でSHISHAMOを辞める」と決めていた前ベースが脱退し、松岡が新たなベーシストとして加入する。松岡は、宮崎から「顔が好みだったから」という理由で「RUSH BALL 2014」のステージ裏でスカウトされた。
2015年
- 3月
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アルバム「SHISHAMO 2」発売。この作品を皮切りにSHISHAMOのアルバムタイトルは「SHISHAMO+通し番号」というスタイルで定着する
- 4~7月
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ライブツアー「さよなら、僕のともだちと花の季節」を実施
東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)、大阪・大阪城音楽堂で初となる野外ワンマン「SHISHAMO NO YAON!!!」を開催。大阪公演の翌日には、招待制イベント「SHISHAMO NO FREE NO YAON!!!」も行った
- 8月
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シングル「熱帯夜」リリース
- 10~11月
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全国のZepp会場を含む15カ所のライブハウスを回るツアー「熱帯夜はまだ続くけど、ガールは今日も笑わなきゃいけない」を開催
テレビ朝日系「ミュージックステーション」に初出演し、「君とゲレンデ」をパフォーマンス
- 12月
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シングル「君とゲレンデ」をリリース
2015年、SHISHAMOはツアーの動員数を更新し、ファンの裾野を広げていった。そんな彼女たちの勢いを象徴するように、11月にはテレビ朝日系「ミュージックステーション」に出演。地上波のテレビ番組でパフォーマンスを初披露した。この年に発表されたシングルは2枚で、「熱帯夜」では気だるげなボーカルやメロウなサウンドで新境地を切り開き、「君とゲレンデ」では「君と夏フェス」で描いた膨らむ恋心とは対照的に、ほろ苦い恋愛模様を表現した。
2016年
- 1月
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初となる東京・日本武道館での単独公演「SHISHAMO NO BUDOKAN!!!」開催
- 3月
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アルバム「SHISHAMO 3」を発表
- 4~5月
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初のホールツアー「少女達が恋心に気付いたのは、宇宙からの旅がえり」を行い、約1万9000人を動員
- 6月
関西での初のアリーナ公演となる、大阪・大阪城ホールでのワンマンライブ「SHISHAMO NO OSAKA-JOHALL!!!」開催
- 7月
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東京・日比谷野外大音楽堂で2日間にわたって単独公演「SHISHAMO NO YAON!!! 2016」を実施
- 9月
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初のバラードシングル「夏の恋人」リリース
- 11~12月
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ライブハウスツアー「夏の恋人はもういないのに、恋に落ちる音が聞こえたのはきっとあの漫画のせい」を開催し、約2万3000人を動員
デビュー4年目にあたる2016年の活動は、まさに破竹の勢いだった。メンバーの平均年齢が20.4歳でキャリア初となる日本武道館公演を成功に収め、ライブの模様を収めたBlu-rayを初の映像作品としてリリース。2015年以来2回目となる野音公演「SHISHAMO NO YAON!!! 2016」では1日目に「夜空編」、2日目に「青空編」というコンセプトを設け、アコースティック編成やライブではあまり披露してこなかったレア曲のパフォーマンスに臨んだ。また、この年にリリースされた失恋バラード「夏の恋人」は多くのリスナーの共感を呼び、ライブの定番曲として長く愛されている。
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SHISHAMOの年表 2017年~2023年
2023年2月9日更新