SHISHAMOの楽曲と少女マンガ「顔好き」のコラボムービーが公開!SHISHAMO×作者・安斎かりんインタビュー (2/2)

安斎かりんが選ぶSHISHAMOのプレイリスト「かわいい君へ」

特集後半には安斎かりんが「顔好き」に絡めながらセレクトしたSHISHAMOのプレイリスト「かわいい君へ」を掲載。安斎にSHISHAMOファンならではの目線で選曲理由を語ってもらい、SHISHAMOメンバーにはその楽曲の裏話を聞いた。

「君の隣にいたいから」

安斎 この曲でコラボムービーを作るのもよさそうだなと思ってピックアップした曲ですね。「君みたいに前向きになりたいな」という気持ちが歌われているので、「顔好き」の奏人から見た才南ってこんな感じなんだろうなと。

宮崎 確かに。すごく奏人っぽいですね。

──「NHK全国学校音楽コンクール」中学校の部の課題曲として書き下ろされた曲ですよね。

宮崎 はい。学生の頃って周りと自分を比べてしまったり、人間関係で悩んでしまったりする時期だと思うんですけど、そんな中でも、「自分だけのやりたいことや“自分だけの自分”を大事にしていいんだよ」と伝えたくて作った曲ですね。この曲の中の“君”という存在は恋人でもいいし、友達でもいいし、家族でもいいし……聴く人によって思い浮かべる存在は違うと思うんですけど、自分にとっての憧れの人への気持ちに当てはめながら聴いてもらえたらいいなと思いながら書きました。

SHISHAMOと安斎かりん。

SHISHAMOと安斎かりん。

吉川 私自身、学生の頃は周りと自分を比べて劣等感を抱いていたので……この曲の歌詞はすごく共感できますね。当時の自分に聴かせてあげたいなと思います。

松岡 私もこの曲にはすごく勇気付けられていて。「いいな」と思う人って周りにたくさんいるし、劣等感とかも抱くんですけど、「憧れの人と一緒にがんばれるように、切磋琢磨できるように」と思わせてくれるような歌詞だなと思います。

──「縦結びになったスニーカーの紐」で始まって「自分の空を探すよ」で終わる歌詞の構成がとても美しいですよね。

宮崎 これは確か先方から「飛翔」というテーマをいただいて、そこから着想を得たんだと思います。

安斎 素敵な歌詞ですよね。縦結びでも直さなくていいんだなって。私は「そんな奴の言葉に 律儀に傷ついてあげることはない」というところがめっちゃ好きです。「そんなこと気にしなくていいよ」みたいな歌詞はよくありますよね。だけど「傷ついてあげることはない」とまで言ってもらえると、「確かに」とうなずけるなって。言葉にしてもらって初めて自分の気持ちを発見できることもあるなと思いました。

「天使みたい」

安斎 この曲もめっちゃ好きですね!

宮崎 ありがとうございます……!

安斎 男の子のかわいらしさをここまでまっすぐに書いている曲はほかにないんじゃないかというくらい、愛おしさにあふれていて。好きな人の寝顔って世界一かわいいから、歌詞を聴いていても「わかるな」と思うし……でも才南が奏人に対して、これくらいの大きな愛情を持つようになるのは、だいぶ先かな?

宮崎 そうかもしれないですね。この曲は私も大好きなんですけど……改めて歌詞を見ると、妄想でこれを書いたのはすごいなと思います(笑)。

安斎 あははは! 「私のこの腕の中で可愛く眠ってよ」みたいな言葉って、一般的には男の人が女の人に対して言うセリフとして使われがちかなって。だけどこの曲では、女の子から男の子への「包み込んでしまいたい」「自分のものにしたい」という欲がすごくかわいく描かれていて。こういった女性目線の表現はSHISHAMOさんのほかの曲の中にもあって、素敵だなと思いますね。

安斎かりん

安斎かりん

宮崎 恋愛の仕方って、歳を重ねるごとに少しずつ変わっていきますよね。男性に対して「カッコいい」と憧れる感情から、「愛おしい」「かわいい」という母性に変化していくというか。恋愛においてそういう気持ちの変化を実感している女性って多いんじゃないかなと思っていて。この曲が入っているアルバム「SHISHAMO 6」(2020年1月発売)を作っているとき、「大人になったSHISHAMOを表現したい」というテーマが自分の中にあったんですよ。この曲はまさにそのテーマにぴったりだし、昔の自分だったら書けなかったと思いますね。

松岡 私も、母性や無償の愛を感じる曲だなと思っています。歌詞もメロディもすごく温かいし、聴いただけで心がホッとするような、穏やかな気持ちになる曲だなと。

吉川 そうだね。私は歌詞を読んだとき、“すごく深い愛”だなと思いました。

宮崎 そのコメントが浅いけど大丈夫?(笑)

吉川 (笑)。自分の好きな人や恋人に対して「天使みたい」と思うことってなかなかないかなって。「どうして私のとこに来てくれたの?」という歌詞も……もちろん、いきなりどこかからやってきたわけではないし、比喩表現だというのはわかっているんですよ。だけどそう表現してしまうくらい、主人公にとっての“君”は特別で、唯一無二なんだなと。

宮崎 自分の前に現れてくれた奇跡みたいなね。

吉川 そうそう。“君”に対する愛情があふれちゃっている様子がこの言葉から伝わってくるというか。私にはすごく刺さりましたね、

「魔法のように」

安斎 これも大好きな曲です。朝、大学に行くときによく聴いていました。

宮崎 ありがたい……。

安斎 「こっちがホワイトで こっちがアイボリー」というフレーズを初めて聴いたとき、すごすぎて笑っちゃったというか、この女の子の“かわいい面倒臭さ”が出ていていいなと思ったんです。「ホワイトもアイボリーも一緒じゃん」と思う人もきっといるけど、この歌の主人公はすごく本気で言ってる。「ほかの人からしたら些細なことでも私にとっては人生最大レベルの問題なんだ」ということって、生きているといろいろ起こりますよね。つらいことがあっても前向きでいようというメッセージが伝わってきて、「ああ、わかる!」と思いながら何回も聴いていたんです。あと、私は「カロリー気にして食べるご飯 20%くらいおいしくないよね」という歌詞が一番好きで。10%でもダメで、30%でもダメで、本当に20%くらいおいしくないんですよ! カラオケで歌うと、私はだいたいここで泣いちゃいます。それくらい大好きです。

SHISHAMO

SHISHAMO

宮崎 私もこの曲を歌っているとたまに泣きそうになるんですよ。

安斎 本当ですか?

宮崎 はい。ほかの曲ではめったにないんですけど、この曲だけいっつも「うっ……」って刺さるというか。

安斎 そうなんですね。

宮崎 かわいくなりたいって、つらい感情でもありますよね。

安斎 理想の自分になれていないということですからね。だけど、なりたい自分に近付こうとしてがんばっている姿の表れが「かわいくなりたい 輝きたい 特別になりたい」という気持ちだと思っていて。

宮崎 一生足掻いていくのが女の子の定めなんだろうなと感じることもありますよね。それはやっぱり、男の人にはわからないものなのかなと思うところもあるし。

安斎 確かに。

松岡 女の子ってそういうこだわりをたくさん持っていて、傍から見ると、ちょっと面倒くさいところでもありますもんね。

宮崎 そうそう。私は普段から「女の子の味方でいたい」という気持ちがあるんですけど、特にこの曲は、「リスナーを女の子に絞っちゃってもいいかな」くらいの気持ちで書いた曲で。つらいと思いながらも楽しんで生きている女の子に寄り添える曲を作りたいなと思って書いたんです。それは私にとってかなり大きなテーマでもありましたね。

──先ほど安斎先生が挙げてくれたような歌詞は、どういうきっかけで生まれたのか気になります。何かインスピレーションの源があるんでしょうか?

宮崎 普段からTwitterなどでまったく知らない女の子の日常のツイートを読んだりしていますね。

安斎 わかります。私もやります。

宮崎 ですよね。だから、誰かモデルがいるというわけではないんですけど、いろんな女の子のつぶやきをもとに自分の中で人物像を作っていって、その子に向けて書いているようなところはあります。

吉川 実は私、どちらかというと、ホワイトとアイボリーの違いがわからないタイプなんですよ。

松岡 私はわかる派かな(笑)。

宮崎 私もわかる派(笑)。

吉川 こういう“ザ・女の子”な要素は自分の中にないんですけど、だからこそちょっと離れた視点からこの曲に出てくる女の子を愛おしいなって思いますね。

「フェイバリットボーイ」

安斎 この曲も「顔好き」にかなり合っていますよね。奏人は才南の“フェイバリットボーイ”ですし、奏人、「僕のどこが良いの?」って歌詞にあることを言いそうだし。

SHISHAMO 言いそうー!

吉川 私もこの曲、本当に好きなんです。さっき(宮崎)朝子も言っていたように、SHISHAMOには報われない恋の曲が多いから、こういう幸せな曲がたまーに現れると「来た、明るい恋の曲!」と思うんです。歌詞も曲調もかわいらしいし、自分自身もいつもウキウキした気持ちで演奏しています。

松岡 わかる。私も「こういう“好き”が詰まっている曲、いいなあ」と思っているうちの1人です(笑)。

宮崎 本当にたまーにしか出てこないからね(笑)。

松岡 安斎先生もおっしゃっていたように、私も才南ちゃんみたいな曲だなと思いました。すごくストレートに「好き」と伝えている女の子の曲だから、こっちも前向きになれるというか。

宮崎 「しつこくしても許してね」だもんね。

──「うるさくしないから見てていいよね?」もかわいいです。

安斎 才南はいつもうるさくしてますけどね(笑)。

宮崎 確かに!(笑)

ライブ情報

SHISHAMO ワンマンツアー2022秋「NICE TO MEET YOUr town!!! ~10年目の初上陸~」(※終了分は割愛)

  • 2022年11月20日(日)兵庫県 加古川市民会館
  • 2022年11月23日(水・祝)愛媛県 西予市宇和文化会館
  • 2022年11月26日(土)広島県 三次市民ホール きりり

SHISHAMO NO BUDOKAN!!! ~10YEARS THANK YOU~

2023年1月4日(水)東京都 日本武道館


SHISHAMO NO OSAKA-JO HALL!!! ~10YEARS THANK YOU~

2023年3月4日(土)大阪府 大阪城ホール

プロフィール

SHISHAMO(シシャモ)

宮崎朝子(G, Vo)、松岡彩(B)、吉川美冴貴(Dr)からなる3ピースロックバンド。神奈川県川崎市で結成され、高校卒業と同時に本格的にバンド活動を開始する。2013年11月にデビューアルバム「SHISHAMO」をリリース。2017年12月には「第68回NHK紅白歌合戦」に初出場。2018年にCDデビュー5周年を迎え、2019年6月に初のベストアルバム「SHISHAMO BEST」をリリースした。2022年11月には楽曲「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」と安斎かりんのマンガ「顔だけじゃ好きになりません」のコラボムービーをYouTubeで公開。CDデビュー10周年イヤーにあたる2023年の1月に東京・日本武道館にて「SHISHAMO NO BUDOKAN!!! ~10YEARS THANK YOU~」、3月に大阪・大阪城ホールで「SHISHAMO NO OSAKA-JO HALL!!! ~10YEARS THANK YOU~」を行う。

安斎かりん(アンザイカリン)

神奈川県出身のマンガ家。2015年に花LaLa onlineにて「キス初爆発」でデビューし、現在は「花とゆめ」で「顔だけじゃ好きになりません」、「Trifle by 花とゆめ」で「俺の唇が狙われています」を連載中で、このうち「顔だけじゃ好きになりません」とSHISHAMOの楽曲「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」のコラボムービーが2022年11月にYouTubeで公開された。