コロプラが開発・運営するスマートフォン向けゲームアプリ「白猫プロジェクト NEW WORLD'S」が配信開始10周年を迎えたことを記念して、7月13日に東京ビッグサイトにて「白猫フェス2024 -10th Anniversary-」が行われた。1日限りのスペシャルイベントでは「白猫」と縁の深い豪華出演者によるステージ、観客参加型アトラクションなど、さまざまな企画が展開され冒険家(「白猫プロジェクト」ユーザーの呼称)たちを楽しませた。
この特集では、イベントの中でも最も盛り上がりを見せ、冒険家たちを興奮させたスペシャルステージ「SHIRONEKO PROJECT 10th Anniversary Excite Night」の模様をレポート。さらにこのステージのクライマックスでテレビアニメ「白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE」のオープニングテーマ「天秤-Libra-」を熱唱した西川貴教とASCAのコメントも紹介する。
取材・文 / ナカニシキュウ
ライブレポート
朗読劇、バンドの生演奏、まさかのゲストに冒険家興奮
会場内のステージ前には「Excite Night チケット」購入者のための座席エリアと、その後方に無料で観覧できる立ち見エリアを完備。チケットは早々に完売したため必然的に座席エリアは満席となっており、残念ながらチケットを入手できなかった多数の熱心なファンが立ち見エリアに黒山の人だかりを形成していた。そのすべての冒険家が今か今かと開演を待ちわびる中、ふいに島﨑信長(ジン役)と日高里菜(サヤ役)による影ナレが場内に響きわたる。公演に際する諸注意がひと通り読み上げられ、最後に2人が声を合わせて「Excite Night、お楽しみにー!」と呼びかけると、盛大な拍手とともにホールはさらなる期待感で埋め尽くされた。
開演時刻を迎えると、暗転中のステージ上にはキャスト陣が続々と姿を現し、横一列にスタンバイ。舞台背面に設置された大スクリーンに「第1幕『不思議な装置』」なる文字列が浮かび上がり、この日のために用意されたオリジナルストーリーの朗読劇で「Excite Night」は幕を開けた。堀江由衣(アイリス役)、緑川光(カイル役)、広田みのる(バロン役)、山根綺(クロカ役)、菊地燎(シロー役)、島﨑信長(ジン役)、日高里菜(サヤ役)、三浦勝之(クライヴ役)、八代拓(ダグラス役)、手塚ヒロミチ(アゾート役)の総勢10名が台本を片手にずらりと並び立ち、映像をバックに熱のこもったかけ合いを披露。観客は息をのむように耳を傾け、繰り広げられる物語に没頭した。
こうして始まった「Excite Night」は上記のような朗読劇をはじめ、バンドによるゲーム内楽曲の生演奏や、その演奏をバックに行われる声優陣の生アフレコ、アーティストによる歌唱パフォーマンスといった演目が代わる代わる畳みかけられる構成で進行していく。しかもバンドはドラム、ベース、ギター、キーボードに加えてホーン隊とストリングスカルテットをも擁する総勢12人編成という豪華な布陣。会場に集まった冒険家は「シンフォニックな楽曲群を迫力満点の生演奏で聴きながらキャスト陣の演技をライブで味わう」という、極めて貴重な体験に夢見心地で酔いしれている様子だった。
山根&菊地コンビによる生アフレコパート、八代ソロでの生アフレコパートを経て、最初の歌唱パートを担ったのは山崎寛子だ。これまで数々の「白猫プロジェクト」関連楽曲を手がけてきた最重要アーティストと言える彼女は「Lux ―最後の約束―」「SHINE」を高らかに歌い上げ、その透き通った歌声とドラマチックな歌いこなしで聴衆を魅了。客席では色とりどりの星たぬきペンライトが揺れ動き、幻想的な空間を形作った。
そしてステージは朗読劇の「第2幕『思い出クライシス』」、島﨑&日高コンビによる生アフレコパートと続き、さらに朗読劇「第3幕『みんなで未来へ』」が大団円を迎えたのち、堀江による生アフレコパートがスタート。彼女の演じるアイリスが「始祖のルーン」を前に悲痛な決意を漏らすシーンだが、ここで突如として事前に出演がアナウンスされていなかった梶裕貴(主人公役)が舞台上に姿を現した。薄暗い照明演出によって客席からは彼の姿形が判然としない中、梶はひと言「アイリスー!」と絶叫したかと思うとすぐさま舞台袖へ退出。ステージは山崎による「Ray ―はじまりのセカイ―」の歌唱パフォーマンスへとシームレスになだれ込んだ。聴衆は一様にまさかというような表情のまま山崎のベルベットボイスに耳を傾けていたが、曲中で再び梶がステージに現れてセリフを絶叫すると、ここでようやく客席の大多数が彼を梶裕貴本人であると確信。堰を切ったように万雷の拍手と歓声がステージ上へ届けられた。
ついに!4年を経て白猫ファンの前で実現した西川貴教+ASCAの「天秤-Libra-」生披露
続くMCでは、梶、堀江、緑川という“白猫はじまりのメンバー”3名がステージ上にそろい踏み。こうしたイベントに彼ら3人がそろって出演するのは10周年にして初だといい、それぞれの口から感慨が語られていく。そして、山崎による「One」の歌唱も交えながら3名による生アフレコがたっぷりと披露されたのち、不意にバンドがテレビアニメ「白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE」のオープニングテーマ「天秤-Libra-」の荘厳なイントロを奏で始めた。
舞台には大量のスモークが噴出され、スクリーン下の壁面に設置された両引き戸が大きく口を開けると、そこから西川貴教とASCAが満を持して登場。冒険家が「待ってました」とばかりに熱狂をもってこれを迎え入れると、2人はのっけからフルスロットルでアグレッシブかつエモーショナルな歌声を広大なホール内に響かせていく。同曲のミュージックビデオそのままに西川は黒と赤のハードなコスチューム、ASCAは純白のドレス衣装に身を包み、ボーカルのみならずビジュアルでもハイコントラストを形成しながら、スリリングな掛け合いや共鳴するようなハーモニーを畳みかけて聴衆を圧倒。一瞬にして会場の温度をフェーン現象のごとく急上昇させた。
白猫のリアルイベントにおいて西川とASCAの2人が本楽曲を生披露するのはこれが初なのだそう。楽曲リリースのタイミングが2020年5月だったこともあり、出演予定だったイベントが新型コロナウイルス感染症の影響でキャンセルになるなどの不運に見舞われてきたからだ。4年を経て実現したこの日の共演について、西川は自身の体型変化を軸にその感慨をユーモラスに表現。近年のトレーニングによって特に胸囲が激増したとのことで、4年前の衣装を着こなすのに苦労したのだという。さらに、「白猫プロジェクト」とのコラボイベントの“再開催”も発表に。コラボイベントは2020年に開催された「白猫プロジェクト」のゲーム内に西川本人がプレイアブルキャラクターとして登場する施策で、この告知に観客は大いに盛り上がった。
2人がハイテンションな歌唱パフォーマンスと軽妙なトークで客席を大いに盛り上げたあとは、いよいよ本イベントも大詰め。この日のために制作されたフェステーマソング「We are Adventurers!」がラストナンバーとして披露された。これは事前にユーザーから公募したワードをもとに山崎が歌詞をまとめたアップテンポなブラスポップナンバーで、歌唱メンバーは堀江、山根、菊地、島﨑、日高で始まったが、ラスサビ前にサプライズで梶も参加。事前に公開されたMVでは歌唱していなかった梶の登場、そしてモニターに映ったMVへの赤髪の出現に総立ちとなった観客は楽曲の至るところで合いの手コールを挟み込んで高い楽曲理解度を示し、それに呼応するようにキャスト陣も快活かつエモーショナルなボーカルを叩き付けていく。この日唯一と言っていい陽気な楽曲だけにバンドが奏でるサウンドもより華やかさを増し、ホール内をハッピームード一色に染め上げた。なお、梶が加わったバージョンの「We are Adventurers!<Hero comeback ver.>」はイベント直後の7月14日に配信がスタートした。
最後に全出演者がステージ上に呼び込まれ、ひと言ずつ挨拶。10周年という節目を迎えられたことの喜びや、15周年、20周年を見据えた前向きな展望などが異口同音に語られる中、西川が再アニメ化を期待する発言で冒険家の気持ちを代弁し喝采を浴びるひと幕も。そして梶と堀江の音頭で「10周年も!」「やろうよ!」「白猫ー!」の盛大なコール&レスポンスが繰り広げられ、「Excite Night」のタイトル通りにエキサイティングなものとなった一夜は朗らかにその幕を下ろした。
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西川貴教+ASCA 終演後コメント