音楽ナタリー PowerPush - 真空ホロウ
“化け物”になるための新たなスタートライン
全員ボケで、全員ツッコミ
──ところで以前のインタビューで、3人は毎日のように一緒にいるっていうお話をされてましたよね(参照:真空ホロウ「少年A」インタビュー)。
松本 今週も、会ってない日はないですね。
──3人はそれぞれどんな立ち位置で、どんな話をしてるんですか?
松本 全員ボケで、全員ツッコミですね。
村田 会話の内容としては、株とか経済の話が多いですね。
──さっそくボケてますけど(笑)。
村田 あははは(笑)。実際は、それぞれが行ってよかったと思うライブの話とかしますね。あとはテレビ買ったよとか引っ越したよとか、たわいのないの話も。
──ずっと一緒にいて、ケンカをしたりすることはないんですか?
村田 一緒にいても、話さないほうがいいなっていうときは話さないですから。そこは家族みたいなもんで、お互いに悟りますね。実際、家族よりも一緒にいますからね。
──なるほど。ではそんな3人が、メジャーデビューしてから現在までに変化したところ、または変わらないと思う部分をそれぞれ教えていただけますか?
松本 智史さんは、変わっていないですね。“真空ホロウの村田智史”という見え方を意識して、そのスタンスをずっと貫き続けています。ぬっきー(大貫)は、すごく我を出してくれるようになったというか、ステージの後ろから真空ホロウの軸をぶれないように僕ら2人を支えようっていう意識が強くなってきたかな。そこが変わったなって思います。
──大貫さんはいかがですか?
大貫 以前の松本くんは、自分の心の内側を吐き出すような雰囲気だったんですよね。それが今は、だんだんと聴いている人たちを包み込むようになってきた気がします。智史さんとは……最近、ライブ中にアイコンタクトを取るようになりました。
村田 嘘だ! お前、アイコンタクトしても見てくれねーべ、俺のこと(笑)。
大貫 いやいや! アイコンタクトで心が和らいだりしてますよ(笑)。
村田 確かに、大貫くんとは前よりも“楽器で仲良くなれるようになった”気がしているんですよね。彼のドラムを聴くのがすごく楽しみで。よく一緒にカレー食ってるからかな?(笑) 松本くんに関しては、“化け物”になれる可能性があると俺は思っていて、その途中というか。今いい感じで未知数なので、すごく期待してるんです。未来は無限大だなって。
未来へ向けての新たなスタートライン
──今作は聴き終えたあとに、すごく力をもらえるアルバムだと思います。今村田さんがおっしゃった真空ホロウの無限大の未来に向けて、大きな一歩になる作品ですよね。
松本 ありがとうございます。僕、人からは変人だとか変態だとか言われるんですけど、自分では凡人だと思っていて。僕みたいな自己嫌悪の感情を抱いている人って、世の中にきっとたくさんいると思ってるんです。その人たちの思いを、少しでも自分が歌えたらいいなって思いで曲を書いてます。自分の中では、真空ホロウの曲はすべて、その人たちと自分に向けた応援歌みたいな感覚なんですよね。聴いてくれたその人たちが共感してくれたら……っていうとちょっとニュアンスが軽いですけど。もっとシナプスのレベルというか……。
──共鳴、あるいは共振?
松本 そうですね……なんか、すんなり受け入れてくれなくてもいいんですよ。もちろん、そうだよねって思ってもらってもいいですし、逆に「そんなのわかってるよ!」ってムカつかれたり不快感を覚えられたりしてもいい。そのすべてが糧になってるし、僕に対しての応援になるんですよね。だから僕は歌を書き続けているんだと思います。
──松本さん自身が「解ってんだよ」と「虹」で歌っていますよね。アルバムを聴き終えたあとにポジティブな印象が残るのは、「虹」という楽曲がラストに配されていることも大きいように感じます。
松本 確かに「虹」という曲がすごく大きな存在になっています。この曲はアルバムの“あとがき”であり、未来へ向けた新たなスタートラインというか。「真空ホロウ」というアルバムが「虹」で終わるのは、何があってもあきらめない、ここから未来へ進んでいこうっていう決意の表れなんです。1曲目の「開戦前夜」は過去の自分、ラストの「虹」は今の自分。だから、これまでの自分を時を追って見つめ直すためにも、この曲順にしたんです。
──では最後、自分たちのバンド名を冠したアルバムを完成させた真空ホロウが、今後目指してくいくところを改めて教えてください。
松本 まずは“憧れている自分”になって、そこから先はその自分を超えていきたいですね。
──“憧れている自分”を具体的に表現すると?
松本 言葉にすると……例えば、渋谷駅の前で流れている音楽ってあるじゃないですか。もしそこで真空ホロウの曲が流れても、雑踏にかき消されない存在感を持っていたい。今回のアルバムを作って、自分たちにしか出せない音、自分にしか歌えない歌を歌えてきているなって、ちょっと自信が持てたんですよ。だから、その自信をより高めていった先に、理想の自分がいるのかもしれないです。
村田 ライブでも、よりディープな真空ホロウの魅力を伝えられるようにしたいですね。“MAGIC”じゃないですけど、お客さんにうまく魔法をかけられれば。
松本 もっと自分に自信を持って、人の心の中に入っていける歌を歌っていきたいですね。智史さんの言う“化け物”になりたいとは思うので。
大貫 松本くんは以前と比べるとライブ中に話すことが増えました。性格が明るくなったと思います。
松本 うん。やっと(明人という)名前に見合うようになってきたのかもしれない(笑)。
- 1stフルアルバム「真空ホロウ」2015年4月8日発売 / EPICレコードジャパン
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3700円 / ESCL-4398~9 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 3000円 / ESCL-4400 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- 開戦前夜
- 被害妄想と自己暗示による不快感(“N”ew take ver.)
- アナフィラキシーショック
- MAGIC
- 回想列車
- CAGE
- Highway My way
- バタフライスクールエフェクト
- Tokyo Blue bug
- こどものくに
- ミラードール
- 虹
初回限定盤DVD収録内容
- Highway My way Music Video
- アナフィラキシーショック Music Video
- 虹 Music Video
- 回想列車 Music Video
- Highway My way Making Video
- アナフィラキシーショック(alternative ver.)
- 虹(alternative ver.)
真空ホロウ TOUR 2015梅雨 ~回想列車で全国へ。嘘です本当は機材車です。~
- 2015年6月5日(金)香川県 DIME
- 2015年6月19日(金)北海道 COLONY
- 2015年6月21日(日)宮城県 enn 2nd
- 2015年7月3日(金)福岡県 Queblick
- 2015年7月5日(日)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
- 2015年7月10日(金)愛知県 APOLLO BASE
- 2015年7月18日(土)東京都 東京キネマ倶楽部
真空ホロウ(シンクウホロウ)
松本明人(Vo, G)、村田智史(B)、大貫朋也(Dr)による茨城県出身の3ピースロックバンド。日常の違和感を冷徹な視線ですくい上げる歌詞と、ストレートでキャッチーなバンドサウンドが特徴。2006年に結成し、メンバーチェンジを経て現在の編成に。2009年に「RO69JACK 2009」を勝ち抜き、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2009」への出演を果たす。その後、2012年10月にミニアルバム「小さな世界」でEPICレコードジャパンよりメジャーデビュー。2014年2月にアニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のエンディングテーマに採用されたメジャー1stシングル「虹」を発表し、その年の12月31日には「COUNTDOWN JAPAN 14/15」にてCOSMO STAGEの大トリを務めた。2015年4月に1stフルアルバム「真空ホロウ」をリリース。6月から全国7都市を回るツアーを実施する。