音楽ナタリー PowerPush -グループ魂
ぜんぶ録り直し!初セルフカバーベスト
あんまり俺ら儲け主義じゃないから
金田 今改めて出演バンド見たけどすげえな、今年。
──ラインナップが本当に豊かですよね。
金田 うちのイベントに元はっぴいえんどの鈴木茂さんが出るってすごいよな。うちの親父とお袋は大ファンだからすごいびっくりしてましたね。サーキットでたくさんバンドが出るから、自分が好きなバンドを観たいのは当たり前でわかるけど、知らないバンドや名前は知ってるけど聴いたことないバンドもぜひ観てほしい。
──全部オススメなんですよね?
金田 うん。もちろん全部オススメ。
ツネ あと新しいバンドを知るきっかけになればいいなと思って出演者の情報とかが見れるアプリも作ってて。このアプリで当日に実施するスタンプラリーもできるんです。スタンプラリーを制覇した人にはプレゼントも用意してます。
──あと駅前のfoodiumのところに無料のステージもあるんですよね?
ツネ あ、そうそう。今年から初めて無料の野外ステージも用意して。
金田 無料ステージはパレードの出発点にもあたるんですよ。オープニングは大島花子さんがそこで「上を向いて歩こう」を歌ってくれます。
──タダで楽しめるっていうのは、お客さんにとってはうれしいことだけど、主催者側からすると少し損しちゃう気もします。
金田 そうだね。でもあんまり俺ら儲け主義じゃないからなあ。
──正直なところ、儲かってますか?
金田 儲かるわけねえ(笑)。
ツネ 一昨年だって残ったお金4万円だよ? ビビったよ俺たち。飲み代にもならないよって。
金田 ライブが終わって今年はちょっと儲かったかもって思ったんですけど、全バンドにギャラ払ったら残ったのはたったの4万円。儲かってたら俺らの生活もうちょっと楽かもなあ。
──今年はdocomoがスポンサーに入ってくれたみたいですけど。
ツネ そうなんですよ。そのおかげでプロモーションにお金をかけられたり、アプリを開発してもらったり。フラッグもいつもよりたくさんの場所に出させてもらって街全体に「下北沢にて」をやってるってイメージ付けができるんじゃないかなと。
──やりたいことを叶えるためにお手伝いをしてもらってるみたいな感じで。
金田 そう。THEラブ人間メンバーはこのイベントが大好きだから、計画とかは全部自分たちでしたいし。今年のがんばり次第で今年できなかったことも来年できるかもしれないし、できる限りでいろんなことをやりたいなって。
「下北沢にて」は自分たちだけじゃできない。
──お話を聞いてるとやっぱり「下北沢にて」はTHEラブ人間にしかできないイベントですね。アイデアもブッキングも全部。
金田 ね、本当によくやるよ。
──人事みたいですけど、自分たちがやりたいことをやってるだけなんですよね?
金田 うん。ほかには絶対この雰囲気ないわって思う。
ツネ でも俺らだけじゃできないことだから。みんなが手伝ってくれてやっと「下北沢にて」ができてます。
──出演者も、ボランティアスタッフも。
ツネ プレイベントも今年初めてやったんですけど、企画したときに「じゃあやろう!」って言ってくれた新宿タワレコだったり、流通会社のPCIだったりがいたからできました。本当にみんなの協力があって成り立ってます。
次の音を楽しみにしてて
──バンドの音楽活動は今どんな感じですか?
金田 新曲をレコーディングしています。
──おお。
金田 今のTHEラブ人間の状態はすごくいい。去年入ったまりなと遥が本当によくてさ、今の6人は手放しにいいって言えるね。理由はわかんないけど。「下北沢にて」は新生THEラブ人間の締めくくりかな。この日が集大成だと思う。「幸せのゴミ箱 / じゅんあい」(2014年9月発売)のリリースツアーのファイナルでもあるし。
──ライブを観てても楽しんでる感じがヒシヒシと伝わってきます。
金田 なんか2ndアルバム「SONGS」(2013年4月発売)のときに自分の中でものづくりにおいて最高点に達しちゃったんですよね。「SONGS」はすごくコンセプチュアルなものだったんですけど、今は歌いたいっていう気持ちにピュアに向き合っていて。今アルバムを作るとしたら「SONGS」とは真逆で、できた曲をどんどん録音してぶち込んだものになりそう。でも「SONGS」を作れたのはすごくうれしかったんですよ。そのときに一度完全に干上がってしまったなとは思うけど(笑)。
──さとうさんと坂本さんの2人が入って再スタートみたいな感じですか?
金田 そうですね。
──「下北沢にて」っていう集大成を終えて燃え尽きちゃわないといいなって少し心配ですよ(笑)。
金田 大丈夫ですよ。先は見えてる。面白い曲がたくさんできてるし。次の音を楽しみにしててほしいですね。そのために今いろいろ動いております。
ツネ 来年の春にはね。
金田 レコーディングしてるの隠してたんだけどさ、でもみんなを楽しみにさせるのもいいかもって今思った。来年の春までには新しいレコードが届くし“アレ”も待ってるかもね。
──“アレ”って?
金田 アレだよ。まだ内緒。
- THEラブ人間が2010年より開催している自主企画。初回は東京・下北沢のライブハウスCAVE-BE、Daisy bar、BASEMENT BARの3店舗でサーキット形式で行われた。その後も下北沢を舞台に毎年イベントを開催していたが、2013年は趣向を変えて全国6都市を巡るツアー形式で実施。2014年の第5回「下北沢にて」はNTT docomoをスポンサーに迎え、下北沢を舞台に過去最大規模で開催される。
- 2014年11月30日(日)東京都
club 251 / BASEMENT BAR / THREE / 下北沢CLUB Que / MOSAiC / 下北沢CAVE-BE / Daisy Bar / Laguna / foodium下北沢前野外ステージ / ドコモショップ下北沢南口店内
本部:下北沢 Studio BAYD
THEラブ人間(ラブニンゲン)
金田康平(歌手)、谷崎航大(Violin)、さとうまりな(B)、坂本遥(G)、服部ケンジ(Dr)、ツネ・モリサワ(Key)によるロックバンド。2009年1月、金田を中心に結成され、同年4月に自主制作音源「恋街のすたるじい」を発売。2011年5月にインディーズ1stシングル「砂男・東京」をリリースし、7月15日に650人を動員した東京・渋谷CLUB QUATTROで初のワンマンライブを成功させた。同年8月にビクターエンタテインメントからミニアルバム「これはもう青春じゃないか」でメジャーデビュー。翌2012年5月にメジャー1stアルバム「恋に似ている」、12月にDVD付きシングル「アンカーソング」をリリースした。2013年4月にメジャー2ndアルバム「SONGS」を発表。同年末をもっておかもとえみが卒業した。2014年3月にさとうまりなと坂本遥を迎え6名体制に。彼らのお披露目を兼ねた全国ツアーを経て、9月に新体制初のシングル作品「じゅんあい / 幸せのゴミ箱」を自主レーベル「喫茶恋愛至上主義」よりリリースした。2010年から下北沢を中心に毎年開催している自主企画「THEラブ人間決起集会『下北沢にて』」の第5回を、11月30日に街中の店舗などの協力を経て過去最大規模で行う。