SHIMA×会長(打首獄門同好会)“ポップでピース”を信条とする2組が惹かれ合う理由 (2/2)

“ドラムが歌っている曲”が好き

──5月4日にはSHIMAのニューアルバム「FLAKES」がリリースされます。いち早くアルバムを聴いていただいた会長さんの率直な感想を教えてもらえますか?

会長 ライブで初めて会ったときの印象からいい意味で変わってないというか。「そうそう、これが俺の好きなSHIMA!」という感じがしました。コロナ禍でも腐らずにいてくれて、うれしくなりましたね。たぶん、お互い“ドラムが歌っている曲”が好きなんですよ。

EGACCHO あー!

会長 ドラムのフレーズが曲の中でコロコロ変わっていくから、最初に話したように、どのパートを見ても飽きないサウンドになっているんだろうなって。そこが僕の思うSHIMAのいいところ、好きなところで。今回もそれを随所に感じました。

大澤敦史(打首獄門同好会)

大澤敦史(打首獄門同好会)

EGACCHOHIKIDA うれしいです。

会長 あと、歌詞で注目したのは、「MOPPY」ですね。「俺の知ってる人で『MOPPY』と呼ばれてる人、いるな」って(※SHIMAが所属するレーベル・CAFFEINE BOMB RECORDS主宰者の愛称が「MOPPY」)。

EGACCHOHIKIDA あはは。

HIKIDA この曲はお客さんからも、タイトルだけで圧倒的にリアクションが多かったですね。「あの『MOPPY』のこと?」って。

会長 お客さんからも「あのMOPPY」って言われちゃう存在感!

HIKIDA アイコンですからね。それこそ曲にするしかないですよね。

──そこで「MOPPYさんを歌にしよう」と思うのもSHIMAらしい発想ですよね。

EGACCHO 逆にみんなMOPPYさんを曲にしないんですかね? そういう発想にならないということなんですかね?

HIKIDA 曲になってないってことはそういうことなんじゃない?

EGACCHO そっか。

会長 もしかして「実はみんな作ろうと思ってるけど、SHIMAが先にやった」みたいに思ってる?(笑)

EGACCHOHIKIDA あはは。

HIKIDA でも今回、新しい一面も垣間見えませんでした? ちょっと真面目な歌詞も書いてみたんですけど。

会長 あー、確かに。それはコロナ禍の影響なの?

HIKIDA うーん、いや、もともと持っていた部分ではあって。

EGACCHO 自分たちの中では、素直に出すというチャレンジをしてみた感じです。

HIKIDA 「面白いだけじゃないぜ」というのを見せたくなったんですよね。面白いところも出しつつ、素直な部分も出してみてもいいのかなって。引き出しは常に増やしておきたいから。自分たちではチャレンジのつもりだったけど、会長が「変わってない」と言ってくれてうれしかったです。「SHIMA、変わっちまったね」とか「どうした? 売れ線目指した?」とは思われたくはないんですよね。自然とハマっていったらいいなと思っていたので。

左から大澤敦史(打首獄門同好会)、HIKIDA YUSUKE(G, Vo / SHIMA)。

左から大澤敦史(打首獄門同好会)、HIKIDA YUSUKE(G, Vo / SHIMA)。

会長 うん、本当に違和感がなかった。もしかしたらライブの印象に近いのかもしれない。SHIMAのライブって、「面白いことします!」っていうテンションではないじゃん? MCではちゃんとそのときそのときに感じた、心に響くようなことを言うから。だからライブでのSHIMAを知っている身としては自然に受け止められるんだよね。

EGACCHO なるほど。確かにいつも、熱いMCをしたあとに「すすれ-Re麺ber-」をやって「今の熱いMC、なんやったん!?」ってなってますね(笑)。

HIKIDA 僕、EGACCHOのMCに心打たれて号泣しながら、その直後に「すすれ-Re麺ber-」のコーラスしてましたもん。「食べやすい!!」って(笑)。

会長 その逃げ場のないところも好きだけどなー(笑)。逃げ場ができてしまったと考えると惜しいなあ。熱いMCのあとは真面目な曲禁止にしたい!(笑)

EGACCHOHIKIDA あはは。

伝わらないほうが面白いということもある

──会長さんは、「FLAKES」の中で特に好きな曲を挙げるなら、やはり「MOPPY」ですか?

会長 曲の題材としてはそうですね。

HIKIDA 圧倒的にあいつだけ光っていますよね(笑)。

会長 そこはMOPPYの人間性ですよね。でももちろんMOPPYのことを知らない人も全然間違ってなくて。ただ、知らない人はMOPPYに興味を持ってほしいですね。その先に、ちょっと幸せになれる可能性があるから。

HIKIDA それで言うと、4曲目の「ISHITA」も、みんな「なんなんだろう」と感じると思うんです。“わかる人だけがわかるけど、気になる言葉”みたいなものが欲しくて。そういうものを探していたときに、EGACCHOがときどき「イシタ」という鹿児島弁を使うのを思い出して。

──「イシタ」とは、どういうときに使う言葉なのでしょうか?

EGACCHO 反射的に出る言葉です。水がかかったときとかに「イシタッ」って。僕、鹿児島弁でこれだけ抜けないんですよ。で、ちょうどいいんじゃない?って。

左から大澤敦史(打首獄門同好会)、EGACCHO(Vo / SHIMA)。

左から大澤敦史(打首獄門同好会)、EGACCHO(Vo / SHIMA)。

会長 アルファベット表記にすると、すごくカッコいいね。全然伝わらない感じもいいし。

HIKIDA 伝わらないほうが面白いということもあるのかなって。僕、余白のある曲が昔から好きなんです。自分のことに置き換えたり、「これは誰のことを歌っているんだろう」って想像したりしながら聴くのが好きで。「『ISHITA』ってなんだろう」と気になってくれた人が、自分で調べて答えを見つけたら面白いかなって。もちろん「ラーメンが好き!」っていうめちゃくちゃ限定的なのも好きなんですけどね。

会長 うわあ、一歩先を行かれたな。俺はまだその考えに至ってないもん。

HIKIDA 本当ですか!?

会長 うん、そもそもタイトルでネタバレちゃってるし。「はたらきたくない」「布団の中から出たくない」って(笑)。そこに謎解きが一切ない。これは嫉妬するなー。今後、うちがもしモヤモヤする曲を書いたら追随したのかなと思ってください(笑)。

今後も変化していくバンドだと確信した

──最後に今後のお互いのバンドに対して期待することを教えてください。

EGACCHO 「これからも仲よくしてください!」って感じですかね。いつも刺激をもらっているので、今のまま常にチャレンジしている打首獄門同好会であってほしいです。そして、これからも仲よくしてほしいです。

HIKIDA 変わらずカッコいい、憧れの大好きな人でいてほしいですね。あとは何か発明してほしい。機材かもしれないし、システムかもしれないし、音楽かもしれないし。どんなものかはわからないけど、今はまだない何かを作りそうな気がして。打首ってそう思えるバンドなんですよね。ワクワク感がある。楽しみにしているので……これからも仲よくしてください!

会長 俺もSHIMAにはビックリさせてほしいと思っていて。SHIMAがほかのバンドと何かが違うというのは、初めて観たときからずっと感じているので。それこそお互いにそんなに若いバンドじゃないのに、今回のアルバムでチャレンジしていると聞いて、やっぱり今後も変化していくバンドだと確信したし。今後もビックリさせてください。

EGACCHO ビックリさせよう!

HIKIDA うん! お互いビックリさせ合っていけたら最高ですね。

左からHIKIDA YUSUKE(G, Vo / SHIMA)、EGACCHO(Vo / SHIMA)。

左からHIKIDA YUSUKE(G, Vo / SHIMA)、EGACCHO(Vo / SHIMA)。

SHIMA ライブ情報

SHIMA「Flake of life TOUR」※各公演ゲストバンドあり

  • 2022年5月14日(土)愛知県 RAD HALL
  • 2022年5月15日(日)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
  • 2022年5月20日(金)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
  • 2022年5月21日(土)三重県 MUSIC SPACE 鈴鹿ANSWER
  • 2022年6月18日(土)青森県 LIVE HOUSE FOR ME
  • 2022年6月19日(日)秋田県 Club SWINDLE
  • 2022年6月21日(火)山形県 酒田hope
  • 2022年6月22日(水)宮城県 仙台MACANA
  • 2022年6月24日(金)埼玉県 EASYGOINGS
  • 2022年7月1日(金)山口県 LIVE rise SHUNAN
  • 2022年7月2日(土)佐賀県 SAGA GEILS
  • 2022年7月18日(月・祝)石川県 vanvanV4
  • 2022年7月23日(土)北海道 CASINO DRIVE
  • 2022年7月24日(日)北海道 BESSIE HALL
  • 2022年7月27日(水)岩手県 the five morioka
  • 2022年7月31日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2022年8月4日(木)長崎県 Studio Do!
  • 2022年8月6日(土)熊本県 Django
  • 2022年8月7日(日)福岡県 小倉FUSE
  • 2022年8月10日(水)岐阜県 yanagase ants
  • 2022年8月13日(土)長野県 LIVE HOUSE J
  • 2022年8月14日(日)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
  • 2022年8月16日(火)愛知県 豊橋club KNOT
  • 2022年8月18日(木)千葉県 千葉LOOK
  • 2022年8月19日(金)福島県 福島OUTLINE
  • 2022年9月3日(土)山梨県 KAZOO HALL
  • 2022年9月4日(日)静岡県 Shizuoka UMBER
  • 2022年9月9日(金)京都県 KYOTO MUSE
  • 2022年9月22日(木)鹿児島県 SR HALL
  • 2022年9月24日(土)宮崎県 LAZARUS
  • 2022年9月25日(日)大分県 club SPOT
  • 2022年10月1日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya 2/3(VJ-4)
  • 2022年10月2日(日)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
  • 2022年10月8日(土)香川県 DIME
  • 2022年10月10日(月・祝)愛媛県 Double-u studio
  • 2022年10月22日(土)広島県 ALMIGHTY
  • 2022年10月23日(日)島根県 APOLLO
  • 2022年11月3日(木・祝)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
  • 2022年11月20日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
  • 2022年11月23日(水・祝)福岡県 BEAT STATION

打首獄門同好会 ライブ情報

打首獄門同好会「新型コロナウイルスが憎いツアー2022」※各公演ゲストバンドあり

  • 2022年8月31日(水)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
  • 2022年9月7日(水)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2022年9月9日(金)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2022年9月27日(火)山梨県 甲府Conviction
  • 2022年10月14日(金)沖縄県 ミュージックタウン音市場
  • 2022年10月20日(木)熊本県 熊本B.9 V1
  • 2022年10月22日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2022年10月24日(月)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2022年10月26日(水)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2022年10月28日(金)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2022年10月30日(日)京都府 KYOTO MUSE
  • 2022年11月2日(水)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2022年11月10日(木)北海道 Zepp Sapporo
  • 2022年11月13日(日)青森県 青森Quarter
  • 2022年11月15日(火)秋田県 Club SWINDLE
  • 2022年11月18日(金)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2022年11月21日(月)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2022年11月26日(土)愛媛県 WStudioRED
  • 2022年11月27日(日)高知県 CARAVAN SARY

プロフィール

SHIMA(シマ)

EGACCHO(Vo)、HIKIDA YUSUKE(G, Vo)、SHINYA SYODA(Ba, Vo)、明生(Dr, Cho)の4人からなるロックバンド。2008年に福岡・北九州市で結成され、SiM、HEY-SMITH、ROTTEN GRAFFTYといったバンドのツアーサポートを経て知名度を高め、2014年1月に初の全国流通盤「SHAKE YOUR LIVES」を発表。2016年6月には1stフルアルバム「WRAINBOW」をリリースし、全国44カ所を回るツアーを開催した。2019年4月にはHEY-SMITHの猪狩秀平をプロデューサーに迎えて制作した2ndフルアルバム「BLAST」を発表。2022年5月に3rdフルアルバム「FLAKES」をリリースした。新作を携えた全国ツアーが開催されるほか、「ONEFES2022」、「COMING KOBE22」、「SATANIC CARNIVAL 2022」、「DEAD POP FESTiVAL 2022」など数々の音楽フェスへの出演も決定している。

打首獄門同好会(ウチクビゴクモンドウコウカイ)

2004年9月に大澤敦史(Vo, G)、河本あす香(Dr)、高山明(B)の3人で結成。2006年3月の高山脱退を受け、同年11月にjunko(B)が加入し現在のメンバーがそろう。2009年5月には初の全国流通作品「庶民派爆弾さん」を発表。本格的なハードロック / メタルサウンドに生活感あふれる歌詞を乗せた“生活密着型ラウドロック”が注目を浴び、幅広い支持を獲得した。同年7月に初の「FUJI ROCK FESTIVAL」出演を果たし、以降は数々の大型フェスやライブイベントで個性を発揮している。2018年3月には東京・日本武道館でのワンマンライブを実現。同年12月にjunkoが還暦を迎えたことを発表、2019年5月には農林水産大臣より「FANバサダー ROCK」に任命されるなど、音楽活動以外のニュースでも大きな話題を集める。9月には結成15周年を記念したベストアルバム「獄至十五」を発売した。2021年4月には「極主夫道」「しまじろうのわお!」「それだけがネック」といったアニメ作品とのタイアップ曲を計4曲収録したシングル「こんなバンド名だけどいいんですか」をリリースした。