“スルメサウンド”はシクラメンのモットー

──「聴けば聴くほど味が出るスルメサウンド」というシクラメンのキャッチコピーが気になりました。

DEppa　僕が作った曲はファーストインパクトがすごい弱くて、聴き込んでいくうちにどんどんよさに気付くっていうのを自分たちで感じてるんです。中には曲ができた段階で「この曲は嫌い」っていうものもあったくらいで。

──どの曲ですか？

DEppa　「大切な人へ」って曲です。自分で作った曲だけど、思いを詰め込みすぎたからか、なんかメロディが気持ち悪いなあと思ってて。でもメンバーから「いいと思うから、とりあえずレコーディングしてみようよ」って言われて、レコーディングしたら「ああ、いい曲かもしれない」って思えた。今ではライブで歌うとみんなが泣いて喜んでくれるくらい愛される歌になっています。

肉だんご　僕らの曲って、確かにライブで歌って、改めてよさに気付くことが多いんですよね。

DEppa　うん。聴けば聴くほど、ライブでやればやるほどよくなっていく……“スルメサウンド”っていうのはそういうことなんです。ただ最近はやっとファーストインパクトの強い曲が作れるようになってきた感じがしています。ただ“スルメ”っていうのは自分のモットーとして忘れずにいたいんですよね。1回聴いて終わりじゃなくて、5年10年とずっと聴いてもらえる曲にしたいと思ってるので。

──歌詞に関しては多くの人の共感を生むシンプルかつストレートな表現が多いですね。

DEppa　僕らはできるだけわかりやすくストレートに伝わる言葉を選んで歌っています。それは子供からお年寄りまで幅広い年代の人に聴いてもらいたいからで、英語も最近はたまに使うけど、基本的には使わないです。

──一方でわかりやすい言葉を選んで歌っていると「ありきたりな歌詞だ」なんて捉えられることもあると思うんですけど。

DEppa　尊敬する先輩アーティストに「お前の歌詞は空っぽだな」って言われたことがあります（笑）。ありきたりな歌詞が多いことを“空っぽ”って表現したんだと思いますけど、その先輩は「お前の歌詞は軽い。空っぽ。でもさ、案外その空っぽって正解なのかもしれないな」とも言ってました。わかりやすさはずっと大切にしていきたいと思います。

ファンとの距離感を大切に

──ライブハウスやホール以外に、ショッピングモールでも継続してライブをやっているそうですね。

DEppa　はい。インストアライブは毎年50本以上やっています。

──インストアライブでは普段ライブハウスに足を運ばないような人にも観てもらうチャンスがありますよね。

DEppa　そうですね。親子連れでライブハウスに来てくれる方がたくさんいるんですけど、もともとインストアライブで僕たちのことを知ったって人が多いんです。インストアライブをやるときはファンの人を大事にしつつ、道すがらの人の足を止めさせたいから、キャッチーな楽曲を選んで歌うことが多いです。

──ライブハウスだとどうなるんですか？

肉だんご　来てくれるファンは全員味方だから、一緒に楽しもうという気持ちのほうが強いです。

DEppa　なるべく後ろのほうにいる人にも遠く感じさせないように大きな会場での距離感は意識しています。

桃紅茶　フロアにいるすべてのお客さんに楽しんでもらえるように会場全体のお客さんに視線を向けて歌ったり、MCで積極的に語りかけたりしています。

DEppa　 前にいたらステージとの距離が近くていいけど、2階からだと会場全体の盛り上がりとか一体感を目の当たりにできるんで、それもまた面白いと思います。

──なるほど。3月からは新たなツアー「Geisha Dragon Tour ～序～」が始まりますね。

肉だんご　このツアーは今までやったことのないクラブツアーです。1日2回公演で各地を回るので、たくさんの人に会えることを楽しみにしてます。

DEppa　タイトルだけではどんな内容になるか想像がつかないと思うんですが、「SAMURIDER」からの流れを受けたクラブ系のノリを期待していただきつつ、新たなシクラメンのライブスタイルを提案したいと思います。

──では最後に読者にメッセージをお願いします。

DEppa　つらいとき、1人でいるときにいつも誰かがそばにいることは難しいけど、音楽はどんなときでも聴けるし、力になります。僕らは音楽の力を信じていますし、歌には必ず世界を変える力、人を救う力があると思っています。「誰かのためになる音楽」を奏で続けることがシクラメンの役目だと思って、より多くの人に聴いてもらえるようにこれからもがんばっていきたいです。