ナタリー PowerPush - 色即ぜねれいしょん
今、くすぶっているすべての人々へ。心熱くする青春映画、誕生。田口トモロヲ&渡辺大知インタビュー
映画が終わっても「どうしようかな」という気持ちは続く(トモロヲ)
──音楽についても伺いたいんですが、主題歌は村八分「どうしようかな」のカバーですよね。この曲はトモロヲさんが選んだんですか?
田口 はい。
──これはどういう理由で?
田口 ええと、この映画の舞台が70年代の京都ですから、その頃にもっとも先鋭的で、京都に関係するバンドといえば村八分だろう、っていうことで。頭脳警察という案もあったんですけど、でも京都っていう土壌を考えるとやっぱり西部講堂にたくさん出ていた村八分かなと。当時はロックと言っても、日本の場合は芸能界的な形で捉えられていて、村八分はそれを打破しようとして、東京のバンドなのに最先端だった京都に集合したわけです。純度が高かった故に短命に終わってしまったんですけど。それで曲とか詞とかを考えていくと「どうしようかな」っていうのが、この映画のテーマにぴったりだな、と思って。
──確かに青春時代の迷いみたいなものに通じるところがありますね。
田口 そう、映画のストーリーが終わって、ちょっとだけ世界を広く見ることができて、自己解放はできたけれども「どうしようかな」って気持ちはまだ続くっていう。まだ過程なんですよね。だからエンディングテーマは「どうしようかな」しかないなって。それで、1974年と2009年を結ぶために、今の出演者達にこの曲を歌ってもらいたいと思ったんです。
──映画が終わってエンドロールになってもまだ迷ってるんですね。
田口 うん。結論は出ていない映画なので。エンディングテーマの最後の最後まで、観て聴いてほしいっていう意味も込めて、これを最後にぶつけました。
──大知さんはこの主題歌についてはどうですか?
渡辺 もともと大好きな曲だったので「来たか!」っていう感じでした。
田口 学園祭とかで歌ってたんだよね?
渡辺 あ、はい、そうです。高校2年生くらいのときに学校で歌ったりしていて。
──さすが黒猫チェルシー、渋いですね(笑)。
渡辺 でも、レコーディングで残念だったのが、スケジュールがあわなくて、岸田さんと峯田さんとは別の日に1人で歌ったんです。ふたりはどういう歌い方をするのかな、とか思いながら。
──じゃあ岸田さんと峯田さんのボーカルは聴けずに?
渡辺 そうです、わからないまま歌ってみて、あとで完成した曲を聴いて「うわ、こんな歌い方してるんだ」って。ふたりはすごく楽しんで歌ってたんで、なんかいいなあ、と思いました。
──(笑)。
渡辺 本当に、歌い方すら「どうしようかな」っていう、そんな感じでしたね。
映画「色即ぜねれいしょん」
- 出演:
- 渡辺大知(黒猫チェルシー)、峯田和伸(銀杏BOYZ)、岸田繁(くるり)、堀ちえみ、リリー・フランキー、臼田あさ美、石橋杏奈、森岡龍、森田直幸、大杉漣、宮藤官九郎、木村祐一、塩見三省
- 監督:
- 田口トモロヲ(「アイデン&ティティ」)
- 原作:
- みうらじゅん(光文社文庫刊)
- 脚本:
- 向井康介(「リンダ リンダ リンダ」)
- 音楽:
- 大友良英
スペースシャワーTV20周年記念作品 / タワーレコード30周年記念作品 / KBS京都テレビ開局40周年記念作品 / ユースホステル誕生100周年記念作品
2009 / 日本 / カラー / 35mm / 114min / ビスタサイズ / DTSステレオ
8月15日(土)よりシネセゾン渋谷、新宿バルト9、吉祥寺バウスシアターほか全国公開。
8月8日(土)より梅田ガーデンシネマ、なんばパークスシネマ、シネリーブル神戸ほか関西先行ロードショー。
8月7日(金)にMOVIX京都にて“前夜祭”イベント開催決定。
© 2009「色即ぜねれいしょんズ」