音楽ナタリー Power Push - Shiggy Jr.

“ポップでポップなバンド”手がける究極のポップアルバム

1年半分の全部が詰まってる

──「サマータイムラブ」(2015年6月発売)でメジャーデビューしてからはわりと打ち込み系の曲を多く発表していたと思うんですが、アルバム曲はバンドサウンドをフィーチャーした曲も多いですね。

Shiggy Jr.

池田 私たちがやりたいのは打ち込み系の曲だけじゃなかったから、アルバムというパッケージでやりたいことが全部詰め込めた感じです。「シギーはこういうことがやりたいんだよ」っていうのがちゃんと形にできましたね。

──シングル曲や代表曲となった「LISTEN TO THE MUSIC」も入っていますけど、半分ぐらいが新曲ですよね。

原田 アルバム曲は書き下ろしのものと昔からある曲が半々くらいですね。「スタート」と「ホットチリソース」は今年に入ってから完成した曲です。

池田 「HOME」は「Saturday night to Sunday morning」(2013年11月発売「Shiggy Jr. is not a child.」収録曲)と同じ頃にはあった曲だし。

──インディーズ時代の曲も、メジャーになってからの曲も全部パッケージされた、Shiggy Jr.の歴史が詰まった1枚になってるんですね。

 そうですね。あと「サマータイムラブ」と、「ホットチリソース」や「スタート」でレコーディングした時期が1年以上違うので、楽器の演奏のクオリティが全然違うんですよ。

原田 「サマータイムラブ」とか「keep on raining」とかなんか若いよね(笑)。

諸石 うん(笑)。演奏スキルの面だけで言うと、前の音源と比べて今のほうがいいって納得できる。

──池田さんのボーカルも昔よりもすごく感情が乗ってるように聞こえたんですよね。

池田 わあー、うれしい!

原田 池田は前と歌い方が変わったかもね。「ニィー」って歌い方をしなくなった。

池田 ああ、そうだね。前は鼻にかかったキンキンした声だったんですけど、ライブをやっていく中で音源として成立してもライブだと、私的にはすごく気持ちいいけどお客さんには届かない声があることがだんだんわかってきて。それを直したくて特訓して。今「サマータイムラブ」を聴くと「声が固いな」とか「リズムの取り方わかってなかったんだな」とか思うんです。よく言えば初々しさなんですけど、なんか緊張してたなって。昔から誰が歌ってるかわからないくらいボーカルの感じを変えたいっていう思いがあって。「私が歌ってるよ」っていうことよりも、曲の世界が最大限に出る歌い方がしたかった。

森夏彦(B)

 池田は声が太くなったよね。周りの人からよく言われるよ。

──4人の成長が詰まったアルバムなんですね。

 まさにそうですね。

原田 うん。1年半分の全部入ってますからね。

 デビューしてからのすべてがね。サウンドだけじゃなくて、雰囲気までもが詰め込まれてると思います。

食えなくなったらダメ

──今作を聴いていて、シギーが演奏してる絵がすごく浮かぶなと思いました。

原田 それは音源で完結させたくなかったからかもしれないです。ライブで演奏することを想定して作った曲もあるので。ここ何年もCDが売れないみたいな風潮があるので、いいライブをしてお客さんに来てもらう方向になっていかなきゃいけないなと思っていて。それならライブもイメージできる作品にしたほうがいいなって。

──時代の流れを汲んだサウンド作りになってるんですね。

原田 食えなくなったらダメなんで(笑)。そこは絶対ですね。

──歌詞の面でも変化があるなと思いました。今までの曲ってわりと「音楽を聴いているこの瞬間を楽しもう!」みたいなメッセージが多かったように感じていて。だけど今作に入っている「手紙」や「スタート」はそれよりもリスナーの心に寄り添うような歌詞になったと思いました。

原田茂幸(G, Cho)

原田 僕は「楽しければなんでもいいじゃん! 今を楽しもうよ!」っていうのが好きだから、わりとそういう曲が多かったんですよね。今回はアルバムだからリスナーの心に寄り添ったような曲も入れられたんだと思います。

池田 「HOME」から「keep on raining」の流れは完全に“エモパート”だよね。「手紙」なんかはすごく感情が乗って歌いながら泣きそうだったよ。

原田 じゃあもうちょっとバラード書くわ。なんかあんまり作ってこなかったけど、こういう曲もシングルにすればいいのかも。

 バラードって名曲が多いから、出すなら名曲がいいもんね。

原田 うん。メロがものすごく大事になってくる。あとさっき話したように「今を楽しもうよ!」っていう歌詞よりも心にグッとくるような歌詞がいいなと思うから歌詞を考えるのも難しいんだよね。でもがんばります。

1stフルアルバム「ALL ABOUT POP」2016年10月26日発売 / UNIVERSAL SIGMA
初回限定盤 [CD+DVD] / 3980円 / UMCK-9866
通常盤 [CD] / 2800円 / UMCK-1555
CD収録曲
  1. サマータイムラブ
  2. 恋したらベイベー
  3. ホットチリソース
  4. I like it
  5. dynamite
  6. GHOST PARTY
  7. HOME
  8. 手紙
  9. スタート
  10. keep on raining
  11. Beautiful Life
  12. groove tonight
  13. LISTEN TO THE MUSIC (ALL ABOUT POP ver.)
初回限定盤DVD収録内容
  • Shiggy Jr. presents「“対バン”スかこれ。vol.1 @恵比寿LIQUIDROOM」LIVE映像
  1. 恋したらベイベー
  2. oyasumi
  3. dance floor
  4. day trip
  5. keep on raining
  6. サマータイムラブ
  7. LISTEN TO THE MUSIC
  8. Saturday night to Sunday morning (with Negicco)
  9. TOWN
  • Documentary of Shiggy Jr.
ライブ情報
Shiggy Jr. presents 「“対バン”スかこれ。 vol.2」
  • 2016年10月27日(木)石川県 vanvanV4
    <出演者>
    Shiggy Jr. / Awesome City Club
  • 2016年11月2日(水)宮城県 MACANA
    <出演者>
    Shiggy Jr. / and more
  • 2016年11月5日(土)北海道 cube garden
    <出演者>
    Shiggy Jr. / アカシック
  • 2016年11月9日(水)愛知県 ell.FITS ALL
    <出演者>
    Shiggy Jr. / ココロオークション / ポタリ
  • 2016年11月10日(木)高知県 高松MONSTER
    <出演者>
    Shiggy Jr. / ココロオークション
  • 2016年11月12日(土)福岡県 DRUM SON
    <出演者>
    Shiggy Jr. / and more
Shiggy Jr.(シギージュニア)
キャプション

池田智子(Vo)、原田茂幸(G, Cho)、森夏彦(B)、諸石和馬(Dr)からなるポップバンド。2012年12月、池田と原田を中心に結成。2013年11月にリリースした1stミニアルバム「Shiggy Jr. is not a child.」がSNSを中心に話題となり注目を集める。2014年2月に森、諸石が加入して現体制となり、同年7月に2ndミニアルバム「LISTEN TO THE MUSIC」をリリース。江口寿史がジャケットにイラストを描き下ろしたことも話題となり、インディーズとしては異例のヒットを記録した。2015年6月に1stシングル「サマータイムラブ」でユニバーサルシグマよりメジャーデビュー。同年10月に2ndシングル「GHOST PARTY」を発表し、11月から12月にかけて初の全国ワンマンツアーを開催した。2016年10月に1stフルアルバム「ALL ABOUT POP」をリリースする。