Interview

デビューしてからの濃密な時間、“やっと出せた”フルアルバム

──シングル「サマータイムラブ」（2015年6月発売）でメジャーデビューして、1年4カ月。音楽ナタリーでシギーの皆さんに作品の話をしてもらうのはデビュータイミング以来なんですが、フルアルバムリリースまでの1年4カ月はどうでしたか？

池田智子（Vo）　めちゃくちゃ濃かったです。まだ1年ちょっとしか経ってないんだって思うくらい濃厚すぎて時間軸が変になっちゃった感じ。制作環境も変わったし、考えなきゃいけないことも変わってきたりとかして。

森夏彦（B）　いっぱいいっぱいだったような気がします（笑）。

池田　なんかずーっと制作してた気がするよね。

諸石和馬（Dr）　うん。あとずっとライブをやってたよね。ライブ、制作、ライブ、制作……っていう繰り返し。スピッツさんのイベントに出させてもらったり、フェスに出たりして刺激的なライブも多かったし。

池田　そうだね。振り返ると本当に駆け抜けた1年だったね。

──原田さんは作詞作曲をすべて手がけていますが、自分が作った曲が全国で流れるようになったことについてどう思ってますか？

原田茂幸（G, Cho）　メジャーデビューや全国区でオンエアされてることについて興奮はあんまりしないんですよ。とにかくずっと曲を作り続けてるんで、周囲の影響をあまり感じてないんですよね。本当に地続きというか。

池田　生活変わらないもんね。茂幸くんって職人気質だよね。

原田　前よりは制作にスピード感があったりするぐらいで全然変わらないんですよ（笑）。

──そしてファン待望の1stフルアルバム「ALL ABOUT POP」が完成しました。

池田　やっと出せて本当にうれしい！ 実は去年の夏から制作していて。もうずーっとずーっと出したかったんです。本当はもうちょっと早いタイミングでリリースする予定だったんですけど、いろいろあってこのタイミングになって。でも今はこのタイミングでリリースできてよかったなと思っているんです。メジャーデビューをしてライブができる場所や曲を流してもらう場所がどんどん有名なところになっていって、徐々に自分たちの名前や音楽が広まっていってる感じがする一方で、私たちは「まだまだできる！」「もっと聴いてもらえるはず！」っていう思いが沸々とし始めて。いろいろ経験して夢が明確になったこのタイミングでフルアルバムが出せるのは本当によかったなと思っています。

どれを聴いてもシギーっぽい名刺代わりの1枚

──タイトルの「ALL ABOUT POP」って、直訳すると「ポップスのすべて」ですよね。「ポップでポップなバンド」と謳ってきたシギーにとって、これ以上ないくらいぴったりな言葉だなと思いました。

森　改めてすげえアルバムタイトルだなあと思いますね。

池田　いやあ、ポップを背負ったよね。

諸石　背負ってしまったねえ。

池田　シギーは今までずっと「ポップでキャッチーだったらなんでもやりたい！」っていう気持ちで制作を続けていて。「ALL ABOUT POP」はまさにシギーがやりたかった音楽を詰め込んだ作品になったなと思います。

諸石　そうだね。「ALL ABOUT POP」というタイトルの通りというか、全曲ポップスというくくりではあるんですけど、ダンスミュージックとかR&Bとかいろんなジャンルの曲が入っていて。

森　ダンスミュージックもあれば、ドゥーワップみたいなものもあったり、アコギの弾き語りも入ってたり。でもどれを聴いてもシギーっぽいというか、“シゲの曲で池田が歌う”だけでこんなにシギーらしくなるっていうのが表現できたかなと。やっと名刺代わりの1枚ができたと自信を持って言えます。

──原田さんは完成してみていかがですか？

原田　制作を通していろんなことがわかった1枚でした。いろんなことっていうのは、フルアルバムを作るスケジュールの立て方だったり、いろんなアレンジャーが参加してくれているので、その人たちそれぞれのやり方を知ったり。レコーディングではエンジニアによってこんなに変わるのかとか。すごく勉強になりましたね。

諸石　俺もプレイヤーとして勉強になったアルバムですね。全曲のジャンルが違うから、それぞれの曲で機材やリズムの取り方も違って、それを習得することでスキルアップできた。この1枚が完成したことで自分がすごく成長できたかなと思います。

池田　今までシングルとミニアルバムしか出したことがなかったし、フルアルバムを作るのにこんなにエネルギーを使うのか……と思いました。手を抜いたところは一切ない。本当に自信を持って「聴いてください」って言えるアルバムができて幸せです。