音楽ナタリー Power Push - Shiggy Jr.
「みんなの共通項になりたい」“国民的ポップス志向”バンドがメジャー進出
シティポップってなんだ!?論議
──少し気になったんですけど、自分たちはシティポップ村にいるバンドではないという感覚?
諸石 違うよねえー。違うと思う。
原田 インディーの1枚目はまだシティポップって言われてもわかるけど、2枚目になるともうシティポップじゃないし……。
森 「LISTEN~」はEDMだよね(笑)。
諸石 だよねー(笑)。
池田 別に言われるのが嫌なわけじゃない。
原田 そうそう、嫌じゃないんだけど、うちらってシティポップなんだ?みたいな(笑)。
諸石 てかね今のシティポップって、たぶん音楽ジャンルの話じゃなくて、シーンの話で。
原田 あー東京音楽みたいなやつ?
諸石 キーワード的に東京、音楽、インターネット使って出てきたみたいなのが。
池田 私の中のシティポップの定義っていうかイメージは、山下達郎さんで。達郎さんがこうあってほしいっていう理想の街の風景とかを歌っているみたいな……。
諸石 オーサム(Awesome City Club)もそうだよね。
池田 そういうイメージがあって。だから田舎にいてもそういうの聴くと、“都会っぽい俺”みたいなモードになれたりする……のかな?と思ってたのね。なんか前に私たちがシティポップってあまりにも言われるから、なんなんだろうって調べてみて、ブログか何かで読んだの。でも今言われてるシティポップはそれとも違うじゃん。
森 なんか違うよねえ。コードがクールな感じで、ちょっとアーバンでミドルテンポなポップス、もう全部「シティポップ」って言われてない?
原田 あーわかる! わかるわそれ(笑)。
諸石 ごちゃ混ぜだよね。
森 たぶん2年前とかもうちょい前はさ、わかりやすくシティポップっていう人いたよね。今はもう全部シティポップになってるから。そういう意味では俺らも今シティポップなのかもしんないけど(笑)。
池田 一十三十一さんはシティポップだよね?
森 完全にシティポップでしょ。ちょっと硬質な感じがする……かな俺のイメージでは。
池田 ああーちょっと無機質?
森 うんうん。
原田 今回のシングルで言うと「keep on raining」はシティポップっぽいっちゃぽい?
諸石 シティポップかこれ!? 違うよー(笑)。
森 ポップスでしょ(笑)。
諸石 ポップスだよこれは。
池田 じゃあ「baby I love you」は?
諸石 あれはシティポップだと思う。
原田 いやホントに!?
池田 「サンキュー」は?
原田 シティポップ感あるな俺は。
諸石 あれはポップでしょ、ポップスだよ。
原田 え、じゃあ何がシティポップスなの?
諸石 「baby~」は音像の話なら……。
森 うん、音像の感じはシティポップ。
諸石 「baby~」は音像はすごいシティポップっぽいし。コードの感じとか。
池田 夜のライブで聴いて、しっくりくるやつ?
原田 俺の思ってるシティポップはアコギとかなんだけど。
森 あ、ちげーわじゃあ俺。
池田 ちがーう。
諸石 メロじゃないかな。なんかちょっと浮遊感があるというか。
原田 ああー。
諸石 「サマータイムラブ」は絶対シティポップじゃないでしょ。
森 あれはディスコだよ。
池田 っていうくらいよくわかんないね(笑)。
みんなの共通項になりたい
──さっきの池田さんの見解……音楽シーンの中にいろんな村があって、個々の村に住人がいて、村を越えた共通項を欲しているというのは私も同感です。その中でShiggy Jr.はどんな存在になりたいですか?
池田 どの村の人もみんないいって思う場所にいたい。みんなの共通項になりたい。メタル好きな人もアイドル好きな人も音楽を聴かない人も、みんなが好きって思えるもの。それがポップスだって思ってます。そういう人たちがパッて集められたら話すことないかもしれないけど、そこでShiggyが流れたら、「あ、この曲いいですね」って友達になれるようなところがポップスのいいところだし、そうなりたいと私は思っているので。Shiggyはそこに行きたいです。
森 どこにでも行きたいよね。
池田 そう、どこにでも行きたいね。
諸石 日本人ってメロディがいいものを幼少期から聴いて育つと思うんですね。そういう意味ではシゲの作る曲もメロが突き抜けてるし、みんなが知ってるような位置に行けたらいいなと。
──万人に好まれる曲を作らなきゃっていうプレッシャーはないですか?
原田 まあプレッシャーはありますよ。今に始まったことじゃなく昔からずっと。いいものを作んないとダメだし、中途半端なものは世に出せないっていう。「サマータイムラブ」も同じですけど、メジャーの1stなんで“これがShiggy Jr.ですよ”みたいな気持ちで作りました。
──おしまいに今後の抱負というところなんですが、ほかのインタビューでよく「毎年ホールツアーをやれるようになりたい」と話してますよね。アリーナやドームじゃなくてホールってところに何か理由はあるのかな?と思って。
原田 単純に長く続けたいっていうビジョンがあるので、そういうバンドはホールツアーが多いかなって。でもアリーナとかやりたいよね?
池田 うん、やりたい。とにかく長く続けて、例えば20年後も「普通に今年もやるよ」ぐらいのテンションでツアーしたいね。お客さんも一緒に老けてほしい。
森 うんうん。
諸石 確かに。
池田 こないだ神戸のライブで、初めて会ったとき中3だった子が高校の制服着て「受かったよ」って来てくれたんですよ。それがすごいうれしくて。ずっと続けたら、ちっちゃかった子が「結婚するんです」とか言うくらいになったりして……もう泣いちゃうよね絶対。
──旦那さんや奥さんを連れてきたり、産んだ子供を連れてきたり。
池田 そう、そうなりたい。ウルフルズとかさ、そうだよね。
原田 ずっと売れ続けてる人ってそうだよね。
諸石 いきものがかりとかね。
原田 ケツメイシもそうだよね。
池田 そういうの最高じゃない? いいなあ。目標1つ増えました!
- メジャーデビューシングル「サマータイムラブ」 / 2015年6月24日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤[CD+DVD] / 1620円 / UMCK-9747
- 通常盤[CD] / 1080円 / UMCK-5575
CD収録曲
- サマータイムラブ
- keep on raining
- サマータイムラブ(□□□ remix)
- サマータイムラブ(instrumental)
- keep on raining(instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- 「サマータイムラブ」music video
- 「サマータイムラブ」making of music video & photo session
Shiggy Jr.(シギージュニア)
池田智子(Vo)、原田茂幸(G, Cho)、森夏彦(B)、諸石和馬(Dr)からなるポップバンド。2012年12月、池田と原田を中心に結成。2013年11月にリリースした1stミニアルバム「Shiggy Jr. is not a child.」がWEBを中心に話題となり注目を集める。2014年2月に森、諸石が加入して現体制となり、同年7月に2ndミニアルバム「LISTEN TO THE MUSIC」をリリース。江口寿史がジャケットにイラストを描き下ろしたことも話題となり、インディーズとしては異例のヒットを記録した。2015年6月に1stシングル「サマータイムラブ」でユニバーサルシグマよりメジャーデビューを果たし、7月1日には東京・渋谷CLUB QUATTROで初のワンマンライブを開催する。