音楽ナタリー Power Push - Shiggy Jr.
「みんなの共通項になりたい」“国民的ポップス志向”バンドがメジャー進出
暗いの合わなくないですか? Shiggy Jr.
──SMAPの場合、曲はいろんな作家から提供されますけど、Shiggyは4人を中心にやっていくわけですよね。中でも原田さんが骨子を作っています。原田さんの作る曲について聞きたいんですが、作詞作曲はいつどんなきっかけで始めたんですか?
原田 中3くらいですかね。YUIが好きで、その影響でギターを始めたんです。ギター始めたときから僕は自分の曲を歌いたかったんで、そこからずっと作ってます。
──なぜここまで耳なじみのいいポップな曲が、それもキャリアの初期から生み出せているのか不思議だったんです。ものすごいレコードマニアとか宅録少年とかいうわけではないんですよね?
原田 あー全然(笑)。
──天性のものだけでもないと思いますし……。
原田 基本的に好きだからじゃないですか? 自分自身、みんながよく聴くポップな音楽が好きなんで、何をどうしても自分の曲もそういうふうになるっていうか。
池田 茂幸くんは、才能もあるけどすごい努力もしてるので、だから書けるんだと思います。1曲生み出すまでにボツにする曲もいっぱいあって世に出てるのはホントに少しなんですよ。
原田 それはホントにそう。
池田 「いい」ってなるまでにはきっと見えない部分でいろんなことがあって。もちろんポップな音楽が本当に好きなのもあるし、そういうのが作りたいからそこまで努力できるんだろうし。茂幸くんってホントに365日朝から晩まで作ってるじゃん。それができる人ってすごい少ないと思っていて。それがすごいなあって私は思ってる。
原田 ありがとうございます(笑)。
──ほかのメンバーは、原田さんの作る曲に昔と今で変わったところがあるとしたらどこだと思いますか?
池田 私は歌詞。前は歌詞に対して「リズムがよければそれでいいよ」みたいな感じだったんですけど、最近の茂幸くんは歌詞がすごい大事っていうモードになっていて。それはもらったデモからも感じます。
諸石 まあ池田が一番聴いてるからね。
原田 うん。最近は歌詞っすね、なんか。
池田 ね。前は響きとリズム重視だったのに。
原田 今回のメジャーデビューにあたって変わったかな。会社の人からいろいろ言われながら作るんで。初めは嫌だったっていうか(笑)、今までの自分のやり方でやりたかったんだけど、言われながらやってみて最終的にすごいよくなったなあって感じたんで。そこから歌詞をちゃんとしようっていう気持ちになりました。
──逆に一貫して変わらないところ、すべての曲に共通する点はなんでしょう?
諸石 メロがいいすね。
森 純ポップスっていうところ。あと明るい曲が多い。ちょっとしっとりした曲もなくはないけど、これだ!って持ってくる曲、リード曲、シングルはだいたい明るくて楽しい感じです。それは共通してる気がします。
──それは意図して明るい曲を作ってるんですか?
原田 だって暗いの合わなくないですか? Shiggy Jr.(笑)。
一同 あはは(笑)。
池田 どういう顔でライブするんだろう。
原田 あと、僕自身が基本的に音楽聴いて凹みたくないんで。聴いて楽しくなれるものがいいなって思うんで、音像的には楽しそうな感じになります。やっぱり人の心をグッとつかめるやつは、僕の中では明るくて、こういう感じ。
池田 元気ないバンドなのかなって思われちゃうのは避けたくて。なんでかって言うときっと今はまだ「私たちはこうです」っていうベーシックな部分をまだまだ見せていかないといけないときなんですよね。だから“こういう日もあるよね”みたいな曲が追々出ることもあるかもしれないけど、今は明るい曲がやりたいし、そのライブも楽しいです。
歌のテストだけは全然嫌じゃなくて「好きなのかも」
──明るい曲が多いのは、池田さんの声質に合わせている部分もきっと大きいですよね。
原田 それはありますね。
──今度は池田さんに歌について聞かせてください。最初に、歌うのが特別好きだと自覚したのは?
池田 歌は小さいときからずーっと好きで、毎日毎日歌ってて、大人になるまで歌わない日がなくて。でもそれはみんなそうだと思ってたんですよ。で、「あ、私、人より歌好きなのかも」と思ったのは、小学校の歌のテストのとき。1人ずつ前に出て歌わされるんですけど、私もともと目立つことがそんなに好きじゃなくて。だから何かを発表するのも当てられないとやらないっていう感じだったんですけど、歌のテストだけは全然嫌じゃなくて。先生も褒めてくれるし、毎回すっごい楽しみだったんですよ。そのときだけ嫌じゃないってことは歌が好きなのかなって思いました。あとは小学生から今まで、CDを買ってはコンポから出てくる声にかぶせて、いかに似せて歌うかっていうのを日々やってますね。
──お仕事にしようと思ったのはいつぐらいですか?
池田 大学を卒業して、就活がうまくいかなくて路頭に迷ったとき、なんでうまくいかないんだろうって考えて、たぶん本当にやりたいことをやってないからだなあって思って。本当は音楽がやりたかったんですけど、音楽で食べていける人はそんなにいないだろうなと思って、見ないようにしていて。でも就活をやるだけやってうまくいかなかったんで、どうせ大変なら好きなことで大変な思いしたいなって考えたときにお仕事にしようと思いました。その直後に茂幸くんに会ったんです。だからすごいタイミングでした。
──じゃあこれまでの“ボーカル人生”で一番のターニングポイントというと……。
池田 茂幸くんに会ったことだと思います。私は曲が作れないし、詞も書けないんで。それができる人で、かつ音楽の感じが声に合って、モチベーションも合う人がいたら最高だなって思ってたら会えたから。これはもう、やるしかないなって。それからはワーッて一直線です。
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- メジャーデビューシングル「サマータイムラブ」 / 2015年6月24日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤[CD+DVD] / 1620円 / UMCK-9747
- 通常盤[CD] / 1080円 / UMCK-5575
CD収録曲
- サマータイムラブ
- keep on raining
- サマータイムラブ(□□□ remix)
- サマータイムラブ(instrumental)
- keep on raining(instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- 「サマータイムラブ」music video
- 「サマータイムラブ」making of music video & photo session
Shiggy Jr.(シギージュニア)
池田智子(Vo)、原田茂幸(G, Cho)、森夏彦(B)、諸石和馬(Dr)からなるポップバンド。2012年12月、池田と原田を中心に結成。2013年11月にリリースした1stミニアルバム「Shiggy Jr. is not a child.」がWEBを中心に話題となり注目を集める。2014年2月に森、諸石が加入して現体制となり、同年7月に2ndミニアルバム「LISTEN TO THE MUSIC」をリリース。江口寿史がジャケットにイラストを描き下ろしたことも話題となり、インディーズとしては異例のヒットを記録した。2015年6月に1stシングル「サマータイムラブ」でユニバーサルシグマよりメジャーデビューを果たし、7月1日には東京・渋谷CLUB QUATTROで初のワンマンライブを開催する。