SHE'S|自信を更新して提示する、これがSHE'Sの核

エルレに「おかえり」って気持ちで書いた曲

──カップリングの「Come Back」も、音楽そのものの素晴らしさや、そもそもSHE'Sが持っていたバンドとしての願望のようなものを思い出そうとしている感じがします。

井上 自然とこうなりましたね。「シングル3曲の中で物語が作れたら」「変化が付けられたら」みたいなことはまったく考えず、そのときにやりたい曲をただ入れたっていう。「Come Back」は僕がバンドを始めるきっかけになったELLEGARDENがめでたく復活したから、「おかえり」って気持ちでシンプルに書いたんです。もちろん、自分の「変わらない過去」を思い出しながら。英詞の部分は「初めてエルレ聴いたときは13歳やった。そこから13年が経った。人生を変えてくれた。いつでも指針になってます」ということを歌ってて、「Hey I'm on your side」のラインはエルレの「風の日」から引用してるんですよ。

──そうだったんですね! では、もう1つのカップリング「月は美しく」はどんな曲になりましたか?

井上 これもシンプルにピアノ弾き語りで作っていったけど、ミニマム感がすごく好きです。「あなたに会いたい」なんて言葉、今までやったら絶対書かへんかったのに、そうした恥ずかしさや制限がなくなっていってるのが楽しくて。いろんな角度で曲を書けてるし、今回の3曲はナチュラルにスピーディに作れたんですよね。

服部栞汰(G)

広瀬 最近は曲を作るペースに無理がないよね。生活の一部みたいに竜馬がコンスタントにやれてる感じがします。

木村 迷いがないって言うか、曲のイメージもけっこうできてる状態で作ってくるもんね。

服部 竜馬はさ、「歓びの陽」ができてからはやりたい曲をポンと持ってくるようになったよな。俺らもより楽しく作っていけてる気がする。ミニマム感もそうやし、「月は美しく」のギターサウンドは1950~60年代っぽいアプローチをしてみたりしたんです。ハコモノのギターで弾いてるイメージ。「歓びの陽」が新しいトーンやったんで。

──ギターソロあたりの雰囲気はめちゃくちゃいいですよね。

井上 最高ですね。

服部 今までやったことがないくらいの柔らかいタッチで弾いて、ブルージーな感じを出して、音作りもちょっとトレモロかけても、SHE'Sのサウンドになるんですよね。実際ギブソンのセミアコES-335を弾いて、アンプも何個も使い分けていて。サステインも極力短くしました。そういう音作りは、この2年くらいで磨かれたところなのかも。

肩の力を抜いて、もっと音楽を楽しんで作っていけそう

──ちなみに、「The Everglow」というタイトルは1stシングルの「Morning Glow」を意識してますか?

井上 いや、してないですね。でも「The Everglow」という曲はずーっと前から作りたいと思ってたんですよ。SHE'Sを始めるきっかけになったアメリカのMaeってピアノエモバンドがいて、彼らの2ndアルバムが「The Everglow」ってタイトルなんです。その作品にすごく衝撃を受けたから「いつかは自分たちもその名にふさわしい曲が書けたらな」って。

──SHE'Sが今バンドとして立ち返るようなタイミングにあって、「Morning Glow」を文字ったタイトルにしたのかと思いました。

井上 なるほど。まあ、「Morning Glow」はまだ見ぬ「The Everglow」を意識して書いた曲ですし、立ち返るタイミングではありましたよ。エレクトロサウンドに挑戦した「歓びの陽」をシングルで出せたからこそ、かな。やっぱりいろんな反響があったんで。この新しいアプローチを喜んでくれる人もいれば……。

木村雅人(Dr)

広瀬 「SHE'S、今後はエレクトロの方向でいくんかな?」みたいな声もね(笑)。

井上 あったね。だから「歓びの陽」はあのときにやりたかった曲であって、「この方向だけでいくってわけじゃないよ」とわかってほしかったんです。それで今回はSHE'Sの原点となる音楽性を出したいと思ってたから、自然と影響を受けたバンドのエッセンスも出ましたね(笑)。間奏のギターソロ明けの展開は僕の中でやりたかったことで、まさに「The Everglow」感があるし。

──というのは?

井上 ブリッジ部分のバックで、今まで作ってきた曲のメロディが交互に鳴ってるんです。「Voice」の「Catch your voices」って部分とか、「Long Goodbye」の「This is long goodbye」の部分とか。

広瀬 そこに「Morning Glow」の「手放さないで」のメロディも入ってるもんな。

井上 「Un-science」の「Love lives in wonder」もね、そのままのメロディと歌詞で入れて。「その曲たちを作った頃の思い出もずっと輝いていくよ」という意味も込めてます。これってたぶん、結成20周年くらいの大御所がやることなんですけど(笑)。

全員 あはははは!(笑)

──そのくらい堂々としたバンドになってきてるってことですよね。

広瀬 どっしりとはしてきましたね。遊び心もありつつ。ベースは「Come Back」のAメロ、Bメロ部分をお茶目と言うか、ワクワクできる感じにできたらいいなと思って弾いてます。

──今回のシングルが出来上がって、改めてどんな自信が生まれてきてますか?

井上 「The Everglow」でSHE'Sの核を提示できたからこそ、また今後の作品でいろんな音楽的なチャレンジをやっていけると思います。「歓びの陽」を出す前にあった「どんな受け取られ方するんやろ?」みたいな不安がなくなった。もっともっと音楽を、肩の力を抜いて楽しんで作れそうになってきてる感じです。そういう曲のほうがリスナーにも届きやすいんちゃうかなと。

広瀬 これまでも自信がなかったわけじゃないけど、その自信をまた更新できたと思いますね。今回の3曲もどんどんセットリストに入れていきたいし。

服部 「ピアノロックバンドと言えばSHE'S」と思わせたい、というのはずっと目標にあるんですけど、その実現がどんどん近づいてきてるなと。近作ではより幅広い音楽性も提示できてるし、そこを目指す自信が今回のシングルでまた増した感じです。

木村 すごくSHE'Sらしい作品ができた一方で、フレーズ1つひとつをよく聴くと新しい要素もたくさん入ってたりするんですよね。なので、聴き応えがあると思います。

井上 自然体でありつつ、目の前のことにホンマに夢中でやってるな。秋のツアーと次のレコーディングと。それが終わったら来年のツアーがあるし。ただ、メジャーデビュー当時の頃のいっぱいいっぱい感はないですね。ツアーに向けてやるべき練習とかはクリアになってて、見えてる目標を確実に達成していくのに夢中なのが今のSHE'Sかな。ここから先もビシバシ行きますよ!

SHE'S
SHE'S Autumn Tour 2018 “The One”
  • 2018年11月16日(金)福岡県 DRUM Be-1
  • 2018年11月18日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2018年11月21日(水)北海道 札幌KRAPS HALL
  • 2018年11月24日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2018年11月25日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
  • 2018年11月28日(水)宮城県 darwin
  • 2018年11月29日(木)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
SHE'S Tour 2019
  • 2019年2月16日(土)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
  • 2019年2月23日(土)京都府 KYOTO MUSE
  • 2019年2月24日(日)香川県 DIME
  • 2019年3月1日(金)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2019年3月15日(金)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2019年3月17日(日)宮城県 Rensa
  • 2019年3月20日(水)岡山県 YEBISU YA PRO
  • 2019年3月21日(木・祝)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2019年3月23日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2019年3月24日(日)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2019年4月6日(土)長野県 ALECX
  • 2019年4月7日(日)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2019年4月13日(土)大阪府 なんばHatch
  • 2019年4月20日(土)東京都 Zepp Tokyo