音楽ナタリー PowerPush - SHE'S

井上竜馬が描き続ける“彼女”の姿

SHE'Sが初の全国流通盤となるミニアルバム「WHO IS SHE?」をリリースした。本作にはピアノをサウンドの要に置いた、ダイナミックな展開のエモーショナルなロックナンバーが7曲収録されている。

本作のリリースを記念してナタリーではフロントマンの井上竜馬(Vo, Key, G)にインタビューを実施。バンド名の由来、叙情的な歌詞や楽曲に込めた思い、そして井上自身が考えるアーティスト観などを語ってもらった。

取材・文 / 鵜飼亮次 インタビュー撮影 / 中西求

ピアノという新しい要素を

──まずはSHE'S結成のきっかけを教えてください。

もともとは高校生のときにみんなバラバラでバンドやってて、大阪のライブハウスで一緒にライブする友達やったんです。それで高校を卒業するときにみんなバンドを辞めて、僕が「こういうバンドやらへん?」って声をかけたら案外すんなり。

──そのときに伝えたバンドのイメージはどういったものでしたか?

僕はその頃Simple Planが好きだったんです。そういうポップパンクの聴きやすいメロディにピアノのサウンドを入れたいって思っていて、そこからバンドが始まりました。

──ピアノはSHE'Sの特徴の1つですね。井上さんがバンドでピアノを弾くようになったきっかけは?

井上竜馬(Vo, Key, G)

僕は小学1年生から中学校2年までピアノを習ってました。でも14のときにELLEGARDENを観てバンドを始めて、それでギターにハマってからはピアノを辞めてしまって。

──最初はギタリストとしてバンドを始めたんですね。

はい。高校でもずっとギターを弾いてました。それで聴く音楽もELLEGARDENをきっかけにWeezerやYellowcardとか洋楽のポップパンクに派生していったんですけど、しばらくしてメロディックなバンドがありふれてると感じるようになってしまって。そこで新しい要素としてピアノを取り入れてみようかって思ったんです。

──2011年にバンド結成、翌2012年には「閃光ライオット」のファイナリストに選出されました。バンドに何か変化はありましたか?

「本気でバンドやっていこう」って気持ちが確固たるものになりましたね。閃光ライオットの応募から勝ち上がって楽しくなってきたというか、みんなバンド中心の生活になっていったんです。僕は大学を2年生になるときに辞めてたんですけど、ほかのメンバーも学校行きながら東京や地方のライブに出たりとか仕事をするつもりで音楽をやるようになって。生活面や曲作りについてああだこうだ話し合うとか、メンバー間のコミュニケーションも変わりましたね。

バンド名の「SHE」は誰?

──SHE'Sというバンド名の由来を教えてください。

中学の同級生で、ある女の子がいたんです。その子は友達とワイワイしたりするわけでなく1人が似合う子で、かといって友達が少ないわけでもなく……なんていうか、独特のオーラを持っている子だったんです。僕はその子のことを「何を考えて生きてんのやろな」って思ってて。全然しゃべったことのない、僕が一方的に気になってた子だったんですけど。

──実在する“SHE”をモチーフにしてるんですね。

SHE'S

はい。それで新しく「エモーショナルなバンドを始める」ってなったときに、僕の中でまず浮かんだのが彼女で。それでバンド名を最初「SHE」にしたいってメンバーに言いました。ただ「he」というバンドがすでにいることがわかり、コピーバンドしてるんちゃう?って思われてしまうと(笑)。それで一度ナシにしていろいろ考えたんですけど、最終的に語感が「ンーン」っていうのがいいって話になったとき「じゃあSHE’Sでよくない?」って。語感だけじゃなくて「SHE'S=SHE IS...」っていう感じも「彼女は何を考えてるんやろう?」って僕が考えてたところとつながるんですよね。

──確かに「IS」の先をあえて語っていないように見えて物語を想起させますね。ミニアルバム「WHO IS SHE?」のタイトルの意味がわかりました(笑)。ではアルバム収録曲のほとんどの歌詞に登場する「君」も“SHE”なんですか?

実はその女の子のことではないんです。そのときそのときで違っていて、アルバムでも別の人のことを歌っています。

SHE'Sワンマンライブ
  • 2014年10月4日(土)大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
  • 2014年10月12日(日)東京都 TSUTAYA O-Crest
SHE'S(シーズ)

SHE'S

井上竜馬(Vo, Key, G)、服部栞汰(G)、広瀬臣吾(B)、木村雅人(Dr)からなる4人組ピアノロックバンド。2011年の結成から地元大阪を中心に活動を続け、2012年に行われた「閃光ライオット2012」ではファイナリストに選出されている。2014年7月23日に初の全国流通盤となるミニアルバム「WHO IS SHE?」をリリース。10月には東京および大阪でワンマンライブを実施する。