音楽ナタリー Power Push - SHANK

長崎の“雑魚”、新天地へ

SHANKがミニアルバム「SHANK OF THE MORNING」を9月30日にリリースする。

エイベックス内に設立した自主レーベル・BAiTFiSH RECORDSからの発売となる本作には、さわやかなギターリフから始まる「First Light Anthem」、SHANKらしいマイナー調の裏打ちが印象的な「Take Me Back」、怒りに任せて作ったという「Flightless」など“攻め”の5曲がパッケージされている。音楽ナタリー初登場となる今回は、メンバー3人にインタビューを実施。新作および同日に発売されるDVD「11 YEARS IN THE LIVE HOUSE」についてはもちろん、バンド結成の経緯や、これまで所属していたインディーズレーベル・THE NINTH APOLLOを離れ新天地へ挑んだ理由などじっくりと語ってもらった。

取材・文 / 小林千絵 撮影 / 笹森健一

スカパンクバンドが組みたかった

──まずは音楽ナタリー初登場ということで、バンド結成の経緯を簡単に教えてください。

SHANK

松崎兵太(G, Cho) 高校生の頃、(庵原)将平と俺と、同級生2人でバンドを組んだんですよ。4人編成で、将平がピンボーカルっていう。それで練習を1回やったあとに2人抜けて。

庵原将平(Vo, B) 「サッカーが忙しい」って言われて、じゃあ仕方ないなと。でもバンドはやりたかったんですよね。で、地元の行事で(池本)雄季が昔から和太鼓を叩いていたので、「和太鼓できるし、まあドラムもいけるんじゃないか」って思って誘ったんです。

──そのとき池本さんはドラム叩けたんですか?

池本雄季(Dr, Cho) いえ。和太鼓しか叩いたことなかったです。「え? ドラム? ボーカルがいい」って言いましたもん。でも「お前は年下だからダメだ」って言われました。

松崎 年下っていうだけで、一番前に出ないところに置かれたっていう。

──SHANKはメロディックパンクを基調としながらも、スカの要素が多く織り込まれた音楽性が特長です。その頃から音楽性は今のような感じだったのでしょうか?

庵原将平(Vo, B)

庵原 もともとスカパンクバンドをやろうとして始めたバンドだったんですよ。でも管楽器を担当する人もいなくて、スリーピースになっちゃって。でもスカはやりたかったので、裏打ちを多用する今の感じになりました。

──なぜスカパンクバンドをやりたかったんでしょうか?

庵原 KEMURIやPOTSHOTが好きだったっていうことと、その頃地元にスカパンクバンドがいっぱいいたことに影響を受けていますね。

松崎 スカはわかりやすいし、やってて楽しいんですよね。

庵原 条件なしに体に入ってくるというか。だからスカを意識して、バンド名も最初は「SKANK(スカンク)」で。でも雄季がどう間違えたか、英語を読み間違えて「SHANK」になったんです。

松崎 「SKANK」にもこだわりがないんで「まあSHANKでいいか」って。

エイベックス内に自主レーベルを設立

──それから11年間、長崎を中心に各地で活動してきたわけですが、今回、所属していたレーベル・THE NINTH APOLLOを離れ、エイベックス内に自主レーベル・BAiTFiSH RECORDSを設立しました。これはバンドにとって、すごく大きな環境の変化ですよね。

庵原 俺らは、自分たちがレーベル変わろうが、ファンの人はそんなに興味ないだろうと思ってたんですよ。

松崎 俺ら自身そんなに深く考えてなかったし。

庵原 でも東京・LIQUIDROOMでのワンマンライブで発表したらすごい反応で(参照:SHANK、満員ワンマンでエイベックス内自主レーベル設立を発表)。「そんなに驚くんや」と。THE NINTH APOLLOっていうレーベル自体、自分たちでいろいろやれるようになったら出て行くバンドが多かったんですよ。だから俺らもTHE NINTH APOLLOでやれることはやったかなって思ったのでそろそろ……と思って。「また社長とケンカしたんでしょ?」とかいろいろ言われたんですけど、そういうことではまったくないです。

松崎 むしろ社長には辞めるとき1番相談したしね。

庵原 うん、ちゃんと今後を考えてくれてる人だと思うんですよ。所属している間はインディーズバンドとして大事なことをすごくたくさん教わりましたし。

──そして移籍先は大手メジャーレーベルのエイベックスです。

庵原 実は「Loving our small days」っていうアルバムを出したとき(2010年8月)に、エイベックスの今の担当の人にいろいろ手伝ってもらってたんですよ。で、そのあとも東京来たときには泊めてもらったり、飲みに行ったりしてて、ずっと「一緒にやろうよ」って言ってくれてたんです。だから一緒にやりたいって言ってくれてる人とやりたいなと思って決めました。

──そうだったんですね。

庵原 エイベックスっていろんなイメージがあると思うんですよ。「EXILEっぽい」とか「ヤンキー」みたいな。だからなんなら俺らもどっちかといえば、昔は拒否反応のほうが強かったかもしれない。そういう意味でも今回もエイベックスにこだわってたわけじゃなくて、新しくやるってなったときに全然知らない人と1から関係を作っていくっていうのがどうしても考えられなかったっていう感じですね。あとはメジャーっていうところに対して、面白そうだなって思ってたんです。

──「メジャーには行くもんか」って思ってるのかと。

庵原 そういう気持ちはずっとあったんですけど、そういうのもしょうもないなと思って。

池本雄季(Dr, Cho)

松崎 行ったことないのに文句言ってたからね。

池本 「メジャー行ったらダサい」って。

庵原 行かずにワーワー言うより、メジャーに行って今までより自分らの意志で活動できればそっちのほうがカッコいいと思うし。行ってダメだったら辞めますくらいの感じです。とりあえずやってみようみたいな。

“雑魚”のプライド

──さらにそこで自主レーベル「BAiTFiSH RECORDS」を立ち上げます。これはどうしてですか?

松崎 いやー、だってエイベックス入ったからって、「RIZAP行ってEXILEみたいになってきて」って言われても嫌じゃないですか。

庵原 自分らで旗を掲げて、俺らはこれしかやらないぞっていう意志を見せるというか。エイベックスに対して旗を振ってる感じですね。

──じゃあやってることは今までと変わらない?

庵原 むしろ今までより自分らで決めることが多くなってきた。

──例えば?

松崎兵太(G, Cho)

松崎 リリースするタイミングだったり、リリース前の動きだったり。告知をどこでやるか、ツアーをどこでやるかみたいな。初めてのことも多くて、うまくいってないこともあるんですけど。でも面白いですね。結果はどうであれ。

──レーベル名にはどのような意味が込められているのでしょうか? 前作のアルバム「Baitfish Attitude」のタイトルにも「baitfish」が入っているので、SHANKにとって意味のある単語なんじゃないかなと。

庵原 「baitfish」っていうのは釣り用語なんですけど。

──調べたら「魚の餌となる小魚」と書いてありました。

庵原 そうですそうです。調べたらすごくダサいんですよね。でもバス釣りでいう「ベイトフィッシュ」ってすごくいいものなんですよ。ベイトが寄ってるところには魚が寄ってくるみたいな。だから楽しそうだなと。あと「baitfish」という単語には「雑魚」みたいなイメージもあって。つまり「雑魚レーベル」。雑魚もやるときはやるぞというニュアンスです。

松崎 僕ら長崎にいて、初めてツアーに行ったときすごくバカにされてたんで、多少の劣等感があったんですよね。それが最初は情けないと思ってたけど、今はそれでいいと思ってる。雑魚にもプライドはあるし。だから昔だったら絶対使わないような言葉なんですけど、今は胸を張って使えます。

ライブDVD「11 YEARS IN THE LIVE HOUSE」 / 2015年9月30日発売 / 2160円 / BAiTFiSH RECORDS / CTBD-20032
ライブDVD「11 YEARS IN THE LIVE HOUSE」
収録内容
  • ライブ映像 SHANK 11th Anniversary ONE MAN SHOW" 2015.5.7@恵比寿LIQUID ROOM
  • その他(SHANK秘蔵VTR等)
BLAZE UP NAGASAKI 2015
2015年10月11日(日)
長崎県 長崎市神の島公園特設ステージ
OPEN 9:00 / START 11:00
SHANK / ARTIFACT OF INSTANT / BAN’S ENCOUNTER / The BONEZ / CONCRETE NAILS(オープニングアクト) / COUNTRY YARD / Day tripper / G-FREAK FACTORY / MEANING / My Hair is Bad / NUBO / ORANGE POST REASON / S.M.N. / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / SUNSET BUS / WANIMA / ザ・アンドロイズ
SHANK OF THE MORNING TOUR
2015年10月15日(木)千葉県 千葉LOOK
SHANK / dustbox / WANIMA
2015年10月16日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
SHANK / Boobie Trap / SUNSET BUS / おい、そこの道あけろ
2015年10月18日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
SHANK / NUBO / JELLYFiSH FLOWER’S / ircle
2015年10月23日(金)青森県 八戸ROXX
SHANK / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / THE FOREVER YOUNG
2015年10月24日(土)岩手県 盛岡club change
SHANK / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / THE FOREVER YOUNG
2015年10月27日(火)宮城県 enn 2nd
SHANK / HOTSQUALL / SPARK!!SOUND!!SHOW!!
2015年10月30日(金)京都府 KYOTO MUSE
SHANK / MEANING / OLEDICKFOGGY
2015年11月1日(日)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
SHANK / BOMB FACTORY / 打首獄門同好会
2015年11月6日(金)富山県 Soul Power
SHANK / COUNTRY YARD / HEY-SMITH
2015年11月7日(土)長野県 Sound Hall a.C
SHANK / COUNTRY YARD / G-FREAK FACTORY
2015年11月8日(日)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
SHANK / COUNTRY YARD / G-FREAK FACTORY / 四星球
2015年11月17日(火)北海道 札幌PENNY LANE24
SHANK / TOTALFAT / Northern19
2015年11月20日(金)山口県 LIVE rise SHUNAN
SHANK / Dizzy Sunfist / S.M.N.
2015年11月21日(土)岡山県 IMAGE
SHANK / Dizzy Sunfist / and more
2015年11月23日(月・祝)愛媛県 Wstudio RED
SHANK / Day tripper / MOROHA / Northern19
2015年11月24日(火)香川県 DIME
SHANK / Day tripper / MOROHA / Northern19
2015年11月27日(金)三重県 M'AXA
SHANK / THE CHERRY COKE$ / My Hair is Bad / PAN
2015年11月28日(土)岐阜県 yanagase ants
SHANK / THE CHERRY COKE$ / My Hair is Bad / PAN
2015年12月1日(火)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
SHANK / SHAKALABBITS
2015年12月2日(水)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
SHANK / KEMURI
2015年12月3日(木)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
SHANK / SiM
2015年12月10日(木)福岡県 Queblick
SHANK / SNATCH / and more
2015年12月12日(土)長崎県 Studio Do!
SHANK / SNATCH / and more
SHANK(シャンク)

SHANK

長崎在住の庵原将平(Vo, B)、松崎兵太(G, Cho)、池本雄季(Dr, Cho)からなるスリーピースバンド。スカの要素を多く取り入れたメロディックパンクサウンドで人気を集めている。2014年には「FUJI ROCK FESTIVAL '14」「COUNTDOWN JAPAN 14/15」など大型フェスティバルに出演。その名をさらに広めた。2015年、それまで所属していたインディーズレーベル・THE NINTH APOLLOから離れ、エイベックス内に自主レーベル・BAiTFiSH RECORDSを設立する。 9月には同レーベルより3rdミニアルバム「SHANK OF THE MORNING」、DVD「11 YEARS IN THE LIVE HOUSE」を同時リリース。10月には自主企画イベント「BLAZE UP NAGASAKI 2015」を長崎・長崎市神の島公園特設ステージにて開催する。