ナタリー PowerPush - SHAKALABBITS
バンドの今が凝縮された“近況報告”シングル
“ニュー感”がある「mademoiselle non non」
──今回リリースされるシングル「mademoiselle non non」のタイトル曲はいつ頃作ったんですか?
UKI 2月中旬に、ツアーで沖縄に行ったあと、またすぐ沖縄に戻って1週間ぐらいで。
MAH 沖縄でプリプロして。
TAKE-C いわゆる沖縄合宿だよね。
──曲の原型は以前からあったんですか?
MAH 「Blue Flamingo」はちょいちょい前からあったんですけど、「mademoiselle non non」はもう、その場で作ったというか。Aメロぐらいしかなかったから。
UKI ひらめきの連続で作った感じだね。
MAH なので、けっこうとっ散らかってません?
──いや、すごくシンプルでカッコいい曲だなと。ブリティッシュビート的な部分も感じるし、新しい感じがしました。
TAKE-C 俺らが思ってる以上にみんなそういうふうに聴いてくれてるんだよね。そう感じてくれてるんならうれしいなあ。
──1年3カ月ぶりのシングルだし、何か転機になるような曲をと考えたりは?
UKI あんま考えたことないな。でも“ニュー感”はあります。それも毎度なんですけど。シングルにしようと思って作ったわけではなくアルバムの中の1曲っていう感じで作っていたので、あんまり気負いもなく、「面白いのできたね」っていう、シンプルな答えかもしれないですね。
「私、“マドモアゼル・ノンノン”って曲作るわ!」
──ちなみにこの曲のタイトル、ファッションブランド名と同じですね。
UKI そうですね。でもそこからじゃないんです(笑)。6年ぐらい前、3枚目のアルバム(2005年10月発売の「CRIMSON SQUARE」)を作ってるときに、スタジオにツアースタッフがいっぱいいる中、長いテーブルに私、ポツっとひとりでいて。周りのみんなはいろいろやってるんだけど、私だけフリーズしちゃって。歌詞を作ろうって思ってたんですけど、全然そういう気分になれず、ボーっとしてたんです。で、ツアースタッフに、照明のニコちゃんっていう紳士的で面白いおじさんがいるんですけど、そのときニコちゃんが「どうしたの、ウキコ。元気ないじゃないか」と。「そうなんだよ、なんか最近元気が出ないんだよ」って話から近況を話してるうちに、どうしてそんな言葉が出てきたのかわからないんだけど、「もうさ、ウキコさ、“マドモアゼル・ノンノン”っていうくらいの曲作っちゃえばいいんだよ」って言ったんですよ。
一同 (笑)。
──意味はわからないけど、天才ですね(笑)。
UKI それにものすごく共感できちゃって、私も「そうだニコちゃん、この感じだよ! 私、“マドモアゼル・ノンノン”って曲作るわ!」って(笑)。それでちょっと元気が出て、MAHに「“マドモアゼル・ノンノン”っていう曲、いつか作って」って。
MAH で、俺は「なんだそれ?」って返して(笑)。
UKI でも私も“マドモアゼル・ノンノン”のことを忘れてたときもあったり、歌詞を書けるぐらいまだ持っていけなかったっていうのもあったんですけど、新曲を作るときに、また思い出すんですね。ノートを見ると「こういう歌を作りたかったんだ」っていうのを思い出して。で、その沖縄合宿のときにまたMAHに話して。
MAH たまに言うんですよ、「“マドモアゼル・ノンノン”っていうのあればいいな~」って(笑)。でも「“マドモアゼル・ノンノン”ってなんなんだよ、一体?」と。もう“ランランルー”みたいなことになってて(笑)。
一同 (笑)。
「mademoiselle non non」に感じるのは“ヒーローもの”
──そこから沖縄で、どうやって“マドモアゼル・ノンノン”が楽曲に進化していったんですか?
UKI 「例えばマドモアゼル・ノンノンっていう人がいて、その人は周りから変な目で見られたり、誰も口きいてくれなかったりするかもしれない。でも心の通う友達は数人いるかな?」って話をして。そして「その人はある場所をアジトにして、自分の好きなものや気持ちの向いているありとあらゆるものに励んでいくんだよ。それを貫き通して、周りからどんな目で見られようと構わないってやってる人なんだよ、マドモアゼル・ノンノン!」っていうことを(笑)一気に話して。「いいよねー、やっぱそういう人はいいよねー」みたいな話をしていて、わかったんだよね?
MAH (笑)。それで俺の中にコラージュ写真みたいなイメージができて。その話を聞く前に“マドモアゼル・ノンノン”しか聞いてなかったときは、もっと優雅な……。
TAKE-C フランス女性的なね?
MAH うん。そういうイメージなのかな?って。「そういうの俺、今作る気分じゃねーな」って、ずっと避けてたんだけど、UKIの話を聞いたら、「いや? これってアレだな、パンクだな」と思って。自分がいいと思ったものにしかYESって言わない感じなんだって納得したんです。そこからはそのコラージュ写真に合う音楽……けっこう激しめで速くて、ガチャガチャしてていいんだと思ったら、俺が前にやりたいと思ってた、ベースとギターのリフと歌が掛け合うようなイメージでやれると思って。
──確かにそういう、自由な女の人ってイメージを聞けば少しは謎も解けますね。
UKI 想像することっていうのは誰でもできるし終わりがないものだから、そういうワクワクする気持ちとか、我が道をデザインしている感じで、「心臓がハウっちゃうくらい、キャーキャーワーワーだわ」っていう(笑)、単純にそういう歌なんです。でも、周りの大人の中には「どんどん想像できなくなっていってる」って言ってる人もいるし。「想像力って大人になると、どんどん欠けていっちゃうものなんだよね」って言ってるってことは、ホントは望んでることがあるのにうまくいかなくて、どこかでリミッターがかかって不自由になってることがわかってるんですよね。だからこそ、こういう歌を聴いたときに大人も何か感じてほしいし、これから何かを見つけようとしてる人も、ちょっと心が動いてくれたらすごくうれしいな。
TAKE-C 伝わり方だと思うんですよね。「わがままに自分の道を行こう!」みたいに直接的なメッセージとして取ることもできるけど、僕はこの歌に感じるのは、“ヒーローもの”なんですよ。
──あー、わかります。
TAKE-C 例えばテレビでヒーローのカッコいいところを観て、「うわー、ああいうふうになりてえ!」って思うのもひとつのメッセージの伝わり方だし。そういうことだって、僕は認識してるんです。
MAH 啓蒙だよ。だからヒーロー戦隊とかアイドルの子とか、みんな必要なの。
TAKE-C そう! そうなの!
MAH アイドルの子が「私、タバコのポイ捨てイヤなの」って言ったら、その子のファンはみんなやめるもんね。そういうの大事だよ(笑)。
CD収録曲
- mademoiselle non non
- Blue Flamingo
DVD収録内容
- 「mademoiselle non non」Music Video
- 「mademoiselle non non」Music Video メイキング
SHAKALABBITS(しゃからびっつ)
1999年に結成された、UKI(Vo)、TAKE-C(G)、KING(B)、MAH(Dr)の4人からなるロックバンド。パンキッシュなサウンドとポップなメロディ、UKIのキュートなボーカルがファンから高く支持されている。インディーズでの活動を経て、2002年にシングル「ROLLIE」でメジャーデビュー。2004年には全国ホールツアーを敢行し、翌2005年に初の日本武道館公演を成功させる。2006年にも全国ツアーの一環として、自身2度目となる武道館ライブを実施し即日ソールドアウトを記録。現在もライブ活動を精力的に行っており、その圧倒的なパフォーマンスが幅広い年代から支持されている。