ナタリー PowerPush - SEX MACHINEGUNS
3人の個性が増した右肩上がりの新作完成 メンバーが語るバンドの現在・未来
いつも2人に「アルバムを作るたびに後悔しろよ」と言う
──今年に入ってから活動の場をインディーズに移して、シングル「プライド」と今回のアルバム「45°↗」を制作しました。レコーディングでは2人からのインプットも多かったですか?
ANCHANG かなり増えてますよ。加入した当時は2人とも自信があったと思うんです。でもリーダー的に言うと、その自信を崩すことからスタートしたんです。そうすると当然2人も凹むし、その分努力もしてくるから次の結果に繋がっていく。今回はインディーズということで、時間も経費も少ない中でどれだけいい結果を残せるか、いいものを作れるかというところを追求して完成したのが「45°↗」なんですよ。
──制作には実際どれくらいかけたんですか?
ANCHANG ツアーをやったり飛び飛びにはなったけど、トータル1カ月くらいじゃないですかね。僕はいつも2人に「アルバムを作るたびに後悔しろよ」と言うんです。「もうちょっとああしておけばよかった」とか、気になる部分は時間をかければ直せるかもしれないけど、その気になる部分が今の自分のレベルなんです。今があるから次の作品があるわけで、後悔しないんだったらそのアルバムを作った時点で辞めちゃえばいいわけだし。僕自身もっと時間あったらこうしたいと考えることはあるけど、そう思いつつもそのときできることを最大限にやるのが、一番ロックっぽいと思うんです。
──2人はまだ少ないレコーディング経験の中で、毎回自分なりの課題があったと思いますが、そこはだんだんとクリアされているんでしょうか?
KEN'ICHI 1回のレコーディングが終わった後に、自分の中で課題ができるんです。それをクリアしようとして次のレコーディングに挑むと、クリアできる部分はいくつかあるんだけど、終わったらまた新しい課題が増えてますね(笑)。
──少しずつ積み重なっていくような。
KEN'ICHI はい。やるたびに新しいことが増えていってます。
──でもその課題の部分というのは、今まで普通にバンド活動を続けていたら気が付かなかったかもしれないですよね?
KEN'ICHI 絶対気が付かなかったですね。
SHINGO☆ 僕はデモの段階で、ここでメロディがこうなってるからこうしたほうがいいのかな、とかいろいろ考えて試してみたんですけど、完成した曲を聴いて「あー、なんでこんなにダサいんだ!」と思うことが、しょっちゅうありましたね。
ANCHANG ダサいの入れたんか、おまえは!(笑)
歌詞を書いたのはメンバー個人ではなく「マシンガンズという人」
──アルバムを実際に聴いてみると、メジャーとインディーズの差はまったく感じられないし、スケールダウンするどころかよりストイックな音になったという印象を受けました。基本的には今までのマシンガンズの延長線上にあると思うんですが、アルバムを通して聴いたときの流れが前のめりに攻めているイメージがあって。
ANCHANG そうだとうれしいですね。
──特にアルバム後半に入って、「CHE」「DEATH GAME」あたりでシリアスな雰囲気になりますよね。
ANCHANG インディーズになって、メジャー時代より収録曲を好き放題に選べるようになったんです。自分たちだけでやってる分そこは大いに楽しみました。
──そのへんがアルバムの流れに出てるのかもしれませんね。作詞は主にANCHANGが……。
ANCHANG いや、2人も結構な割合で参加してますよ。
──そうなんですね? それじゃあ以前よりも新鮮に感じる部分が多かったのでは?
ANCHANG かなりありましたよ。一応僕がリーダーなのでいいと思わなければ却下もするけど、オリンピックと同じで参加することに意味があるから(笑)。ドラム叩いたから終わりです、ベース弾いたから終わりです、というのは僕は嫌いなんです。でも、書いたら全部採用するという気ももちろんないし、いいと思ったら取り入れる。採用率はやればやるほど上がってきてますね。
SHINGO☆ 自分が考えた歌詞が使われても、KENちゃんやANCHANGが考えた歌詞も使われてることで、「自分が書いた」という意識はないです。この3人を足した、ひとりの人が書いたような感じですね。
──SHINGO☆というよりは、マシンガンズが書いたような?
SHINGO☆ そうですね。「マシン・ガンズさん」みたいな人がいて、その人がやっちゃいましたよみたいな感じです。
一同 (笑)
──その話を聞くと、2人に責任感が芽ばえていて、マシンガンズを背負い始めているのかなという気がしますね。
ANCHANG 背負ってほしいし、もっと背負ってよと思っているんですけどね(笑)。今回は採用できなかったけど、常に2人には曲は作らせてるんです。面白いのができてるけど、今のところ採用には至らなくて。将来的に次のアルバムあたりに期待したいですね。
SHINGO☆ やりましょう!
ANCHANG 楽でしょうね、僕はコピーすればいいだけだし(笑)。
初回盤CD収録曲
- ANACONDA
- 部屋とTシャツと親父
- レフリー大暴走
- アドレス変更
- TIGER BIKINI
- チャーリーママ
- CHE
- DEATH GAME
- 大家さん
- 森のくまさん
- プライド
初回盤DVD収録内容
- 「ANACONDA」PV
- メンバーが語る全曲解説映像
通常盤CD収録曲
- ANACONDA
- 部屋とTシャツと親父
- レフリー大暴走
- アドレス変更
- TIGER BIKINI
- HEAVEN&HELL
- チャーリーママ
- CHE
- DEATH GAME
- 大家さん
- 森のくまさん
- プライド
SEX MACHINEGUNS
(せっくすましんがんず)
ANCHANG(Vo,G)を中心に結成されたヘヴィメタルバンド。1998年にシングル「HANABI-la 大回転」でメジャーデビューを果たし、正統派メタルサウンドとコミカルな日本語詞の妙が賛否両論を呼ぶ。同年10月にリリースされた1stアルバム「SEX MACHINEGUN」がスマッシュヒットを記録し、メタルファン以外からの支持も獲得する。以後コンスタントにリリースを重ね、「みかんのうた」「ONIGUNSOW」など、笑いなくしては聴けない名曲を発表。数多くのメンバーチェンジを経て、2006年に活動休止。多くのファンが復活を望む中、2007年にANCHANG、KEN'ICHI(Dr)を中心に第5期SEX MACHINEGUNSが始動。2008年にはSHINGO☆(B)を迎えて精力的な活動を行っている。