OWVの浦野秀太が主演を務める舞台「SEPT presents『WORLD BROKER』」が、6月21日から30日まで東京・こくみん共済 coop ホール / スペース・ゼロで上演される。
SEPTは、杉浦タカオが音楽と芝居のコラボレーションをテーマに発足させたエンタテインメントユニット。ユニットの創立10周年を記念して上演される「WORLD BROKER」は、ナイフではなく“マイク”、銃ではなく“楽器”が武器となる世界で、過去より紡がれる音楽を保管する旧体制勢力の「歌華身命」と、新たな音楽を作る新体制勢力の「ORES DAWN」の対決を描いたファンタジー作品となっている。主演の浦野のほかに、藍染カレン(ZOC)、西田祥(BUDDiiS)、ピコ、__(アンダーバー)、今村美月(ex. STU48)、演出も手がけるウチクリ内倉などが出演する。
音楽ナタリーではSEPT作品の魅力、「WORLD BROKER」の見どころを探るべく、浦野、藍染、西田、ピコ、__(アンダーバー)、まなこ、今村、ウチクリにインタビューを実施。さらに取材の立ち会いで現場に来ていた主宰の杉浦にも急遽参加してもらい、音楽と芝居を融合させたSEPT作品ならではの楽しみ方や、キャスト陣が「WORLD BROKER」に懸ける思いや意気込みを聞いた。
取材・文 / 小松香里
芝居×音楽、SEPT作品に挑戦
──まずはSEPT初参加となる__(アンダーバー)さん、まなこさん、藍染さんにお伺いしたいのですが、「WORLD BROKER」への出演が決まったときはどう思いましたか?
__(アンダーバー) SEPTの舞台に何度も出演されているピコさんから「機会があったら出てほしい」と声をかけていただいて。ピコさんには昔からお世話になっていたから期待に応えたいとは思いつつも、普段の自分の活動を考えると役を演じられるのか?という不安はありました。でも、SEPT主宰の(杉浦)タカオさんが僕にぴったりな役を用意してくださったので、挑戦してみようと思ったんです。
杉浦タカオ __(アンダーバー)さんは顔出しをしてないので、今回の舞台でも仮面を着けた役を書かせていただきました。
__(アンダーバー) 台本を読んだら普段の自分なら言わないようなセリフがたくさんあって(笑)。僕は感情を表に出さないタイプなので、いかにして内なる自分を出しつつ役を演じるか、ということを日々考えて役作りをしている最中です。
──ピコさんはなぜ__(アンダーバー)さんに声をかけたんですか?
ピコ アンさん(__[アンダーバー])自身がやられているお芝居に僕が出演する機会があって、そもそもお芝居に造詣の深い方だということは知っていたんです。ステージ上でも堂々としてるし、自分の世界を持っている。もちろん歌もお上手だし、いろいろなキャラクターを演じ分けられる方なので、ぜひ出演していただきたいと思ってオファーしました。
__(アンダーバー) 声をかけていただいたときはうれしかったですね。不安はあるけど、がんばってみようと思いました。
まなこ 私もピコさんに声をかけていただいたんです。SEPTさんの舞台は音楽と演劇が融合していて、役になり切ったうえでのライブパフォーマンスもある。私が普段出演している舞台とは勝手が違うので、どう演じようかと不安な部分はありますが、がんばって皆さんについていけたらと思っています。
ピコ まなこさんとは昔から仲よくさせてもらっていて。タカオさんとキャスティングの話をしているときに「この役にぴったりだな」と思って提案したんです。舞台経験もあるし、アーティスト活動もバリバリやっている方なので。
──藍染さんはSEPTの舞台への出演が決まってどう思いましたか?
藍染カレン(ZOC) 私は普段音楽活動をしているので、お芝居をやらせていただけるだけでもありがたいのに、舞台の中でライブもできることが素直にうれしいです。大切にしている音楽活動と新たな挑戦であるお芝居を融合させたステージに立てることがとても楽しみで。また、今回いただいた楓という役が私の好きなタイプの女の子なので、その役を演じられることに今からワクワクしています。
主演・浦野秀太の表現者としての魅力
──主演を務める浦野さんは過去にもSEPT作品に出演されていますが、SEPTにどんな印象を持たれていますか?
浦野秀太(OWV) お芝居と音楽が融合したハイブリッドな舞台という印象ですね。僕にとって初めての演技経験が「FATALISM ≠ Re:Another story」(2022年上演)だったのですが、歌いながら殺陣をする場面もあって“ザ・エンタテインメント”な内容だと感じました。
ウチクリ内倉 演じることで普段の自分との間にフィルターを作る人もいますが、秀太は普段の優しさや気遣いをそのままステージに持っていけるんですよ。普段と役であまり差がない表現者、というのが彼の一番の魅力だと思っています。
浦野 それは役を演じられていないってことじゃないですよね?(笑)
ウチクリ 大丈夫(笑)。なかなかできないことだと思うよ。
浦野 よかったです。自分では無意識な部分なので。
──西田さんはSEPTに対してどんな印象をお持ちですか?
西田祥(BUDDiiS) 僕は普段ダンスボーカルグループで活動しているのですが、音楽とお芝居は別ものだと考えていたんです。ただ、SEPTの舞台には音楽の要素があるので、普段のパフォーマンスの延長線でお芝居ができる感覚があって楽しいんですよ。あと、音楽活動をしている方が多く参加しているので勝手に仲間意識があります(笑)。
ウチクリ 信頼と安心の西田祥なので、今回もばっちりやってくれると思います。
西田 今回の役は物語を動かすキーパーソンの1人なので、これまで以上に役作りが難しくなるんじゃないかと思ってます。全体を見ながらストーリーを振り回すことを楽しみたいですね。
前作とのつながりも楽しめるSEPT舞台
今村美月 私は「FATALISM」からSEPTさんに関わらせていただいているんですが、それが自分にとって初めての舞台だったんです。当時私はアイドルグループに所属していたのですが、今回はグループを卒業して初めての舞台。今後は女優として活動していくので、アイドル時代とは違う意識で臨まなければと考えています。「WORLD BROKER」はSEPTさんの10周年記念の1作目ですし、自分にとっても転機となる作品なので、より一層気を引き締めてがんばりたいです。
ウチクリ 今村さんはもうSEPTの一部というか、彼女の演技にすごく助けてもらっています。これから女優としてどんどん活躍される方だと思うので、「WOLRD BROKER」がその1歩になればいいですね。
今村 SEPTさんの作品にはいろいろな時代背景があるんです。作品単体で観ても面白いけど、前作とのつながりが盛り込まれている部分もあるから、ほかの作品をチェックすると世界観の濃さが感じられる。私の役で言うと「FATALISM」と「WORLD BROKER」は近いものがあって、だからこそ登場するセリフもあるんです。
ウチクリ 「FATALISM」はDVD化もされているので、気になった方はぜひチェックしていただきたいです。
ピコ 僕はSEPTさんと長い間携わらせていただいていて。いち出演者から始まって、今では配信のMCなど裏方的なこともやらせていただくようになりました。今回はアポロという神様の役を演じるのですが、SEPTが大切にしているコンセプトをメッセージとして届ける役割でもあるので、より使命感を持って本番に臨みたいと思っています。
SEPTの一番の魅力とは?
──ウチクリさんはSEPTシリーズの演出を手がけていますが、今回の「WORLD BROKER」はどのような作品になりそうですか?
ウチクリ まず、SEPTは主宰の杉浦タカオと一緒に「SEPTをどうやって世の中に広めようか?」と、試行錯誤を繰り返しながらお芝居と音楽の融合をやってきて10周年を迎えました。「WORLD BROKER」はそのSEPTが新しいフェーズに入ったことを示す作品だと思っていて。これまで出演してくれた方々はもちろん、新しい人たちにも加わっていただき、ベストなキャスティングができたと思っています。作品自体、これまでのSEPTにはない世界観になっているので、また新しいSEPTの形が見つかりそうな予感がしています。
──ウチクリさんがSEPTと長く関わる中で、一番特徴的だと思うところはどんな部分でしょう?
ウチクリ 音楽を生で聴きたかったらライブハウスに行かなきゃいけないし、お芝居を観たかったら劇場に行かなきゃいけない。その両方を1つの作品の中で楽しめるのはSEPTの一番の魅力だと思いますね。舞台本編のあとにエンディングライブがあるのですが、そこに至るまでの物語が楽しめるのもSEPTならではだと思います。音楽がよりよく聞こえるといいますか、観ている人は物語の世界に入っているから感動の度合いも違うと思いますよ。
今村 エンディングライブで歌われる楽曲を聴くと、すぐに物語の細部を思い出せるくらい、歌詞にもそれぞれのキャラクターの思いがたくさん詰まってるんですよ。
ピコ ホントそうですよね。あと、オケじゃなくて生バンドなのも素敵ですし、演奏者たちにも役とストーリーがあるところがSEPTの大きな魅力だと思います。
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もう1回舞台を観たくなるエンディングライブ