むしろ男の子のセリフでよかった
──表題曲の「Baby baby Cupid」には男女のパートに分かれて、かけ合いのように歌う部分があります。これ、今までの星歴の曲にはなかった表現ですよね。
こもち 歌詞を最初に読んだときは、ここをどう表現したらいいのか見当も付かなくて。
ほまれ 歌やセリフに感情を入れるのが得意じゃないから、レコーディング前はずっと不安だったな。表現が引っ張られちゃうから、仮歌もあまり聴きすぎないようにしていました。
あかね あかねはセリフの部分を歌ってなくて……正直に言うと「セリフなくてよかったー」と思ってた(笑)。
まうる とわと私が男子パートを担当することになって、レコーディング前は「どれくらい男感出す?」って相談したんですよ。
とわ うん。そもそもこの曲に出てくる男の子はどういう感情を込めてこのセリフを言っているんだろう、というのを考える必要があって。まずは彼がどういう人間かを考えるところが大変でした。結論から言うと、きっとこの曲で描かれている男の子は感情を表に出すのが下手な人なんじゃないかなと思って。それって、自分とすごくリンクしていると思ったんです。
まうる それ、私も同じことを思った。曲で描かれている女の子はけっこうキャピキャピしているけど、男の子のほうはちょっと冷めてるというか。私の性格もちょっと男の子に近いと感じたんです。それに気付いてからは歌うのもすごく楽になりました。むしろ男の子のセリフでよかったなと思うくらい(笑)。
こもち 私は、ほまれが歌っている「どんな事? なんか珍しい」の部分がすごく好きなんですよ。男の子から「話したいことがある」って切り出されて、実は深刻な話なのに女の子はそれに気付いていないんです。その温度感をほまれが見事に表現してる。
ほまれ 何も気付いていない女子を演じるなら、ほまれはほまれのまま素直に歌うのが正解だと思って。それが伝わっていてうれしいですね。
楽しい曲であり、切ない曲でもある
──「Baby baby Cupid」の振り付けはどのように考えたんですか?
あかね こもちとあかねで振り付けを考えました。この2人で振り付けを考えるのは今回が初めてで。
こもち ちょっと違うタイプのダンスを考える2人なんですよ。あかねはお客さんと一緒に踊れるようなキャッチーな振り付けを考えるのが得意なタイプで、私はけっこう細かい手の動きとかを考えるのが好きなタイプ。だから2人で一緒に考えたらどうなるかなと思って。
あかね サビではあかねのダンスを採用してもらって、みんなで踊れる振り付けになりました。そのほかの部分はけっこう複雑な振り付けが多いかな。
こもち それと、セリフのところはちょっとミュージカル風の振り付けになっているんです。
あかね ミュージカルかあ! あかねの中ではお遊戯会だった(笑)。
とわ すごく演劇チックな振り付けで、それぞれが向かい合って身振り手振りを交えながら歌うんですよ。海外ドラマでよく見るようなオーバーリアクションな感じ。ここまで振り切った歌と踊りはこれまでなかったよね。
まうる 2人がセリフを言い合ってるところでほかのメンバーが歌うときはちょっとナレーションっぽい立ち位置を意識していて。あかねにはセリフが割り当てられていないから、盛り上げ役に徹してもらってたり。
とわ ライブでやるのがすごく楽しい曲ですね。
あかね でも、とわは配信でやった生誕祭のときにこの曲で泣いてたよね?
とわ うん。自分でもこの曲で涙が流れるとは思ってなかった。私の生誕祭ライブのときに、こもちがアドリブで私の目を見つめながら「君を好きになればなるほど怖くて堪らないことがある」というセリフを言ってきたんです。そのとき、なんだかこの歌詞の意味が本当にわかった気がして……。
こもち (笑)。
あかね こもちはズルいんですよ! あかねの生誕祭のときにはあかねの目を見ながら言ってきたから(笑)。
こもち コミカルな振り付けで楽しい曲と思いきや、実は「Baby baby Cupid」ってすごく切ない曲でもあるんです。
あかね 「Baby baby Cupid」をライブでやるたびに楽しげだったり、切なくなったり、いろんな感情が芽生えるんです。配信ライブではお客さんがいないから、会場の雰囲気はいつも変わらないはずなのに、ライブのたびに違う感じになる。すごく不思議な曲なんです。
こもち もしかしたらいつも通りライブハウスを回っていたら気付けなかったことかもしれないよね。
次のページ »
ヒップホップの要素を